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「双星の約束」楽曲制作振り返り

「双星の約束」の楽曲制作について振り返っていこうと思います。


Tr.1 「エトワール - ろいた, SYAMO、」

この曲がなかったら、春M3で「双星の約束」はリリースされてなかったくらい、自分のなかでゲームチェンジャーとなった楽曲でした。
作曲自体はVocaDuo2023のときに案として出していたのですが、アレンジとして全く納得のいくイメージが見えてこず、その時は泣く泣くボツとしました。
ところで、B・Cメロの展開、サビのメロディラインが良すぎて(特に終わり部分)これをそのままボツにしておくのは自分のなかでありえなかったため、この楽曲をメインに据えた作品集を作ろうということで、「双星の約束」を作りました。
VocaDuo2023のときにコラボしたSYAMO、さんの声のイメージ感や歌っている楽曲のイメージ感を意識しながら着想した楽曲だったので、そのままSYAMO、さんに歌っていただけて本当に良かったです。

SAYMO、さんの「きゅうくらりん」のCover作品。
Bメロの「大きく育ったもの」の部分の歌い方がとてもお上手で、サビの2回しめからの歌い方もそこまでとは毛色が変わったように感じられる作品です!


アップテンポな明るい曲だと無理やりにでも鼓舞するような歌詞が多かったイメージがありますが、2024年にリリースする曲であるというのを意識して、「空っぽを笑う星雲線を終わらせて」や「輝きのない明日でも愛していたいから」といったネガティヴのなかにあるポジティヴを書けたのが良かったと改めて思っています。


Tr.2 「ハローワンダー - ろいた, 水瀬なな」

この曲は春M3の作品の中で一番最初に書き終わった楽曲でした。カッティングのフレーズ出しや録音も初めてだったので、録音開始当日までビビり散らかしていましたが、やり始めると人って案外なんでもできることがわかりました。
キャラソンということで、明空かれんの常人じゃなさそうな感じを突飛なコード進行だったり気分次第に転調したりなどで盛り込めたのが非常によかったなと思ってます。他には、ピアノのブルーノート感でちょっと知的な感じを出してみたり、2Aではギターをテレキャスタイプからセミアコに変えてみたりと、ちょこちょこジャズっぽい難解さめいたフレーズで色付けできたのが自分のなかのアレンジの成熟として良かった気がしています。
ボーカルはアステリズム⁂所属の水瀬ななさんにお願いしました。水瀬ななさんはREALITYで主に活動されているライバーさんで、配信でよく歌われており、YoutubeではCoverやオリ曲も公開されています。細やかに表現をしていただけてとてもありがたかったです。

水瀬ななさんとのえる。さんのチューリングラブのCover作品。
Aメロの歌詞に合わせてキャラクターが変わっていく感じや歌声の明るさ・元気さが特徴的で、サビの高音もとても綺麗な作品です!

歌詞について、キャラクターである明空かれんの天才肌っぽい雰囲気を、Aメロの脈絡のなさだったり、Bメロの「日々のなかでハテナめいたら溢れだすイマジネーション」に詰め込んだりしてみました。基本的には、かれんの視点で日常を切り取ったり、かれんの信条みたいなものを歌詞に入れる形で製作したのもあり、聴いていてキャラクター像を思い浮かべてもらえると嬉しいです。

Tr.3 「トゥインクル - ろいた, 恋白るな」

(※現在は改題し「starry」となっております。)
星野しずくキャラソンとして製作しながらも、恋白るなさんの2ndオリ曲として製作を両立させる必要があり、恋白るなさんの常に挑戦しながら前に向かっていく姿勢と、しずくのキャラクターイメージとしてはかなり静かなキャライメージで、「自分が変わらなきゃ」と思うような瞬間を切り取った楽曲を作ろうと思ったのがこの曲の起点となりました。
恋白るなさんはVSingerとして活動されており、オリ曲を自分で作曲されていてかつ歌も素晴らしいので是非お聴きください~!

恋白るなさんの1stオリジナル曲。
Aメロのバラードチックな歌い方からサビではしっかり声を張って歌われているその変わり方が非常に印象的な作品です!


