他説を封殺するのではなく、受け入れないと議論にはならない
違和感の塊。この閉塞した、重苦しい空気感が息苦しすぎる。
さざ波発言に対する攻撃は過激化している。グラフを見れば、FACTは諸外国と比較して明らかに平穏な状態である事をデータが示している。さざ波という表現に何も間違いはない。但し、最後の(笑笑)という表現が不謹慎で、不適切という感情論的指摘はあるだろう。しかし、攻撃はその範囲を大きく逸脱し人格攻撃に至っている。これは中世の魔女裁判だ。
<アスリートが発信し始めた内容の一部解釈>
アスリート達も声を出しつつある。錦織選手は、人が死んでまで五輪を開催させるべきでないと言う趣旨の発言、新谷選手は、アスリートは特別な存在でなくワクチン接種優先される事への違和感を語った。
人がバタバタ死んでいく様な状況では、その通りだろうし、欧米の感染ピーク時ならば考える必要があるだろう。しかし、日本はデータを冷静に比較するとワクチン接種が進み活況に沸いている英国などの状況と同レベルなのだ。逆に、だからこそ、この状態で医療逼迫となる脆弱性が一番の問題なのだが。
流石に1人も死なない状況でないと開催できないとは言わないだろう。そんなことを言っていたら、車に乗る事すら出来ない、いや、外出など出来様がないからだ。入浴中の溺死が年間5000人発生している現状では、風呂すら入れない事にもなる。
ワクチン接種の優先順位も確かに日本は少々疑問を感じざるを得ない。
医療従事者が最優先と、日本では誰も疑問を持たないし、発言できない空気がある。しかし、国際的には、この基準は日本だけであり、百歩譲って医療体制の事を考えると、10%もいないコロナ対応医療従事者が最優先とするべきなのだ。
日本の医療資源の数%しかコロナ対応していない。ワクチン接種も、政府が調達に成功しても、今度は接種に非協力的、非建設的な発言がメディアで吹聴されている。90%以上のコロナ非対応の医療従事者が協力すれば可能だろうし、少なくともワクチン接種者は協力するべきだろう。一般企業で社長からトップダウンの指示があったら、無理と言わずに、やる方法を徹底的に工夫しイノベーションを起こすべく努力する。何故、その姿勢が取れないのか。
高齢者も順番が違う。データから見れば明らかで、ぴんぴんしている高齢者よりも高齢者施設に入所している高齢者の方が明らかに致死率が高い。大阪などはその典型例なのだ。つまり、全ての高齢者を公平に接種するのではなく、施設入所者と施設への出入り関係者を優先接種すれば効果は大きい筈だ。実は、多くの国はこの考え方を取っている。
アスリートも優先接種の対象ではあり得ない。しかし、水際対策でバブル対応を実施したとしても確保できるのは安全であり、安心を確保する為には、入国者をワクチン接種者に限定すると考えれば、論理性が高い。そういう意味での優先接種なのだ。
新型コロナを恐れる必要は無いとは思わない。正しく恐れるべきなのだが、今の風潮は、恐怖で煽られ、事実に目を向けず、他説に対して排他的で攻撃的に絶対正義を押し付ける、極めて危険な状況なのだ。
正しく恐れるためには、正しく事実に目を向けて、他説にも耳を傾け、冷静な議論・考察を繰り返し、対処を判断していく必要がある。まさしく、冷静な議論が必要なのだが、国会審議でも排他的絶対正義での糾弾しかなく議論にならない。冷静な議論に必要なのは、データが示すFACTであり、そこから論理的、科学的考察を行う必要があるのだ。
<オープンデータが示す日本の感染状況>
日本の2021年5月10日時点での状況を、NHKのサイトから確認する。
累計感染者数は646,699人、死亡者が10,981人、重症者が1,152人である。
しかし、まず感染者数というのは大きな嘘である。正確に表現すると、検査陽性者である。正確に表現しているサイトもあるが、メディアなどは全く出鱈目なのだ。何が違うのか。感染に関わるステップを時系列で示すと下図の様になる。
つまり、公表されている感染者数というのは、ウイルス暴露以降の人の数を示しており、正確に言うと検査陽性者なのだ。陽性者とは、感染すらしていない人や感染後も無症状のまま発症しない人も含むので、実際の感染者より相当数多い数字になる。また、感染後も発症直前までは他人に感染させるリスクは極めて低い、逆説的に言うと、近い将来発症する人でないと他人に感染させないのだ。
ここで他のデータも確認する。2021年4月29日に朝日新聞デジタルで報道された世田谷区の実態調査である。無症状者に感染力のある人が存在したと騒いでいるが、その実態は、21,710人を対象に検査した結果、117人が陽性(陽性率0.54%)。その無症状陽性者78人の内、約3割の27人が感染力のある状態である事が分かった。つまり、0.18%の人が感染リスクを持っていると言う計算だ。
よく言われる無症状者からの感染リスクとは、この僅かの近い将来発症する人だけであり、その他大勢の無症状者を対象とした検査は不効率極まりない事が理解できるだろう。
