2023夏を記録する
私は夏が大好き。
暑いのも含めて空気感が好き。
今年の夏は1番濃い夏だった。
楽しさで言ったら小学生の頃とかの遊んでただけの夏とかかもしれない。
今年は違った。
高校2年生、来年の春にはアニメ制作会社の就職試験が迫る中、アニメーターに、絵描きになるために本気で自分の絵と向き合った夏。
今年の夏を一生忘れたくない。
だから忘れないうちに書き記しておこうと思う。
もう10月だけどね。
聴きながらどうぞ。
簡単に私の自己紹介
・正式名称はロリータソードマスター。
・男、高校二年生。
・アニメーターになるため絵とアニメーションの修行中。
・趣味は万年筆ペン画。
ミニ筆ロック編
6月、筆ロックというアートバトルイベントのスピンオフイベント、ミニ筆ロックの宣伝にイベントの主催者のたのちさんが学校の美術部にやってきた。
筆ロックとは即興で出されたお題で5分で絵を描き、その場にいる人の中からランダムで審査員が選ばれ勝敗を決めるというイベントである。
ダンスバトルやラップバトルに近いのかもしれない。
そこでデモバトルをすることになった。
私は真っ先に手を挙げ、残りの1人はなあなあな感じで決まった。
相手は後輩だった。普通に仲良い女子だった。
負けた。
お題は「天使」で、普段関わりのない・描かないものだからかあまりいい手が思いつかなかった。
焦って描いた。時間が2分も余った。
相手は落ち着いて、絵の中でストーリーを練り上げて描いていた。作品の解説タイムでもそれを語っていた。
一方私はなんとなく、普段描いてるように描いたみたいなことを言った。
勝てないなと思った。
審査員は5人、2対3だった。
あんなに真っ先に手を上げておいて負けるなんて死ぬほどダサい。悔しかった。家に帰ってわんわん泣いた。誰よりも負けず嫌いだから。
今思い出しても悔しい。
7月に本戦があるとのことだったので早速申し込み、1ヶ月の間対策する日々が続いた。
お題は学校がある地域にまつわるものと決まっていたため、それをしらみ潰しに対策していった。また、食べ物など同じジャンルのお題が出た時、使いまわせる型のようなものも考えた。
本戦の神奈川予選も見に行った。バトルの空気感を掴みたかったから。交通費がないので親に無理言って車を出してもらった。
そしてやってきたバトル当日。
死ぬほど緊張していた。それだけ本気だったから。
あとこのイベントに出た理由としてプロのアーティストと交流がしたかったからというのもある。手書きの名刺を20枚ほど描いて持っていった。配りまくった。
バトルの話に戻る。
相手は小さな女の子とそのお母さんだった。
お題は「尻擦り坂通り」。道の名前らしい。
絵そのものはウケた。喋りも完璧だった。
でもまた負けた。絵では絶対勝っていた。だって相手小学生だし。
自分の実力は出し切れたはずだった。対戦相手が違ったら絶対に勝っていた。
運で負けた。私はこういうところでつくづくついてない。
しょうがないと周りの人は言った。やめてくれよ。その言葉が1番嫌いだ。
同じ学校の美術部の人たちも出場していた。勝っているやつもいた。あいつら先生に言われて嫌々出ただけなのに。
MCの人が欠員が出たため敗者復活枠があると言った。もちろん真っ先に手を挙げた。
また負けた。お題は自衛隊。
冷静さを欠いていた。また時間が余った。
5分もあってこれしか描けないのか。本当に自分がイヤになる。
もう観戦する元気もなかった。ちょっと泣いていた。カッコ悪い。男のくせに。
見にきていた中学生の友人たちが私の好きなサイゼリヤに行こうと言ってくれた。
なんだかんだ言っていい奴らである。
食べ切れなかった。トイレで吐いてしまった。それだけ元気がなかった。
絶対どこかでリベンジしてやると心に誓った。
サムライサージ編
しばらくして夏休みに入った。
美術部の課題でB3のボードを1枚仕上げるというのがあった。
秋からはアニメーターになるための勉強や準備が本格的に始まる。
趣味でやっていた万年筆ペン画の集大成を作ろうと考えた。
テーマはサムライと波。刀が好きなのである。
あと私の大好きな曲「surges」から。
私の好きなイラストレーターのM.Bさん(アスノヨゾラ哨戒班などのMVを手がけた方)の空間の作り方に、私のペン画の基盤となったAcky Brightさんのエッセンスを加えた絵を描こうと思った。