「エトワール」とのシナジー的に、IIm9 - bIIM9 - IM9をBメロで組み込めて、メロディ自体も面白くいい感じなフレーズを入れられたのが作曲部分の個人的なお気に入りポイントです。
ストリングス+ピアノ+ギターが上物になっている編曲をこのタイミングで初めて大真面目にやったので、納得できるものができるのか不安しかなかったですが、やれば案外なんとかなったのでOKです。

歌詞について、自分の曲のなかでは「星に歌うは」が今回の歌詞のコンセプトにだいぶ近くて、憧れとなる存在に追いつきたいと翻弄する主人公をどちらも書いてますが、今回はよりポジティヴに、憧れに対して対等以上になりたいという強い気持ちを書きました。サビの「ビートで繋ぐ心それは止まらない」からが個人的に一番気持ちよく言葉をはめられた気がしています。

Tr.4 「luminous - ろいた, Utane」

この曲は「双星の約束」挿入歌ということもあり、ワンコーラスが90秒とかを考えずに好き放題やりたいなというところから構想からスタートしました。
作曲についても、そういった構想をうけて、サビ以外は繰り返し禁止という縛りを設けて製作しました。1パート完成するごとにこうやったら面白くなりそうという要素を積み重ねてこの曲ができあがりました。編曲部分は、イギリスの一部のベースミュージックの製作者が行っているような低域が異常に広がっているのに全体としては成り立っている音楽が好きなので、そういった普通アニソンじゃありえない要素を取り入れつつ、アニソンポップスとしても成り立つように色々と挑戦してみました。
ボーカルはUtaneさんにご依頼しました。仮歌段階でメロディとか歌詞とかこれでいいのかという不安がかなり高かったのですが、Utaneさんのボーカルが入った瞬間に楽曲全体に納得感が生まれて、本当にご依頼できてよかったと思いました。

Utaneさんの少女レイのCover作品。
Aメロ入りはかなり静謐な雰囲気を持っていて、そこからサビに向かうにつれて、どんどんと表情を変えていき、最後までどうなるのかわからないワクワク感と作品として一貫した透明感が印象的な作品です!

歌詞は、物語の終わりと別れをテーマに書きました。ここまでの曲で宇宙テーマをやっておきつつも、結構身近なことを起点にしたり、人間同士の関係を起点に書いていたのもあり、この曲はむしろずっとデカい話をしようと思い歌詞を書いています。ところで、デカい話をするのは全体の言葉のスケール感のバランスを取るのが難しく、もうちょっと修行する必要があるなと感じました。

Tr.5 「流星の君に - ろいた, SYAMO、」

この曲は昨年の楽曲製作まとめに元となったアイデアを書いているので、そこに興味がある方はこちらを見てもらえるといいかと思います。

「双星の約束」製作当初からEPに入れる予定があったので、最終的に何らかの別れがあるストーリーを作ろうと思うきっかけになりました。
作曲から編曲までほぼ2日で書き上げた楽曲で、その分全体の一貫性がかなりある作品になっているかと思います。また、この曲ではじめて、編曲が終わってから最初に書いたメロディを全て削除してもう一回メロディを書き直すというアプローチをとったので、楽器のグルーヴ感がメロディに完全に合致するようにデザインされているものが作れました。
歌詞は「歪な宇宙を劈いた君が笑ったような声が聴こえた」とかなりデカい話から始まり、サビでは「君に伝えたい歌があるんだ」とかなりパーソナルな話に変わっていくそのバランス感がかなり気に入っています。ラスサビがコーラスで終わるのが大団円感あってここもお気に入りポイントです。

まとめ

以上、「双星の約束」楽曲製作関連の小話でした。
自分のなかで最も全力で取り組んだということもあって、時間を空けて聴き直しても納得いくものが作れたという感覚があり、自分の歌モノ製作でだいぶ自信がつくようなきっかけになったと思います。
春M3迎えるまで「これって買いたい人おるんか・・・?」と半信半疑で進めていましたが、多くの方に受け取ってもらえて、また様々な方から感想をいただけて嬉しいかぎりでした。
改めて、本制作に関わってくださった皆様、またイベントで買ってくださった皆様やサブスクで聴いてくださっている皆様、大変ありがとうございます!
今年が終わる前に「遠星の追憶」の楽曲製作の話も書きますのでよろしくお願いします。


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