2023年の活動・製作を振り返る
どうも、ろいたです。
今年を振り返りまくります。
はじめに
2020~2022年のろいたとしての活動の反省として、「アウトプットを増やす」を目標に1年やってきましたが、久しぶりに整った歌モノを5本ほど動画やサブスク配信などのかたちで公開できてかなり満足しています。製作に携わっていただいたPollaid関係者・VocaDuoチームのメンバーの皆様、普段イラスト依頼をさせていただいているシンさんには感謝してもしきれません。また、楽曲を聴いていただいている皆様にも感謝しまくりです。以降は各楽曲ごとの振り返りをやっていきます。
星に願うは / 花隈千冬
TOKYO6 ENTERTAINMENTのYoutubeチャンネルに投稿されている"小樽潮風高校オーディオドラマ「#Starting Over」"というボイスドラマをもとに曲を作りました。存在するストーリーを題材に頭のなかでキャラを動かして歌詞を書くアプローチはあまりやってこなかったので歌詞製作は新鮮でした。「君と今ループしたってまた縋ってしまうよ」の部分が結構綺麗にハマっていて、文脈的にはかなり突拍子もないことを言い出した感はありますが着地としてはうまくいった感があります。
自分自身アニメに影響されやすいオタクなので、当時「ぼっち・ざ・ろっく」を全話観てすぐにギターを握っていたら、運よく完成形が見えてきたのですぐに作りました。そのころまでは「とにかくインプット大事っしょ」みたいなスタンスでやってきてましたが、アナログの機材に触れているとそれだけで創造性が刺激されてアウトプットに繋がるのがいいなと気付かされました。
この曲ではじめてSynthesizer V AIを利用したのですが、「さすがに凄すぎる・・・」となっていたのを覚えてます。ボカロだとベタ打ちのままでは微妙でそこから2~3時間弄り続けて良くなっていくのですが、ベタ打ちのままでも勝手にうまい歌い方になることに本当に感動しました。
一方で、Sinthesizer V AIによって完全に人の歌声を手に入れられたわけではなく、例えば高域の地声・裏声・ミックスボイスの指定は現状実装されておらず、ボイスバンク自体の得意な音域と歌い方にあった楽曲を作らないとかえって不自然な響きとなる点もかなり意識させられました。
+αで、Synthesizer Vの声をオケに馴染ませるのはVOCALOID以上に難しいなと感じています。調声練習がてら十数曲程度カバーを作りましたが、今のところばっちりハマるようなミックスのチェーンが組めてないです。来年以降も向き合います。
ひらりひとえの行く先に / team.ぺんぎんぱれーど!
2023年VocaDuo参加作品その1で、和風×ネオシブ×Future Bassを目標に作りました。結果的にFuture Bass要素は2Aのみとなってしまいましたが、この部分とCメロが自分のお気に入りポイントです。
楽曲テーマとしては、「神様の日常を書く」ことに注力しました。「知らない輝きが見える」の部分は#IVm7/VII→bVIaug/bVII→VIM7となっていますが、この部分はMoonchild「The List」からやや引用してます。短三度下メジャースケール感(VIM7で終わったり、#IVm7で終わったりなど)がシティポップとかネオソウルとかのオシャレミュージック界隈で無限に使われていますが、こういう異質感みたいなのが、神様の「遠いようで近い存在」感を表現するのにあっているように感じて、これがひとつ達成ポイントな気がしています。
この曲は歌詞製作が大変でした。実在のキャラの延長線にあるような歌詞を書くのは、普段自分が思っていることを歌詞にしていく過程と異なり、自分の思っている・考えていることをキャラクターというきめ細かなフィルターを通して書いていく感じだったので、吟味にめちゃくちゃ時間がかかり、全然歌詞が書けない日々が続きました(製作関係者の皆様におかれましては大変申し訳ございませんでした)。
積極的に幸せを見つけにいく、とか、人を幸福にするというパワフルなマインドは日々にありふれた幸福をありがたがっている受け身人間には備わっていなかったので、小瀬戸らむ「Happy♪Lucky♪Sharing!!」を聴きまくることでそのようなマインドを強引に作って歌詞を書いた記憶があります。そんななか書いた「さらりさらりと流る一期一会のなかで」の部分の言葉遣いがなんだかんだ一番お気に入りの歌詞です。
逆にCメロ部分の、日常のありふれた幸福を書くカットはさっと歌詞が浮かんできてよかったです。
何気にIスタートの楽曲をあまり真面目に製作したことがなかったので、案外自分もこういうの作れるようになったんだという成長を実感できました。来年以降ももっと作ります。