タイトルはズバリ、「サムライサージ」。
部活のコーチにエスキースを見せにいった。厳しい先生だったが、そこそこ良い反応をもらえた。
せっせ、せっせ、
せっせ、せっせ、
そして中間講評会の日がやってきた。
先生の評価はそこそこといった感じだった。
1番上の大きな波が化け物の舌みたいだから下の波みたいに枝分かれさせろとのことだった。
修正は難しいと思った。
絵の具で描いた絵なら上から塗り重ねればいいが、ペン画なら修正液かアクリル絵の具などで白く塗ってから修正することになる。
紙の白と修正液などを同化させるのはかなり難しいし、私の使っているインクは染料なので紙に描かないと染み込んで滲んでしまう。
何より私はこの絵が気に入っていた。波の長いストロークが好きだった。
でも先生に歯向かうのが怖くてやるしかなかった。
何度も少しずつ絵の具の色を調合して修正したが結局うまくいかなかった。
この絵は2つに折って捨ててしまった。取っておいても悲しくなるだけだから。先生の言いなりになって自分の信じたことを押し通せなかった自分から逃げたかった。
先生は悪くない。修正すると判断した私が全部悪い。
ただ今までの人生で1番気合を入れて、1番好きな絵だった。
私は自分の絵が嫌いだった。下手くそだから。
それでもサムライサージは好きになれそうだった。
悔しかった。
課題だし、くよくよしていても仕方ないので同じテーマで描き直すことにした。
全然やる気が出なかった。手を抜いてしまった部分もあると思う。
最終講評会は欠席した。もう誰の意見も聞きたくなかったから。
部活の合宿編
それから少しして部活で群馬に合宿に行った。
4日間。ちなみに去年の合宿は油絵が嫌すぎて2日目で親に迎えにきてもらって帰った。
ヘタレすぎる。そろそろ読者のヘイトも溜まってきたことだろう。
今年はペン画をやると先生に宣言していたためフル参加することができた。
初日はロケハン。現地を見て回る。
霧が凄すぎる。万年筆でどう描けってんだ。
2日目 晴れた。
その日はいろんな場所を描いて回ることにした。
稜線が描けた。
犬が来た。かわいいけどこっちにくるとこわい。
3日目
この日は山の頂上に行ってじっくり描くことにいた。
頑張ったことは認める。
ちなみに合宿中に描いた絵は全て一発描きである。線に緊張感を出す訓練だ。
4日目、帰った。
余談だが私はカレーなどの香りが強いもの、加工肉や揚げ物など油っこいもの、総じてこういう場で出される高校生が好みそうなものが少し苦手である。
きつかったが残したりはしなかった。えらい。
後日美術室のロッカー(扉なし共用)に置いていた私の作品にはべったり絵の具がついていた。
なんか袋にでも入れておくんだった。ちくしょう。
たのしいなつやすみ編
ここからいい感じで明るい話題が続く。
祖父母の家に行った。
本をたくさん買ってもらった。お小遣いももらった。
なんだか申し訳ない。肩揉むくらいしかできないのに。
いろんな作家さんの個展に行った。
人とのつながりを増やす。
あとは友人と釣りに行った。
いっぱい釣れた。
私は魚が捌ける。
盛り付け力は皆無。
釣りから帰る途中で筆ロックファイナル当日予選の出場枠が余っていることを発見した。
一瞬悩んだ。また負けるかもしれない。でもここで逃げるわけにはいかなかった。
夏休み最終日に江ノ島に行った。朝4時に出発し、1日で描き上げた。
筆ロックファイナル編
来たぜ筆ロック。今回はミニじゃない、4000円払って出る大会だ。親に借金して出ている。
あと兜は作った。刀も家にあったやつを赤く塗って拵えた。
これでXでしか喋ったことない人も私だってわかる。
今回は4人の中から1人を選ぶ方式だった。アチアチだぜ。
今回ももちろん対策を練ってきた。
お題は完全にランダムなので汎用性の高い「型」を複数用意した。
お題はキツネ。
きた!型にハマっている。
審査員は5人、票が私に2票、他の人に1票、2票と分かれ、決選投票になった。
負けてしまった。
悔しいが、ミニの時のようなやり場のない悔しさではなかった。
きっと自分の実力を出し切れたからだと思う。
でも悔しいもんは悔しい。絶対リベンジする。
絵描きを目指す男子高校生の青春、いかがだっただろうか。
終始悔しい思いをしていた。私は負けず嫌いな性格なので絶対に強くなれるという確信がある。
最高の夏でした!