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境界~家族システム論~

家族システム論、家族をみる3つ目の視点は「境界」です。
境界とは何かと外を区別するためのものと説明できます。

家族を単位とした境界を考えると2つに分けられます。一つ目は家族内境界。これは親子間の境界線です。

もう一つは家族外境界、これは上世代や地域との間の境界のことです。

「境界」を考えると、最初に親子関係の濃度はどうかという問いが立てられます。
わたしと親との関係は、過干渉気味かな、放任気味かなとふりかえってみてみると、親子の間で境界線が引かれているかどうかがわかります。

親子の境界を考える際に、具体的な場面から考えてみます。
例えば、自分の部屋個室があったかな、自分の部屋に用があるときに親はノックしてくれたかな。
脱衣所やトイレを急に開けられてごめん、みたいなことはなかったかな。親に秘密はもてていたかな。一線を引けているかどうかを判断できそうな場面です。


 わたしが育った家は、母が少し干渉気味な傾向にあったように振り返ると思います。
というのは、部屋に入るときにノックしないので、急に入ってきて驚くこともありました。洗濯物を持ってきてくれるとかそんな用事だったのですが、自分の部屋に急に入ってくるのはやめてほしいと思っていました。
そんな思いだったので「ノックしてよ」と言ってみたこともあります。しかしながら、ノックと同時にドアを開けるような母でした。

でも好きな人いるの?とか誰と仲が良いとか人間関係について詮索されることはなかったし、わたしも秘密にしていました。
それで一線引いていたのかなと思います。


家族外境界については、今私達が営んでいる家族とそれ以外の間の境界はどうかなという視点です。

例えば、核家族で暮らしているとして、上世代や祖父母の家との間に境界線が引かれているか、自分の家族と地域との間の境界を考えます。

今暮らしている家と、上世代(実親や義理の実家など)の間の物理的距離はどうでしょう。近いですか、遠いですか。
心理的距離は近いでしょうか、遠いでしょうか。

物理的距離と心理的距離は比例しないです。

物理的距離は近くて、心理的距離は遠いというケースは問題を抱えている家族のような気がします。
ただ物理的距離はコントロールし辛いので、心理的距離で調整するのが現実的かもしれません。
どうするかというと、「秘密」を作ることで一線を引くというやり方です。


もう一つ、家族外境界について考えてみます。

子どもの頃、誰の家によく遊びに行きましたか。
その家には友達がよく集まっていませんでしたか。
たまり場のようなご家庭がありませんでしたか。
反対に、誰もよその人が入れない家はありませんでしたか。
地域との関係では、暮らしている地域と家の境界がゆるいとたまり場になりやすく、境界線が濃すぎると孤立するということになります。

「境界」という概念は目に見えるものではありません。
ですので、家族の心地よさを探る必要があるものですし、発達とともに境界は変化していくことに自覚的である必要があります。

これまで3回にわたって家族システム論について紹介しました。
1つ目はパワー、2つ目はサブシステム、そして3つ目が境界です。
自分の家族を運営する際に、これらの視点を意識してみるとできることが見えてきます。

今の傾向がわかると、なにか問題が生じたときや葛藤が起こった際に、パワーを調整しよう、サブシステムを強化しようとか、境界線を引き直そうとか自分でできることが増えると思います。

何もない家族はない、でもうまく運営している家族はたくさんある。
そんな家族のストーリーを聞いて興味深く感じている自分がいます。

家族は深い、深いは面白い。


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