『あいミス』とファンタジー文学とのつながり①

こんにちは。泉のエクセリオンです。昨年の12月から『あいりすミステリア!』というオーガストの美少女ゲームで遊んでいるのですが、作品の舞台が異世界であるので、人間以外にもエルフィン(エルフ)やドワリン(ドワーフ)獣人、人魚(セイレーン)といった種族が登場します。
 遊んでいる内に色々な聖装(ドレス)を入手したり、学園ストーリー、イベントストーリーなどを見て「もしかしてエルフィンやドワリンに関してはこの本を参考にしているのかな」と思うところがあったので、書いてみようと思います。以下は全て私の私見です。
 ①エルフィンという種族名について
最初は「エルフ」という言葉を少し変えただけかな、と思っていましたが「エルフ」と「フィン」なのでどこかで聞き覚えがあるな・・と調べてみたら20世紀のイギリス人作家J・R・R・トールキンの中つ国神話集である『シルマリルの物語』(1973)に思い至りました。この作品に登場するエルフの一部の種族の名前は「○○フィン」「フィン○○」というハイエルフ(上の時代のエルフ)が多く登場します。例えばフィンウェ Finwe フィンゴルフィン、Fingolfin フィンゴン Fingon フィンドゥイラス Finduilas等々・・最も名前だけを参考にしているのであって、小説の内容は参考にはしていないでしょう。『あいミス』の世界観とはあまりにも違うというのがその理由です。
 又「エルフィン」という名前に関しては、もっと古いウェールズのアーサー王の騎士物語集である『マビノギオン』の「タリエシン」という話の中に「エルフィン」という人間の王子が登場していたりします。この人物はエルフではないようです。
 ②セシルの秘跡聖装
セシルの秘跡聖装の学園ストーリー「ハイエルフィンの物語」において「ハイエルフィンが森の外に出て、エルフィンでない者と結ばれたお話を見つけたんです」という台詞があります。これも何処かで見たな・・と思ったらこれも上記の『シルマリルの物語』の中に人間の勇者ベレンとエルフの王女ルーシエンとの恋物語があります。
 又、同じくトールキンの『指輪物語』(1954,1966)にも人間の王アラゴルンとエルフの王女アルウェンの種族を越えた恋物語があります。
 最もセシルの言うように「森の外に出て・・」ではなく人間がエルフの森に迷い込んで、という馴れ初めですが。しかし、冥王とセシルのように甘い生活というわけではありません。終わらない試練の連続であり、種族の違いという壁は最後まで立ちはだかります。

まとめ
ファンタジー文学と言いながら殆どトールキンの小説になってしまいましたが、これはトールキンの中つ国の物語が、現在のファンタジーの大元と言われているほどなので、仕方のないことなのかもしれません。
こういう美少女ゲームにも昔のファンタジーの要素が所々に見られるように感じるのは、大変興味深いなと思います。
 
参考文献
J・R・R・トールキン 田中明子 訳『新版 シルマリルの物語』評論社 2003年

J・R・R・トールキン 瀬田貞二・田中明子 訳『新版 指輪物語1~10』評論社 2002年

トマス・ブルフィンチ 野上弥生子 訳『中世騎士物語』 岩波文庫
2021年

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