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「検診の胃カメラ検査|消化器内視鏡専門医が教える検査の実際とポイント」
こんにちは。Dr. ジョンです
今回は、これまで数千件の胃カメラを行ってきた私ですが、多くの方が気になる「検診での胃カメラ検査」について、医師の視点からお話しさせていただきます。
みなさんはこれまで胃カメラの検査を受けたことがあるでしょうか。
【知っておきたい!検診胃カメラの基礎知識】
検診で行う胃カメラ検査:経鼻と経口、それぞれの特徴と選び方
胃カメラ検査(正式名称:上部消化管内視鏡検査)は、食道・胃・十二指腸を直接観察し、病変の有無を確認できる検査です。検査には、鼻から挿入する「経鼻胃カメラ」と、口から挿入する「経口胃カメラ」の2種類があり、必要に応じて鎮静剤(眠くなる薬)を使用する場合もあります。
では、経鼻胃カメラと経口胃カメラ、どちらを選ぶべきでしょうか?それぞれにメリットとデメリットがあるため、特徴を把握して自分に合った方法を選ぶことが重要です。
経鼻内視鏡のメリットとデメリット
メリット
鼻から挿入するため、嘔吐反射が起こりにくく、検査時の苦痛が軽減される。
比較的リラックスした状態で検査を受けられる。
デメリット
細い内視鏡を使用するため、経口内視鏡より画質がやや劣る場合がある。
胃の中を洗浄したり膨らませたりする際に時間がかかることがある。
鼻腔を通過する際、粘膜を傷つけてしまうリスクがある。
経口内視鏡のメリットとデメリット
メリット
太い内視鏡を使用するため、画質が優れており、より詳細な観察が可能。
胃の中を洗浄したり膨らませたりする操作がスムーズで、精密な検査が行える。
大きな病変や詳細な構造の確認に適している。
デメリット
嘔吐反射が強く出る可能性が高く、検査中の苦痛を感じやすい。
鎮静剤を使用しない場合、ストレスが大きくなることがある。
検査後に喉の痛みや不快感を感じる場合がある。
バリウム検査との違い
胃カメラ検査は、バリウム検査に比べて以下のような優れた点があります:
詳細な観察が可能:特に食道を含む消化管全体の病変を確認できる。
その場での組織検査(生検)が可能:疑わしい病変が見つかった場合、リアルタイムでサンプルを採取し検査できる。
色素散布などの精密観察:病変をさらに詳しく確認するための追加手法が利用できる。
リアルタイムの診断:病変の有無をその場で確認できるため、診断が迅速。
自分に合った方法を選ぶ
苦痛を避けたい方やスクリーニング目的の検査を希望する方には経鼻胃カメラがおすすめです。一方、より詳細な観察が必要な場合は経口胃カメラが適していることがあります。医師と相談し、検査の目的や体調に合った方法を選択しましょう。
胃カメラ検査は、早期発見・早期治療に役立つ重要な検査です。不安や疑問がある場合は、事前に医師に相談することで安心して検査に臨めます。
【検査前の準備:医師が伝えたい重要ポイント】
検査前の注意点として、以下が重要です:
食事について
・検査前日の夜9時以降は絶食にしましょう。
・検査当日は水も少量にしておきましょう。内服薬がある場合は朝6時までに内服してしまうか、検査後に内服にしましょう。検査の時に胃の中に薬が残っていると、洗い流すのに時間がかかったり、十分な観察ができなくなることがあります。
【医師の本音:検診胃カメラの裏側】
病院やクリニックのホームページを見ていると、苦痛のない検査をアピールするために経鼻内視鏡を使用していますということや、鎮静剤を使用することもできます、といった様な文言をよく見かけます。検診だとバリウムの検査もやっているので、実際に自分にはどの検査が良いのか、どこで検査を受ければよいのか、お悩みの方も多いと思います。
ここでは私の個人的な意見、自分だったらどうするかという観点から書いていこうと思います。
まず、バリウム検査か、胃カメラかという質問では、胃カメラです。
なぜなら、バリウム検査では食道の観察が不十分になりやすいということ、検査で異常が見られた場合には結局胃カメラを受けてくださいと言われるので、二度手間になるということ、また、バリウムは消化管の中に滞留してイレウスを起こす危険性もあること。(バリウムの検査後にバリウムが排泄されず、救急外来を来院される患者さんは実際によくいらっしゃいます。)
この様な観点から、バリウムか、胃カメラかという2択では胃カメラを選びます。
次に、鎮静剤を使用するかしないか。
これは、経口の検査の場合は使用し、経鼻内視鏡であれば使用しません。
やはり経口の検査は嘔吐反射が強く出やすいので、鎮静剤を使用した方が楽にできると思います。経鼻の内視鏡であればそこまで反射は出ないことが多く、鎮静剤を使うとしばらく病院内で休んでいる時間が必要になったり、当日の運転ができなくなったりと、制限も出てくるので。私なら経鼻で行うときには鎮静剤は使用しません。
そして、経鼻内視鏡か、経口内視鏡か
これは検診で受けるのであれば経鼻内視鏡を選びます。
そのほうが圧倒的に楽だからです。確かに画質の問題や、拡大観察ができるか等、カメラの性能は経口の方が高いのですが、最近の経鼻内視鏡は性能が向上しているので、検診レベルのスクリーニングであれば経鼻内視鏡で十分で、経口内視鏡で行った場合とほぼ遜色ありません。
ということで、私が自分で検診を受けるのであれば、検診の内視鏡は経鼻内視鏡で鎮静なしで行います(実際そうやって受けています)。
【検診胃カメラ、どこで受ける?】
さて、では検査はどこで受ければよいかとお悩みのかたも多いと思います。
大きな病院の方が安心できるのか、内視鏡専門のクリニックが良いのか。どうせなら上手な先生にやってもらいたい。そういった思いはあると思います。
これに対する答えは、どこで受けても大きな差はない。
これが答えです。
技術的な話をすると、胃カメラの技術は検診で行う程度のことであれば誰がやってもそんなに差はありません。もちろん内視鏡で癌やポリープを切除しようということになれば高度な技術が必要になるので別ですが。
胃カメラは詳細に観察しようとすればするほど、患者さんにとっては苦しい検査になります。
それは、時間をかけてじっくり観察を行うことになるからということや、胃の中に空気を入れてよく膨らませて、胃の襞を伸ばして丁寧に観察しようとすればするほど苦しいからです。
なので、受けた検査が苦しかったからもうその病院で検査を受けるのはやめよう、という考えは早計です。ものすごく丁寧に観察してもらっているから苦しかったのかもしれません。
そう言った場合は鎮静剤を使えないか聞いてみることや、経口で検査を行っていたのであれば、次回やるときは経鼻のカメラに変えてもらう等の工夫をしてもらうと良いかもしれません。
基本的には毎回同じ病院で検査をすることをお勧めします。なぜなら、同じ病院であれば過去のデータが蓄積されていくからです。
何か異常が見られた場合でも、それが以前からずっと変わらないのなのか、だんだん大きくなってしまっているかなど、検査医は過去のデータもよく比較してみています。
したがって、毎年違うところで検査を受けるということはあまりお勧めできません。
いかがでしたでしょうか?定期的に受けていただきたい検査でありますので、みなさんのご参考になれば嬉しいです。
ご質問ご意見はぜひコメントしていただければと思います。
それではまた次回!