目的至上主義にサヨナラ! 周辺に広がる“予想外の収穫”を狙え
1.はじめに──目的ばかりに目を奪われがちだけれど
私たちは普段、何かをするときに「○○を達成するぞ!」とか「この目標をクリアするぞ!」と、“目的”をしっかり定めますよね。勉強でも仕事でも趣味でも、目的やゴールを設定するのは大事なことです。でも、意外と見落としがちなのが「目的そのものの周りにある、いろんな意味や価値」なんですよ。
たとえば、「英語の試験で合格点を取る」という目的を立てたとします。すると、多くの人は「単語を覚える」「問題集を解く」といった行動に集中しますよね。でもその過程で、「海外の映画を字幕なしで観られるようになった!」「オンラインで外国の人と会話してみたら新しい文化を知れた!」なんて経験が生まれることもある。「試験に合格する」という本来の目的とは別に、思わぬ楽しさや発見があったりするんです。
こうした“目的周囲の面白さ”は、普段から意識していないとスルーしがちです。でも、そこにこそ大きな意味や価値が潜んでいる。今回は、そんな「目的の周囲にこそ意味がある」という視点を、いろいろな角度から考えてみたいと思います。
2.視点①:学習やスキルアップの場合
2-1.資格勉強の周りにある“副産物”
先ほど英語試験の例を出しましたが、資格勉強でも同じことが言えます。たとえば、「簿記の試験に合格すること」を目的としたら、テキストを読んだり問題集を解く過程で、「あれ? これって家計管理にも応用できるかも」と思うかもしれません。あるいは友人から「教えてほしい」と言われて解説しているうちに、人にものを教える楽しさに気づくなんてケースもありますよね。
つまり、資格勉強そのものが最終的な目的だとしても、その周辺には「役立つスキル」「意外な人間関係の広がり」「思わぬ副業の種」など、面白いものがたくさん隠れているわけです。
2-2.勉強の本質は“ゴール”だけじゃない
学習においては「試験日」という明確な期限とゴールがあることが多い。でも、学習の本質はゴールを超えて継続する部分にあったりします。もし「合格するためだけ」に勉強をしていると、試験が終わった瞬間に知識やモチベーションが失われることがある。しかし、「勉強してるうちにこんな興味が芽生えた」という副次的な発見があると、試験後も学びを深めようという姿勢につながるんですよね。
そういう意味でも、目的の“外側”にある価値を察知できるかどうかが、勉強やスキルアップを本当の意味で豊かにするポイントなのかなと思います。
3.視点②:仕事やプロジェクトの場合
3-1.プロダクト開発の周辺に隠れたアイデア
仕事の現場では、たとえば「このプロダクトをリリースする」という明確な目標が設定されることが多いです。しかし、実際にプロジェクトを進めていくと、要件定義やユーザーテストなどの途中で「ちょっと違う機能が面白いかも!」とアイデアが生まれることがありますよね。これこそが「目的の周囲にある価値」だったりする。
そうした“周辺”のアイデアをしっかり拾えるかどうかで、新しいサービスが生まれたり、別の分野への展開が見えてきたりします。もし「いや、俺たちのゴールはこの機能の完成だから」と言って目を塞いでしまったら、折角のチャンスを逃してしまう可能性があるわけです。
3-2.ステークホルダーとの関係づくり
プロジェクトを進めるうえでは、顧客や取引先、チームメンバーなど、多くのステークホルダーが関わります。「納品物を作る」という目的に集中しすぎると、その間に生まれる“人間関係”の面白さやつながりを見落としがち。「この人と一緒に仕事をしたら、想像以上にやりやすかった」「商談の雑談から、まったく別の仕事の依頼が来た」なんてこともあるんです。
結局、プロジェクト終了後に「一緒に頑張った仲間が増えた」という周辺的な成果が大きな価値を生むことも多い。ここも“目的周辺”の面白さの一例といえます。
4.視点③:趣味や遊びの世界
4-1.目標を達成しなくても得られる楽しさ
趣味の世界だと、そもそも「何のためにやってるの?」と聞かれることがあります。たとえば筋トレなら「大会に出たいから?」と言われるかもしれませんが、別に大会に出なくても得られる楽しさがあるわけですよね。体が引き締まる、健康になる、友達が増える……。
