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世界のチャリティショップ②(イギリス、日本、その他)山崎亮トークセッション「チャリティショップとその魅力その3」

2020年8月31日にkudan houseで開催された「NI-WA×Loidutsによる共感を広げるクリエイティブな9日間。」内で行われたトークセッション「山崎亮が語るチャリティショップとその魅力」を元に記事にしました。

その2はこちら

山崎亮
(studio-L代表/ロイダッツチャリティショップ総合ディレクター)
1973年愛知県生まれ。東京大学大学院修了。博士(工学)。社会福祉士。2005年にstudio-Lを設立。地域の課題を地域に住む人たちが解決するためのコミュニティデザインに携わる。まちづくりのワークショップ、住⺠参加型の総合計画づくり、瀬戶内国際芸術祭コミュニティアートプロジェクトなど、さまざまなプロジェクトを手がける。

イギリスのチャリティショップ

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イギリスのageUK(エイジUK)は、高齢者福祉団体が作ったお店です。イギリスを歩くとよく出会うお店、という印象があります。

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British Heart Foundation(ブリティッシュ・ハート・ファウンデーション)もよく見かけるお店です。心臓や血管に関係する病気に対して寄付をしています。赤がテーマカラーのお店で、家具ばかり扱ってるお店もあれば、服ばかりを扱っている店もあります。

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Cancer Research UK(キャンサーリサーチUK)は、がんの研究や資金の提供をしているチャリティ団体です。
右の写真はCancer Research UKとOXFAM(オクスファム)と2店舗のチャリティショップが並んでいます。多いところでは商店街にチャリティショップが4店舗くらい並んでいるところもあります。イギリスは本当にどこへ行ってもチャリティショップがあるというような状態です。

チャリティショップをおしゃれに変えたメアリー・ポータス

ただ、イギリスのチャリティショップには問題がありました。
それは、「ダサい」ということです。

何が寄付されてくるかわからないので、陳列が難しいということがあるでしょう。定型の形ではないし、サイズのバリエーションが多彩。そのため、寄付された服を綺麗に陳列するのは極めて難しいんです。
それから働いてくれてる方々もボランティアがほとんどでプロではない。売れたら売れただけ、入ってきたものを陳列しているので、段々とお店がぐちゃぐちゃになっていました。

この様子を見かねて世論が色々動いた結果、イギリスで小売業を専門とするコンサルタントで、小売会の女王というニックネームがあるメアリー・ポータスという女性が「チャリティショップをおしゃれにする!」と宣言をしました。

「メアリー・ポータスのミステリーショッパー」というテレビ番組で、チャリティショップをおしゃれにしていったのです。『チャリティショップは、昔はこんなでしたが、ポータスが入ったらこんなオシャレになりました』という様子が、毎週のようにイギリス全土に放映されていきました。
その結果、今イギリスのチャリティショップに行くと店内が整っているという状況になりました。

その後、ポータスさんはどうしたかというと、チャリティショップのアドバイスだけではなく、お店を自分で作りたいということを言われたそうです。
それを聞いた国際NGOのSave The Childrenがイギリスにチャリティショップを出す時に、ポータスにプロデュースしてもらって中を綺麗にしていこうというようなことになって、今はポータスの名前を掲げたお店(Mary's Living and Giving Shop)がイギリスに20店舗くらいあります。

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それぞれの店舗ごとに正面のファサードや入り扉の色が、グレー・緑などと全部違っています。内装もそれぞれちょっとずつ違っていてかなりバリエーションに富んでいます。写真を見ると相当セレクトしているお店だとわかるでしょう。

日本のチャリティショップ

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日本にもチャリティショップ協会というようなものがあります。この協会の方々にも色々と教えていただきました。

日本のNPOの方々が運営しているチャリティショップでは、着物など極めて日本っぽいものがたくさん売っています。
今後、東京オリンピックなどで海外から来られた方々が、日本のチャリティショップで『これ日本ぽいな!』と思うものを買って帰っていただくということができたらいいなと思っています。そして、いただいたお金が日本のがん患者さん及びその家族の方々のためになるという、何かそういう流れが作れたらいいなということを考えているところです。

チャリティショップネットワークの会員企業さんはNPOを中心に20社ぐらいあったと思いますが、こういう社会的活動している方々が、チャリティショップをもっと魅力的にするためにどうしたらいいのかを日々研究されています。研究の課題の一つは、やはり「どうしたらチャリティショップのお店をおしゃれにできるのか」ということです。

わたしたち(studio-L)はデザイナーだったりアート活動をしたりしていますから、チャリティショップはこんなふうに見せることができるんじゃないですか?という事例を日本で作り、写真に撮って、チャリティショップネットワークさんに返すことで、何かの参考にしていただければありがたいなと思ってます。

チャリティショップをおしゃれに見せることは本当に難しいんです。決してチャリティショップの方々が怠けているというわけではありません。靴が来るかもしれないし、CDが来るかもしれない、あるいはすずりや筆が寄付されるかもしれない。これをどのように陳列するのかはプロでも相当難しいことです。

雑多なものをどう美しく見せていくのか、という陳列の方法について何か貢献できたらいいなと思ってます。


その他の世界のチャリティショップ

その他にも世界にはさまざまなチャリティショップがあります。
台湾やドイツなどにもありますね。

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今でも、世界中のチャリティショップをインターネット上で巡っていますが、基本的には現地に行って、そこの方々のお話を聞いて情報を集めていきたいと思っています。現在は新型コロナウイルス感染症が蔓延している状況なので、世界を歩くことがなかなかできないのですが...。

これからも引き続きチャリティショップを研究し続けて、その内容をまとめて、それをLoidutsの取り組みに反映させていけたらいいなという風に思っています。

トークセッションの様子はYoutubeでもご覧いただけます。
どうぞご覧ください!



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