#1 「急病人発生」
皆様こんにちは、救急医@タマネギです🧅
私は今月、新幹線でとある地方に出張してきました。
数日だけでも、見知らぬ地での生活ってワクワクしますよね?
私が最近経験した新幹線内の出来事のおはなしです。
複数回に分けて投稿したいと思います。
簡単に医学的な説明とともに綴ります。
今回は #1「急病人発生」です。
お時間許す方はぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです🧅
満員の新幹線に医師看護師誰もいないわけない!
2024年某月某日、私は新幹線の中にいました。連休で車内は満員。
新幹線には乗る機会が少ないであろうご年配者やお子様もたくさん。
滞在時間は約2時間の予定だったと思います。
出発してから1時間ほど経過し、眠くなりはじめた頃でした。
車掌さんが風を切るように車内を走っていったのです。
🧅)「連休で人も多いし、何かあったのかな」
まもなくして車内放送が鳴りました。
アナウンス)「皆様、お休みの中失礼いたします。13号車にて、体調不良のお客様がいらっしゃいます。車内にお医者様や看護師の方でご協力いただける方がいらっしゃいましたら、13号車へお越しください。」
その時、病院内とは違うなんともそわそわした気持ちだったことを覚えています。街中ではこういう場面に何度か遭遇したことはあったのですが、新幹線内は初めてでした。
とりあえず13号車へ。周りの乗客には医療関係者とバレたくないのであたかもトイレに行くようなふりして向かいました。
ドアが開くと、1番前列に前のめりな姿勢で崩れ落ちそうな若い女性(Aさん)が。前のめりになって顔もよく見えないが見える範囲では血色がかなり悪い。声は出ている。付き添いの人はいないとのこと。
先程車内を走っていた若い車掌さん(👨)が
女性が崩れないように汗を流しながら支えていました。
👨「ア!モシカシテ病院関係の方デスカ!アータスカッタアリガトウゴザイマス汗汗」
🧅)「落ち着いて下さい大丈夫ですよ、医師です。場所代わりますね。診察しますので横になれる広いスペースを探してください。」
車掌さんはかなり慌てておられましたが(そりゃ当然ですよね)、
他の乗客は全く冷静にこちらを眺めていました。冷静なのか?冷淡なのか、、?
スペースを探してもらいつつ、いつものように患者対応を行いました。
何より気掛かりだったことは、満員の新幹線にも関わらず、誰一人として医師看護師の応援がなかったことでした。また後日、こちらのことも記事にしたいと思います。
で、実際何やってるの?
普段救急車や救急医、等々にお世話になる方はそこまで多くないと思いますので、そもそも(患者対応って)何するの?という疑問をお持ちかと思います。
基本的には
①A(Airway:気道)
②B(Breathing:呼吸)
③C(Circulation:循環)の順で
「ABC評価」を診察でまず行うことが一般的です。
軽症が疑われる場合でも、これに準じて評価します。
それを踏まえて女性(Aさん)はどうだったのか
この女性は橈骨動脈(手首の親指側でよく脈を触る場所)の触れが弱く、指先も冷たくなっており、明らかにCの異常があると判断しました。
C(循環)の異常は、「ただの脱水」だけではなく、
・「出血による血液量の減少」
・「何かしらの原因で心臓の動きが弱くなり、血圧を上げることができなくなっている状態」
ことも考えなければなりません。
結果的に「このままだと、頭や心臓、他全身の臓器に十分な酸素が行き渡らないのでマズイ!」と考えることが通常です。
実際バイタル測定(※血圧や体温測定をする行為の通称)を行うと、血圧は60/30mmHg程度しかなく、Aさんは何かしら対応しなければマズイ状況でした。
実際のバイタル測定の結果(おおよその値)
・呼びかけたら普通にお話できる意識レベル
・血圧60/30mmHg 低いよ、、)
・心拍数90回/分(まあ想像通り)
・呼吸回数24回/分(ちょっと呼吸しんどそう)
・SpO2値(酸素の値)97%(問題なし)
・熱はない
新幹線には●●がない、!
血圧が低いと、上記のように「循環」が悪い指標となります。このままだと全身に酸素がうまく行き渡らないので、まず●●を持ってきてもらうようにお願いしたのですが、、
私が欲しかったもの、それは「点滴」でしたが、新幹線車内には用意されていないようでした。
さあ、どうする〜
続きは#2で!
今回はここまで。最後まで見て下さりありがとうございました🧅
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