次に死亡者数だが、これは厚生労働省の定義を示す必要がある。それは、陽性者で死亡した人であり厳密な死因を問うていない。極論言うと、ウイルス暴露しただけで陽性判定されれば、他の死因で死亡した場合もコロナ死に含まれるのである。当初は正体不明の為、広く確認する必要があったのだろうが、例年のインフルエンザ死者とは定義範囲が異なるのだ。インフルエンザ死者は、直接死因の死者がおよそ3,000人、関連死含めると10,000人である。コロナは関連死よりも更に定義範囲は広いので、現状の10,000人でもインフルエンザと同等以下であることになる。
では、実際の直接死者数はどうなのだろう。推定する情報があった。それは、日本COVID-19対策ECMOnet、COVID-19重症患者状況の集計の数字を流用する。ECMO治療成績の2021年5月4日現在の累計数では、
ECMO離脱 339件
死亡 194件
ECMO実施中 61件
この数字は、日本のおよそ80%をカバーしているとの事なので、ECMO装着後死亡に至ったのは、194÷0.8で243人が推定値となる。
そして人工呼吸治療の累計は
軽快 3046件
死亡 877件
実施中 520件
同様に80%カバーなので、人工呼吸治療後の死亡者は、877÷0.8で1096人。
ECMOと人工呼吸器を合わせると、1,339人が推定値となる。
1万人を超える死者をカウントしているのに、重症化からの死者がたったの1,339人なのだ。例外的に重症化せずに死に至るケースもあるが、それにしてもカウントされている死者数は多すぎる。これは何を意味するのか。
もう一つ他のデータだが、第三波の大阪における死亡事例をまとめたデータを見てみる。2021年4月13日時点の集計で、36,065人の陽性者中、重症で入院療養対象となったのが1,148人で内、229人が死亡している。その他の重症化していない入院療養者から704人が死亡しているのだ。入院して、重症者にカウントされる前に死に至るとはどういったケースなのだろうか。仮説として考えられるのが、看取りではないだろうか。
ここまでのFACTから想定できるのは、日本の新型コロナ感染者数は、60万人より遥かに少なく、最大でも感染率0.2%程度で、全人口で考えると25万人以下と想定できる。直接死因の死者数は、直接死因と推定である1,339人に、残念ながら天寿を全うした看取りの方が、その3倍4,000人程度、足すと、およそ5,300人という推計が算出できる。
メディアの多くは情報が少ない、説明が少ないと言うが、それは自分達の意見と異なる説明に対しては批判に終始し、感情的に攻撃するからであり、オープンデータは転がっている。ここに示した様なデータは、誰でも入手できるし、説明も繰り返されているが、何故か聞く耳を持たれていない。メディアを主流とする、一方通行の情報統制となっているのである。
<コロナ対策の基本>
それでも、問題なのは、この様な(敢えて使うが)さざ波状態でも、医療崩壊が起きている事が最大の問題である。
従って、筆者の自説では医療資源の緊急事態、有事対応における強制的資源再配分が可能な法整備が最大にして最高の対策になるのだが、時間もかかる事から(協力体制もしくは強制力を持てば今すぐにでも比較的容易にできると確信はしているのだが、現実は抵抗勢力の岩盤は厚いのだろう)、感染抑止対策が重要になる。
これも他の投稿で多く語っているが、人流抑止は直接の抑止力にならない。
まず第一に、各人の免疫力向上が最大にして最高の対策だろう。ワクチンによる獲得免役ではなく、自然免役である。個々の健康管理、自己防衛、昔から言う、風邪をひかない様に徹底的に養生する事だ。適切な運動、睡眠、栄養補給などなど。
そうはいっても、個々人の健康度は異なるので、社会的な対策も必要になる。
何と言っても、飛沫感染対策だろう。決して人流抑制ではない。即ち、感染抑止対策を実施している施設は営業を行っても良く、逆に、どういった施設であろうとも、飛沫飛散抑止の対策が不充分であれば、強制的に休業させるというメリハリを利かせた法整備が必要だ。そんなのチェックできない、というのは大きな間違いだ。例えば、スピード違反や飲酒運転は全てをチェックしている訳ではない。抜き打ちで確認するだけでも、飲酒運転などは罰則の厳しさから相当減少している。同様で良いのだ。
加えて、口コミサイトでの対策の公開と利用者による口コミ投稿、そして怪しい所への役所立ち入り確認だろう。
新たな情報で、飛沫感染以外に排泄物からの接触感染のリスクの高さを示す情報がある。確認は出来ていないが、このことが事実であれば、実際に今まで感染経路的に不明だった事もある程度の説明が出来る。この場合、マスク会食も接触感染リスクが高いことになる。笑い事ではなく、神戸市長の主張が正しくなるのだ。
やはり、究極の対策は、手洗いうがい、手指消毒なのだろう。
路上飲み、若者、夜の街、新宿・池袋、パチンコなど、非科学的にターゲットにして攻撃するのは、本質的な対策が疎かになってしまう。
そういった意味で、五輪はバブル対策を実行するとの事であり、これは隔離と同様なので、選手団から一般国民への感染抑止対策としては有効であろう。この方式であれば、理論的には周囲の感染状況が逼迫していても関係なく、大会運営が可能だ。後は、その理論的な対策が、現実の運用でどこまで可能かの検証であろうし、そういう意味でテスト大会による、シミュレーションと課題のフィードバックは重要なのだ。