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ロデオみたいな人

「あの人と一緒に仕事するのは、ロデオに乗っているようなもの。振り回されまくって、手を離したら落ちるのが、当たり前。どこまでしがみつけるかを試されているような感じ。」

そう言わせしめる、ものすごく面白い人がいる。

あまりにも振り回されて、疲弊してるときに、別の人に、あなただけではないよ、と言ってもらって、なるほどー!!と思った。

そうか、振り落とされるのが前提なのか。もはや、最後までついていくことは求められていないのか。

今となっては、私はそのロデオみたいな人の大ファンだ。会ってしゃべれたら、めちゃくちゃ嬉しい。

いったん職場を離れたときに、その人のことが妙に懐かしく恋しくも思ってしまった。なんかクセになる珍味に近いかもしれない。

ただ、一対一で話したその日は、めちゃくちゃ疲れる。

その人は、ものすごくエネルギーが強い人だと思う。

そして、その人は、混沌とした何か、カオスなエネルギーをまとっている。何か強力なエネルギーが渦巻いていて、1つの宇宙を作り出してると言ってもいい感じ。

「天才」という言葉ですら、表しきれない何かをまとっている。

何かアイディアが生まれると、無我夢中になって追いかけるのだと思う。しかも、自分の中にあるアイディアを追いかけるだけではない。

他の人の中にある「何か違うもの」を察知すると、興味津々でその何かを掘り起こしていく印象を受ける。

常に何かを学んでいる。

誰に対してもフラットで、いろんな質問を投げかけてくる。その質問に、求められてそうな答えじゃなくて、本当に自分の内から涌き出た考えを伝えると、満足そうに去っていく。

嵐のような人だ。

求められてそうな答えや、平凡な意見は、心にひっかからないようで受け流される。意外な意見や、その人自身が思い付かないような考え方には、心が踊り出すのが目に見える。

8年前、今とは違う部署で働いていたときに、一緒に仕事をした。もう、わけがわからなかった。

期限はあっても、ないようなもので。
え、それ、今から本当にやるんですか?とか。え、それ、そのまま出すんですか?さすがに、もうちょっと体裁を整えないと出せません!とか。
資料の提出を催促しても、全然出てきやしない。現場の人が困るんですけど。

当時は全部呑み込んでいた言葉たち。

当の本人は、あれもやりたい、これもやりたい。ギリギリまで最善を尽くす。

もう、ついていくエネルギーがありません!と言いたくなる。実際、ホントもう無理ー!ってなる。それはそれで、怒られたりはしない。ま、しょうがない、って反応。

でも、なんとか無我夢中でついていって、できあがったものを見てみると、なんか素敵なものになっている。

それで、それまでの苦労が全部チャラになってしまうからオソロシイ。

いつまでも、子どもみたいな純粋な好奇心で動いているのだと思う。

その純粋さに引っ張られて、なぜかついていってしまう。

なんだ?ハーメルンの笛吹か??

最近は、あんまりガッツいていかず、ふわっと対応するようにしてる。できるだけ、その人の持つ渦に巻き込まれないように。

あまり近付きすぎると、目が回りそうになる。自分の軸を持っていないと、大変なことになる。

あまり言うことを真に受けすぎず、自分の目で見たことに重きをおくと、かなり良い感じ。バレリーナが回転し続けるときに、一定の場所を見ることで目が回らないようにするのと一緒かもしれない。定点、大事。

うっかり渦に巻き込まれてしまった日は、頭が忙しくなって、夜に眠れなくなることがある。

その人の感覚、スピード感、見えてる世界を、少し自分に取り込んでしまって、自分の「当たり前」の感覚を見失ってしまう。

きっと、その人の宇宙に連れてかれてしまって、なかなか自分の星に帰って来れないんだ。たぶん、銀河をまたいで連れてかれてる。遥か遠い宇宙から帰ってくるのに、ものすごく時間と労力がかかる。そんな感じ。

自分に戻ってくるためのアイテムを、本当に心の底から、手に入れたいと思っている。

そんな眠れない夜。

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