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「Ado うっせえわ」で検索する人は〇〇を探す!? ビッグデータで探る、2021年のヒットの理由

こんにちは。ヤフーのオープンコラボレーションハブ「LODGE」です。LODGEはヤフーの事業、サービスとコラボして「今届けたい」イベントを企画しています。

2021年12月2日、イベント「商品ブレイクマップを使って最新トレンドを予想しよう」を配信しました。イベントレポート【前編】をお届けします!

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ヒットコンテンツの専門家とデータアナリスト。
二人が読み解く「ヒットの理由」は?

今回のゲストは、このお二人。まったくフィールドの違う二人が「ヒットコンテンツ」をテーマにそれぞれの知見を持ち寄り、ヒットの理由やブレイクする予兆について探っていきます。

品田英雄さん
日経BP総合研究所上席研究員。
専門分野はエンタテインメント・流行・商品開発。97年『日経エンタテインメント!』を創刊、編集長就任。発行人を経て編集委員。コメンテーター、ラジオパーソナリティーとしてメディアに出演中。

池宮伸次さん
ヤフー株式会社 シニアデータアナリスト。Yahoo! JAPANビッグデータレポート編集長。ヤフー検索を含む複数のサービスや全社データの分析に従事。

モデレーター
伏屋直美さん(Yahoo! JAPAN公式アナウンス部)


定性・定量で読み解く「ヒットの理由」

「食品、音楽、エンタメ」をテーマに、今年ヒットしたきっかけ、理由を探ります。品田さんからはデータだけでは分からない定性の観点から、「なぜそれがヒットしたのか」お話をいただきました。

初期はSNS。検索数が一気に伸びるきっかけは「〇〇」。
現代のヒットの法則は?

最初に「食品編」として、今年流行った「マリトッツォ」の検索データを見てみます。

2021年の「マリトッツォ」の検索数推移

年間通してよく検索されており、7月のピーク以降は徐々に落ち着いています。

池宮さん
「データの『?』で隠している部分は、マリトッツォの検索数が急上昇した時点です。これはどんなタイミングだったでしょうか?」

品田さん
「コンビニスイーツはみんながとても興味を持っているので、開発競争がとても激しい分野です。YouTuberなどが『いち早く食べてみた』として話題にして、ネット系から火が付いたのか。テレビのような多くの人が見ているメディアで紹介されたのか。どちらかかなと思いました」

伏屋さん
「私はHIKAKINがYouTubeで食べているのを見て、食べました」

正解は……

2021年の「マリトッツォ」の検索数推移 
「ノンストップ」「シューイチ」「めざましどようび」の放映日に急上昇している

急上昇のタイミングはすべてテレビ番組での紹介でした。

池宮さん
「テレビの影響力は非常に高く、こういった形で取り上げられるたびに検索数が増えます。
過去のヒット商品を見ても『メディアに取り上げられるたびに検索数が増える』を繰り返していて、同じ波形を取ることが多いです。マリトッツォもその同じ波形になりました」

左から伏屋直美さん、品田英雄さん、池宮伸次さん

品田さん
「メーカーは商品をメディアで取り上げてほしくて、PR担当の方に頑張ってもらうわけですが、取り上げた番組はいくつもあるのに、なぜ『めざましどようび』だったのか、不思議ですよね」

池宮さん
「なぜマリトッツォがこれだけ伸びたのかも、推測ができない部分が多いです。SNSやインフルエンサーが起点となり、うまく広がって流行につながっていったのではないでしょうか。ブームの初期はSNSでのシェアだったこともあり、これが現代のヒットの法則と言えそうです」

