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街で見かける一般的な4トン車は、なぜ4トン積めないのか



はじめに


 配送試算業務の際などで、よく耳にする会話があります。それは「4トン車って何トンまで積めますか?」といったやりとりです。

 お客様からも「4トン車だから4トンまで積めますよね?」といった至極当たり前とも思えるお問合せを頂く事もありました。

 しかし、結論としてきっちり4トン積める車両はあまり見かけないのが現状です。そこで、皆さんがよく街で見かける一般的な「4トン車」が、なぜ4トン積めないのかを明らかにしたいと思います。

4トン車の定義

 まず、「4トン車」の定義、あるいは「4トン車」とはどう言うトラックかを明確にします。但し、ここではトラックにスポットを当てているためバスについては除きます。

 「4トン車」は現在中型自動車に区分されていますが、道路交通法を確認すると2007年の改訂で『中型自動車とは、車両総重量(※注1)が5トン以上11トン未満、最大積載量は3トン以上6.5トン未満の範囲である』(※注2)、となっています。

 さらに、この中型自動車を区分すると次の様になります。

『車両総重量8トン以上、最大積載量5トン以上を特定中型自動車とし、これ未満の中型自動車を“特定以外の中型自動車”と区分する』(※注2) 

 このように、法律では車両総重量と最大積載量に触れており、「4トン車」の法律上の区分である“特定以外の中型自動車”は5トン未満まで積める事になっています。ここまでの法律の記述によれば「4トン車」の最大積載量の上限が分かり、4トン積める事に疑問はありません。

最大積載量の罠

 次に実際の運用における「最大積載量」について解説したいと思います。最大積載量を求めるには簡単な式が有り、以下のようになります。

最大積載量=車両総重量-荷物を積載しない状態での自重(空車重量)-乗車定員×55Kg

 ここで、乗車定員を2人と仮定して4トン車で計算してみます。

最大積載量=8,000kg(車両総重量) – 4, XXXkg(自重) – 2人×55kgとなり、最大積載量は自重(空車重量)に影響される事が分かります。

 一般的な“特定以外の中型自動車”の空車重量はどの程度かと言うと、荷台などの架装を含めて4トン前後あるいはそれを超える物が殆どです。

 結果、上記の式で計算をすると実際に積める最大積載量が4,000kg確保されるのは厳しいと言う事が分かります。

 まして、保冷車の設備や車体後部についているテールゲート昇降装置、もしくはテールゲートリフターと呼ばれる昇降装置、トラック搭載型のクレーン等の装備が有る場合は自重(空車重量)が増え、最大積載量が減になり3トン程度しか積めないトラックも少なくありません。これが、「4トン車」に4トン積めない理由です。

 ちなみに、「10トン車」は車両総重量が25,000kg以下で、空車重量が10,000kg+aなので、「10トン車」に10トン積む事はほぼ問題有りません。これで、「4トン車」の最大積載量のなぜ?がおおよそ理解できたのではないでしょうか。

 もう少し言いますと、「4トン車」とは「大体4トン位まで積む事が出来るが、必ずしも4トン積める訳ではないトラック」であり、車両総重量8トンに対して自重が4トンを超えるのが一般的なため、4トン積む事が出来ない(場合が多い)からです。

 「4トン車」と言う呼び方は、あくまでも見た目の呼び方であり、最大積載量と混同しがちですが、実際はあまり関係がないと理解したら良いと思います。

※今回は一般的な「4トン車」について言及しましたが、車種により4トン以上積めるトラックも有ります。

(文責:熊沢)


(注1) 車両総重量: トラック車両重量に乗車が許される定員や最大積載量の荷物を積んだ走行状態での全重量 社団法人 全日本トラック協会サイト 『トラック早わかり』車両総重量と積載量より引用
(注2) 道路交通法の一部を改正する法律(平成16年法律第90号平成19年6月2日施行)、(道路交通法施行規則 総理府令第六十号第二条)


参考1:社団法人 全日本トラック協会 トラック早わかり8.車両総重量と積載量
参考2:Wikipedia「中型自動車」より

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