あと普通に琴の音源を持ってなくて、単音のサンプルをいくつかInstrument RackとSimpler、Drum Rackを活用して読み込ませて音源をいちから組み立てたのもよい経験となりました。楽器を組み立てるのが想像以上に楽しかったです。
流星の君に / team. 3meteors
2023年VocaDuo参加作品その2で、明るい4つ打ちダンスミュージックをロックで再解釈するパッションで作りました。いくつか作りたい候補にあげていたリファレンス楽曲(という名の好きな曲布教タイム)のなかからSYAMO、さんが「フィクションライン」を気に入ってくれて、こういうダンス×ポップロック的な方針で作れるとお互いに満足できるなと思い、なんとか完成させました。
自分のエレクトロ4つ打ち×ポップロックの師匠的な存在として、Galileo GalileiとTaku Inoueがいて、Galileo Galileiのようなキックやスネアをサンプルで差し込みつつロックをやるスタンスと、Taku Inoueのクラブサウンドをアコースティックな楽器で解釈する(例えば高速のアルペジオフレーズをピアノでやる)アプローチを取り合わせることができて良かったです。
このあたりの曲からコーラスに向き合い始めました。めありーさんのフィクションラインの歌ってみたをひととおり再現して、そのときに「コーラスやハモリ面白いな」と感じ、以降は割と積極的にコーラスを使うようになりました。自分の活動テーマのひとつであるところの透明・綺麗というコンセプトに近い気がしています。
2Bの展開のギターの音作りやフレーズ決めが一番難しく、結構な数の没テイクを生んだので、その分納得のいく展開が作れてよかったなと思います。
サビのメロディがなんだかんだ一番お気に入りで、「君に伝えたい」(レレレドレミレド)の部分のスモールなメロの動きから「歌があるんだ」(シドレソーファミド)というデカめのメロの動きにスムーズに繋がっていくところが好きです。I/III→IV→V→VImのコード進行的にも一番の聴きどころがV→VImの部分だと思っているので、ここに向かって大きなメロディの動きが来るように溜めておくのが、いいメロディラインになった理由な気がします。
クレーター / 花隈千冬
6/8拍子のポストロック~シューゲイザーを目指しました。
2010年くらいの下北系のバンドがやってたポストロックがめちゃくちゃ好きで、いつかこういう感じのやりたいなと思っていたところに、昔の作りかけのデータが運よく見つかったので、それを起点にめちゃ作り変えました。
この曲のメロディがかなりシに着地する傾向を持っていて、またコーラスもシを歌い続けるというギミックになっています。シはIVに対して#11thになっており、またVIに対しては9thの響きを付与できるので、そのあたりが祈りとか悲しさに似た気持ちを表現するのに適していたと思います。Galileo Galileiの「僕から君へ」でも似たようなコーラスの使い方がなされていて、ここにめちゃくちゃ影響受けてます。
この曲を作っていたときはちょうど様々なことがありメンタルが死んでいたので、ものすごく自然に曲調に合うような歌詞がポンポンと出てきて最高でした。個人的にお気に入りの歌詞は「最低なこのロケットに突き刺すような夢を歌ったら満たされるのかもな」です。窮地に立たされているときに現実逃避的にやるDTMや作詞が結局一番上手くいくし、作ってて救われる感が凄まじいので辞められないんですよね。
波風トラベラー / Pollaid
bigband風アニソンを目指しました。ブラス編曲とか一度もやったことなくて泣きながらどうにか形にしました。頑張ればどうにか曲はできるのがDTMの良いところです。
Pollaidの活動の1つに女性ボーカルアニソンを男性ボーカルとして再解釈する取り組みがあり、今回は「船」テーマと聞いてbigbandアニソンBメロのスムーズな感じが思い浮かび、これにするしかないだろうと考えて作り始めました。
bigbandアニソンといって真っ先に思い浮かんだのが中塚武と土岐麻子の「Your voice」(きんモザOP)と「ワナビスタ!」(ワールドダイスターOP)でした。ワナビスタ!の方はドラムは普通めでしたが、Your voiceの方はジャズドラムっぽいセッティングになっており、どっちにしようか迷いましたが、なんとなく買ってた「Jazzistic」のドラム単音やループから好きな音を選んでドラム音源を再構築したい気持ちになったので、ジャズドラムっぽいう感じにしました。
Aメロは「小鳥の歌に胸がドキドキ」の部分のコード進行がめちゃ好きなところです。藤井風の「何なんw」がめちゃ好きなんですが、イントロの間奏から藤井風のコーラスが入ってくるところにかけて同形のコード進行(IIm9→bVIaug7→Vm9→Iaug/#IV)が出てきます。この部分が好きすぎてすかさず使いました。