「食品のヒットスポット」は「カルディ」にあり

次は、マリトッツォの第二キーワードのランキングにも入っている「カルディ」に注目してみます。

品田さん
「なるほど。カルディさんがマリトッツォの火付け役になったと聞いたことがあります」

池宮さん
「データを調べれば調べるほど、カルディがヒットの予兆の部分に絡んでくるケースが多いです」

「カルディ 〇〇」の検索パターンは年々バリエーションが増えてきています。人々の「カルディ」への興味関心が高まっていることが分かります。

「カルディ 〇〇」の検索キーワード種類数
「カルディ 〇〇」で2021年によく検索されたキーワード

「この商品はカルディで買えるかな?」と検索する、人々の行動が現れていると言えます。

品田さん
「『地球グミ』など、ヒットランキングに載っているものをカルディが扱っていることが多いですね。店舗に足を運ばせるのが難しい中、カルディは成長していますよね。
ドン・キホーテの圧縮陳列のような、『宝探し感覚』も関係しているのかもしれないですね。思いがけないものに出合える

伏屋さん
普通のスーパーには売っていないユニークなものが多いですね。新しい出合いがありそう、という予感があるのかもしれないですね」


「竜とそばかすの姫」を多く検索したのは20~40代の女性

次にエンタメ編です。今年流行った映像作品で検索数が多い「東京リベンジャーズ」「竜とそばかすの姫」「イカゲーム」を取り上げます。

2021年にヒットしたエンタメ作品の検索数推移
2021年にヒットしたエンタメ作品の検索属性割合

検索数の推移の波形を見てみると、映画の公開日などで検索数が急上昇しているのが分かります。検索属性割合からは、「竜とそばかすの姫」は20~40代の女性に多く関心を持たれていたことが分かります。

東京リベンジャーズ関心者は、他に何に興味があるか

その作品のデータだけではなく、それに関心を持っている人がどんな人なのか、データで読み解くことができます。「東京リベンジャーズ」は週刊少年マガジンの漫画ですが、男性のランキング10位中5つが、同じく週刊少年マガジンの漫画であり、同系統の漫画を好む傾向が見て取れました。

「Ado うっせえわ」をよく検索する人は〇〇服を探す!?

続いて、音楽編です。検索数が多かった「YOASOBI」「Ado」「優里」の3組を取り上げました。1年のうち「YOASOBI」が最も検索されたのは「めざましテレビのテーマ曲に決定報道」があった日でした。ここでもテレビの影響力の強さがうかがえます。

アーティストの検索属性割合を見てみると、「Ado」は男性、女性ともに40代の検索数が多いという意外な結果が分かりました。

2021年にヒットしたアーティストの検索属性割合

池宮さん
「『Ado』さんを40代の男女がよく検索しています。不思議だなと思って調べてみました。今年1年間、異なる日付で3回以上『Ado うっせえわ』で検索した人を調べてみると、こんなファッションブランドをよく検索していることが分かりました。
これらのブランド、品田さんはお分かりになりますか?」

「Ado うっせえわ」を今年異なる日に3回以上検索した人が関心を持つブランド

品田さん
「僕は全く分からないです」

伏屋さん
「『ピンクラテ』は、私が中学生くらいの時に着ていたような気がします」

池宮さん
「そのとおり、実はこれらはすべて、子供服のブランドなのです。構成年代は40代でも興味があるのは子供服。これはつまり、お子様がいる家庭で検索したり、再生したりしていたのではないかなと。それが特徴として出ていたのではないかなと見ています」

伏屋さん
「あっ、slidoでも『子供にせがまれて再生しています』とコメントが来ています」

品田さん
「すごくおもしろいですね!」

このように、1つのキーワードに対して、そのキーワードを検索する人の性別、年代だけでなく、その人が他にどんなものに興味があるかも読み解くことができます。

「Ado うっせえわ」でよく検索する人がパパママ層であったり、「カルディ」が年々トレンドを知るためのヒットスポットになっていたりと、「一見意外、でも納得」な事実も判明しました。

後半では、「ヤフー商品ブレイクマップ」と呼ばれる新しい手法を用いて、これからブレイクしそうなものを見てみました。こちらもご覧ください!


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