趣味の話
誰かと趣味の話をしたのは久しぶりだ。
最近ご縁があって知り合った方と、今日は少しお酒を飲んで、ほろ酔い気分で遅くまで他愛もない話をさせていただきました。
きっかけはカフェのスピーカーからたまたま流れ出した音楽。私の愛するとあるバンドの曲だったのですが、その人がただ一言「いいよね」と言ってくれたのです。それからおたがいに、あれは知っている? じゃあこれは? とたちまち意気投合してしまい、まだ出会って間もないその人と通じ合えたような気がしました。それと同時に、音楽を愛してやまなかったあの頃の自分を思い出すなど。あの頃の私はイヤホンが命の次に大事だと言わんばかりに隙あらば音楽を聴いていて、音の海に身を投げていた。もしもこの世界から音楽が消えたら、もしもこの耳が潰れてしまったら、きっと私は死んでしまうと本気で思っていたのです。どんな気持ちのときにも、どんなことをしていても、私の傍らには常に音楽がありました。大学に入ってからはどうしてか、まるで遠く離れた地元の友だちのように疎遠になってしまったのだけれど。それを今日、思いがけず音楽の話で盛り上がって、大好きだった旧友に再会したような気持ちになったのです。
つくづく、人と人を繋ぐのは音楽だ、と思いました。どうして忘れていたのだろう。言葉が分からなくとも、同じ気持ちを共有することができる。異国の言葉に辞書を引いて、さらに理解することができる。感じることも人それぞれで、それを話すのもまた楽しくて。就活をする中で考え、たどり着いたのは「人と人を繋ぐ間にあるものが、1杯の珈琲であってほしい」という想いでした。その想いはもちろん変わらないけれど、そこにさらに音楽があればもう何も言うことはない。1杯の美味しい珈琲と、雰囲気の良い音楽と。それが両立する場所は、やはりカフェや喫茶店なのだろうと思います。結局内定を頂いたのは別の職種でしたが、就活の方針としては間違っていなかったなあとしみじみ。
ここまで考えてから、先日山形県を訪れた際に立ち寄った喫茶店『シャンソン物語』のことを思い出しました。美味しい珈琲と美味しい食事、統一された内装に流れるシャンソン。今では全面禁煙になってしまいましたが、以前は煙草も吸えたのだとか。到着時刻が遅かったためにゆっくりできなかったのがあまりに残念で、悔しささえ覚える場所でした。山梨から出向いた甲斐があった。ここに通うためだけに山形に移住したいくらいです。ここで得たことはまた別の機会にちゃんと書きたいと思いますが、私の作りたい場所はきっとこんな感じ。sowersで活動をしながらもあまり自分でお店を開くことには興味がなかったのですが、いつかこんなお店を自分で創ってみたいと思いました。コミュニティカフェとしての私の理想、珈琲と音楽の両立。できればそこに煙草もあると良い。
夢も目標もはっきりとしなかったけれど、少し尻尾が見えたような気がしたのでした。