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フットがブラックな裏話
※あくまで個人の感想です。聞き流して頂いても結構です。
昨年の2024年に採集したゴミムシの中で最も印象深いゴミムシの1つがアシグロアオゴミムシという虫です。
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珍品アオゴミムシの一角で、南西諸島を中心に記録が多いです。
しかし僅かながら本土からも記録があるようで、近年神奈川や千葉からも記録されています。
そんなアシグロアオゴミムシの生息地を昨年、なんと本土で、しかも複数ヶ所発見出来たので、
(いずれ報告はするつもりですが)採集までの細かい経緯を共有出来れば、と思いますm(_ _)m
1ヶ所目
初めて遭遇したのは街灯の下でした。
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この街灯は4月末から割と頻繁に通っていて、ベーツヒラタゴミムシやオオヨツボシゴミムシといった良いゴミムシをいくつか得ています。
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一方で4~6月の間、問題のアシグロアオは見つかりませんでした。
がしかし7月に入って間もない頃、その時は突如訪れました。
「ん?なんだコレ?」
どこか異質な雰囲気をまとったアオゴミムシを見つけて一瞬戸惑いましたが、足の色を見てすぐその違和感に気づきました。
さっと掴んで手持ちのチャック袋にいれて改めて確認してみると…
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「アシグロだぁぁぁ!!!」
当時、気分は最高潮に達し、ワケが分からなくなっていました( ̄▽ ̄;)
今思い出してもあの時は最高の時間でしたね
街灯に飛んできたということは近くに生息地があるはずだと思い、後日改めて周囲の環境を確認してみると案の定というか、規模の大きな低茎草地があるではないですか!(゚∀゚)
知ってしまったからにはじっとしていられず、その1週間後くらいにその場所へ向かいました。
到着し、いざ捜索開始!
どうやらこの場所はコケ類が多く生えているような場所のようで、よくある芝地とは異なる様子。
そんな中、期待を胸に探していると………
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「ほんとに居るじゃんか!!!」
今回は偶然ではなく、狙って見つけることが出来たので感動ものです(*^^*)
結局1匹しか見つけられませんでしたが満足のいく結果となりましたね。
他にはアカガネアオゴミムシやアトワアオゴミムシ、少数のゴモクムシ類が得られました。
中でも他所ではあまり遭遇しないケゴモクムシが得られたのは嬉しい誤算でした(*^^*)
現地で確認した感じどうやらこの草地は湿地と繋がっている湿性草地のようで、
また一応隣に小さな川が流れているので河川敷という扱いにもなるんでしょうか…?(微妙)
4~6月まで街灯下で見られなかったのは、そもそも走光性が低いのか、あるいはまだその時期は活動していないのか。
まだまだ分からないことが多いですね( - -)
2ヶ所目
あれから少し時間が経ち、8月中旬になりましたがまだまだ暑い季節です。
そんな折、とあるゴミムシを見たい!ということで隣の県へ出向きました。
そこは大規模な川の河川敷で、狙っていたゴミムシ、ヨツボシツヤナガゴミムシを無事見つけることが出来ました(かわいいね)
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狙い通り発見出来て気分が上がっていたその帰り道、偶然そこそこの規模の乾いた芝地を見つけました。
ありきたりな場所ではあったのですが、
気分が良かったのと当時自分の中で草地ルッキングブームが来ていたので何となく見て回ったんです。
そしたら……
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「えぇ…」
流石に喜びより困惑が勝ってしまいました。
だってこんな簡単に見つかるわけがないんです、本来は。
結局ここでは2匹見つける事が出来ましたが、何か特別な条件があった場所のようには思えません。
ただの芝地です。
一体何が起こっているのか私にも分からず、しばらく呆然としてしまいました(^^;
ちなみに他にはアカガネアオゴミムシ、アトワアオゴミムシ、コアトワアオゴミムシ、キンナガゴミムシ、オオゴモクムシなどれっきとした草地性ゴミムシ達が得られました。
案外色々いるもんなんですねぇ( ̄ω ̄)
総評
こんな事があり、計2ヶ所、計4匹という結果になりました。
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渡辺・瀬能(2023)では本土のアシグロアオは6~9月に成虫が得られているとありますが、
今回採集した時期はどちらも7、8月の蒸し暑い時期だったこと、4~6月の間は得られなかったことから、本土では夏の間だけ活動しているという可能性を後押しする結果になりましたね( ¯ω¯ )
また、今回発見したそれぞれの生息地はどちらも低茎草地でしたが、湿度と植生の違いが顕著でした。
そのためアシグロアオが選好する環境は低茎草地であればあまり湿度や植生には拘らないということが窺えます。
では何故本土では記録が極端に少ないのか
本当に何でなんですかねぇ(´д`)
論文内でも同様の指摘がなされていますが、
基本的に草地ルッキングはゴモクムシ類が多い春や秋に行うことが多く、
夏の間はそもそも草地ルッキングをしない人が多いというのが一因なのではないでしょうか。
つまり
アシグロアオゴミムシは本土にも割と生息しているけど、ただ見つかってないだけ説
いや、ここ数年で個体数が増加してるだけでしょう。実際、各地で本種の記録が相次いでいます。
全くありえない話では無いですよね。
論文内でもこの可能性が挙げられていますし、私も同じような考えです。
この説を立証するためにも全国の虫屋の皆さんには、是非、真夏の草地ルッキングをお願いしたいものですね( *´꒳`*)
以上、フットがブラックな裏話でしたm(_ _)m
参考文献
渡辺恭平・瀬能 宏, 2023. 神奈川県小田原市で確認されたアシグロアオゴミムシChlaenius (Pachydinodes) leucops (Wiedemann, 1823)(コウチュウ目,オサムシ科). 神奈川自然誌資料 42: 65–70.