🇸🇾シリアの現状と今後/東京外国語大学/青山弘之 教授

旧アサド政権崩壊後、歓声の声の一方で不安や恐怖も伝わる。暫定政府の主力【シャーム解放機構】は民主的で西側の価値観に沿ったスタンスを見せているが下っ端の戦闘員や治安機関には徹底されていない面があり寛容が維持されるか否かが問題。集団礼拝の映像が流れる一方、旧アサド政権の残党の惨殺映像も流れる。都市部では電気供給が戻った話もあるが、農村部では未だに電気もネットも停まった状態。制裁の影響で相当、ジリ貧だった生活は直ぐには戻らない。暫定政府は公式情報を殆ど開示していない。HTSが中心で作った『救国政府(北西部イドリブ地方を支配)』はHTSの反対勢力に寛容ではなく、旧アサド政権と違いはないとの事。HTSは元々『シリアのアルカーイダ』で当初は『ヌスラ戦線』と名乗っていたが改名を繰り返して【シャーム解放機構】となったとの事。『ヌスラ戦線』は2012年末に、米国のテロ組織指定されている。主要国や国連もテロ指定している。米国のテロ指定に関して、当時、反アサド政権のシリア反体制派が反対した経緯があり【シャーム解放機構】をテロ組織と見ない人々もいる。暫定政府は【シャーム解放機構】の解体を決定したがジャウラニ指導者をトップとする新政権と各国との関係構築がカギとなるとの事だ。米国はジャウラニ指導者をテロリストと見做し懸賞金をかけてきた。シリアを訪れた米国の使節団は懸賞金は取り下げたが、以前としてジャウラニ氏をテロリストと見做している。テロ指定を解除しない限り制裁解除は無い。

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