就職活動とenvy

 ある学生は内定を取れずに、神秘的な何かが彼を面接から落としていると考えていた。

 彼の状況は他の似たような学生と比べて、例外的存在であり、想定外の事態で、他人でもありうることだった。他人は受かっているのに私だけ、通常なら受かるはずなのになぜか、私だけが落ちている。不可解であり、努力ではどうにもならないこの状況を彼は誰かの呪術によるものだと考えた。ある原因からある結果が出せるはずなのに、私が落ちなくてもよかったのに、数ある就活生からなぜか私が落とされる。これは神秘の力だと考えた。

 彼は落ちている本質的な原因を面接の中での細かい対応であると、具体化、言語化することから逃げ、面接に落ちる理由を自らの自身のなさだろ仮定し、神秘的な原因を解決しようとする。彼はリフレッシュと称し、ステーキを食べ、観葉植物を買い、海外へ旅行に行くが、根本の解決でなく、遊戯へ時間を割いている。これが続くと、問題の核が変わり出来事へと変化してしまうだろう。後から振り返ればそれは、意味のないことであり、大切な時間をリフレッシュに充てていることに気づく。

 自分で努力しても原因がわからないとき、他者は成功して自分だけが上手くいかないとき、それを神秘的な力のせいにすることは説明できる。

 また、一つの悪いことは他の事象へも影響を与える。その中で一つ悪いことがあって、それが一つならばいいが、2つ以上の悪いことが私だけに起きるならば、そしてその原因が自分ではわからない、自分で気づくことが出来ないならば、その改善する努力を辞め、神秘的なものの原因を考え、努力を放棄してしまう。客観的に見れば、それは改善する努力をしていないからなのだが、当の本人には改善する努力が結果に結び付くと思っていないので、努力もしないし、神に頼るそして、その行動を未来になって、すべてが終わったときにならないとそれを感じることが出来ないだろう。


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