目的を明確にすることが必ずしも悪いわけではありません。ただ、「それを達成しなくても、周辺にこんなに楽しみがある」というのを理解しておくと、どこかで挫折しても得られるものは多いし、「もうやめようかな」と思っても「でも、こういう良いことあるし続けてみよう」と思えるんです。
4-2.一見ムダに見える時間が実は大事
さらに、趣味や遊びに没頭する中で「これってもしかして仕事や勉強にも活きるかも?」と気づく瞬間があります。たとえば、ゲーム好きが高じてプログラミングを学び始め、ゲーム開発の道に進む人も少なくないですよね。本人は単純に「楽しいからやってる」だけだったかもしれないけど、その周りには想像以上の意味が転がっている。
要するに、“目的”がない遊びや趣味でも、その周辺には“将来の武器”や“意外な人脈”が潜んでいることがあるんです。
5.視点④:人生やキャリア全体の捉え方
5-1.キャリアゴールの先にあるもの
「将来、大企業の管理職になる」とか「起業して成功する」といった人生の大きな目標を掲げる人は多いですよね。でも、そのゴールに向かう途中の体験こそが人生の豊かさを決める部分は大きいはずです。
たとえば、起業を目指している途中で出会った人脈が、その人の価値観を大きく変えるかもしれないし、新しいビジネスアイデアが自然と湧いてくるかもしれない。これまた「目の前のゴールだけ」に集中しすぎると、その周辺にある思わぬ宝物を見過ごしかねません。
5-2.遠回りが生む味わい
キャリアの話でよくあるのが、「本来の希望とは違う部署に配属されたけど、そこで得た経験がのちの成功につながった」というエピソードです。本人としては「こんなとこ配属されたって意味あるのかな……」と思っていたが、実はそこで身につけたスキルや人脈が、いずれ大きな武器になったというわけです。
要は、遠回りや寄り道が結果的に人生を豊かにしてくれる例なんて山ほどある。だからこそ、何か目標を立てたとしても、「そこに至るまでの途中経過にも意外な面白さがあるんだ」と心の片隅に置いておくと、人生の見方が変わってくるんじゃないでしょうか。
6.どうすれば“周囲の意味”を見逃さないで済む?
6-1.意識的に「副産物」を振り返る時間を作る
目的へ向かう道のりで得られる“副産物”に気づくには、日々少しの振り返りが効果的です。たとえば、週末に「今週、目標に向かう過程で何か新しい発見があった?」「誰かに助けてもらったことは?」「これ面白いかもと思った瞬間はいつ?」と自問してみる。
そんな小さな習慣が、意外なアイデアや気づきを捉えるヒントになります。具体的には、メモや日記をとるのがオススメです。後から見返すと「あ、そういえばこんな出来事があったな」と思い出せるので、より一層“周辺の価値”が可視化されやすくなるんです。
6-2.余裕を持ったスケジューリング
目的を達成するために、ギチギチにスケジュールを詰め込んでしまうと、変化球や寄り道の余地がなくなります。すると、折角の周辺的な面白さが見えても、「そんな暇ない!」で終わってしまうかもしれません。
ある程度余裕を持ったスケジューリングをすると、思わぬチャンスを拾いやすいんですよ。たとえば、資格勉強なら「隙間時間をいっぱい作っておく」。仕事のプロジェクトでも、初期段階で「ちょっと遊びのスペース」を設計しておく、といったやり方があると、周囲の意味や価値が自然と入り込んできます。
7.まとめ──目的の周囲を楽しむ生き方
目的を設定するのは大切です。明確なゴールがあれば、そこへ向かうモチベーションが生まれますし、行動計画も立てやすいですよね。でも、それだけに没頭してしまうと、目的の“周辺”にある面白さや意味を見落としてしまうリスクがあるのも確か。学習だろうと仕事だろうと趣味だろうと、実は「ゴールの外側」にこそ、豊かな発見が待っている場合が多いわけです。
人生やキャリア全体で考えても、「この道が正解」と思って突き進んだはずが、意外なタイミングで方向転換して成功するなんて話は珍しくありません。
つまり、目的そのものが道しるべになりつつも、その道の途中で見つかる“副産物”こそが、あなたをユニークな場所へ運んでくれるかもしれないんです。
ぜひ、「目的の周囲にも意味がある」という考えを頭の片隅に置いて、日々の行動をちょっと振り返ってみてください。きっと今まで見えてなかった面白い出来事や繋がりに気づけるはず。そういう“余白”を感じとることが、人生をより豊かに、より楽しくしてくれるんじゃないでしょうか。