BメロはJazzisticをつかったこともあり、めちゃいい感じに船が海の上をゆるやかに進むような情景を曲にすることができた気がします。ブラスもレガートがめちゃくちゃ落ち着きを生んでおり最高になりました。コード進行的にはIVm7→IVm7/bVII→VIm9→II9で短三度上から元の調に戻ってくるところがお気に入りです。
アニソンのサビは、サビ内で2つくらいの展開が用意されているよなということにOxT「UNION」を聴き直して気が付いたので、この曲も「モノラルなフレーズも~」と「最高なメモリー~」の部分で意識的に展開を分けました。二段構えになっていればなっているほど嬉しいです。ところで、「喜劇」とか「アイドル」みたいにAメロを二段構えにするのが最近の流行な気がするので、Aメロ二段構えもやってみたさあります。
Cメロは一旦落ち着いてダブルベース+ドラム+ピアノのトリオ編成にしました。BPMを切り替えて一気に元のテンションに戻ってきて、落ちサビの入りはCelestteとベースとドラムから一気に開けるところもかなり気に入っています。編曲に苦しめば苦しむほどいい展開ができてうれしい限りです。
歌詞について、人生で乗船した経験が限られており、全然船のイメージが湧かなかったので、近くの港まで真夏の日差しのなかロケハンに向かって歌詞を考えてました。そこで思いついたフレーズが1番Bメロの「波の上を白い線で描いたら」です。船に直接関係しそうな言葉を使わずに船のことを書けたところがお気に入りポイント高めです。暑さで狂いそうになりながらなんとか言葉を思いつこうとした甲斐があったと思います。
全体的には、なんとか形になったなという感覚があるのと、男性ボーカルの時の編曲(特にブラスとストリングのボイシングや動き方)は改めて考え直す必要を感じました。またこういう感じの曲作るかどうかわかりませんが、次回こそはブラス編曲うま人間になりたいです。
the spring behind (yukidoke remix)
この曲を語るためには2020年リリースの「エフェメルム」くらいまでさかのぼる必要があります。エフェメルム制作時にVALENTINEの「Her」を聴きながら作っていて、このあたりから「過剰に音を割ったようなサウンドデザインって面白いな」と思うようになりました。
その後同様の試みがなされている曲を漁ってる時にIglooghost「Amu」という曲に出会いました。Iglooghostは全然FutureBassではないですが、「Her」がシンセの音を割っていたのに対して、「Amu」はスネアとかキックにフランジャーやフェーザーなどのエフェクトを掛けることで奇抜な音をデザインしており、この音遣いが綺麗なコーラスやピアノ、シンセフレーズと組み合わさって、独特な神秘性を生んでいて明らかな新時代の到来を感じました。今でこそ「人マニア」が結構受け入れられていますが、2020年あたりから密かにこういったサウンドを自分なりに解釈できるといいなと模索していました。
サークルの後輩のKaity砂漠さんという素晴らしいシンガーソングライターがいて、R&Bやポップスのアウトプットが個性的かつ目新しくて個人的にめちゃくちゃ尊敬しているのですが、当時「the spring behind」という曲を発表したばかりだったので、この曲をremixするか~と深夜の思いつきで曲を作り始めました。
前々からKaityさんの声と音割れとかボコーダーとかのサウンドデザインがかなり相性よく感じていたのもあり、ここでIglooghost-likeなサウンドデザインをやってみるかということで試しました。
ピアノはLABSのSoft Pianoを使いました。作り始める直前にCRCK/LCKS「Goodbye Girl」を聴いていたので、6/8でアルペジオを弾いてたらいい感じのフレーズが生成されました。
サビの入りの部分はリースベースでチェロとかコントラバスに似た気持ちを表現しつつ、ドロップとかverseの部分はSubLabの凶暴なベースを採用しました。
全体的には綺麗にまとまったような気がします。remixは元の曲がいい分、手を動かせば動かすほどいい編曲のアイデアが出てくるので、そういうのが楽しいです。
総括
今年リリースした自分の曲を振り返り、「ephemerum」EP以降のインプットをそこそこアウトプットできはじめたかなというところです。結局アウトプットを増やす以上の成長の方法はないと感じたので、来年以降もどんどん締切を作りまくってレベルアップしていこうと思います。
来年は春M3に出展する予定で、アニソン・キャラソンを鋭意製作中です。かなり自信のある曲ができあがりつつあるので来年も楽しみに聴いてもらえると嬉しいです。
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