【突撃!隣のプロンプト!】株式会社KandaQuantum 元木大介さんに聞く、生成AIコミュニティ「カーソルコネクト」
本記事は、AI人材リモートアシスタント「ロコアシ」による企画記事です。生成AIコミュニティ「カーソルコネクト」を運営する、株式会社KandaQuantumの元木大介@AI社長さんにお話を伺いました。
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生成AIを中心に事業を展開する株式会社KandaQuantum
——読者の方に向けて、御社と、元木さんのご紹介をお願いいたします。
株式会社KandaQuantum代表の元木です。当社は主に生成AIを中心に事業を展開しています。生成AIに関する最新情報を広く伝える活動、生成AIを用いた研修素材の作成、教育的な取り組み、さらに企業案件に関わる業務まで、多岐にわたる事業を行っています。また、これらに加えて、様々なプロダクトの開発にも取り組んでいます。
企業との研究開発プロジェクトが特に大きく展開している業務です。例えば、以前お話したネスレさんなどの企業と協力して、生成AIを活用したプロジェクトに取り組んでおり、既に半年以上続けています。
これらのプロジェクトを通じて、多くの知見を蓄積してきました。
※前回のインタビュー
生成AIを使ったエンジニアやクリエイターを育成するコミュニティ「カーソルコネクト
——カーソルコネクトとは何ですか?
カーソルコネクトは、生成AIを使ったエンジニアやクリエイターを育成することを目的としたコミュニティです。もともとは、「Cursor(カーソル)」というエンジニア向けの生成AIツールがきっかけで集まったものです。
生成AIは今、一気に社会へ浸透する流れが来つつありますが、既存の仕事とは大きく異なります。また、この分野では進化が早く、情報のキャッチアップも困難です。
既存の仕事がなくなる可能性がある一方で、生成AI分野は人手不足であり、キャリアチェンジを促していく必要があると私は考えています。
新しい技術を活用し、日本が国際的な地位を築くためには、既存の仕事から新しい分野への移行が必要です。明日急に今までの仕事がなくなってしまうことも、ありえない話じゃないと思います。
このような状況を改善するために、生成AIの専門家やキーパーソンを作っていっています。ありがたいことに、現在は1800名から2000名程度にメンバーが増加している状態です。
カーソルの特徴は「部分的な修正ができること」
——カーソルについて、教えてください。
「Cursor(カーソル)」は、生成AIが内蔵されたプログラマー向けのツールです。従来から、プログラマーやシステムエンジニアが使用してきた、エディターと呼ばれるツールのうちの一つです。
エディターは、部下や委託先へ指示を送る、メールの編集画面をイメージしてもらえると分かりやすいかもしれません。部下や委託先ではなく、システム向けの指示を作成するのがエディターです。
例えば、メールを書くようにプログラムを作成し、システムに対して動作の指示を出すことができます。
これらの指示文は何万行に至るほど膨大な量になることがあり、文法や記述方法を覚えるのは困難です。
しかし、カーソルは、メール編集ツールのように、これらのプログラムを自動で書いてくれるツールです。クリエイターにとって初めてしっかりと活用できる生成AIエディターだと言えます。
カーソルはOpenAIが出資し、全面的にサポートしているため、将来性が高いツールです。
ChatGPTも類似の機能を持ちますが、カーソルの特徴は「部分的な修正ができること」です。
ChatGPTでメールの文章を出力した場合、特定の段落だけ表現を変えたり、修正することは、ChatGPTでは難しいです。
カーソルの場合、それが可能で、例えば何万行ものプログラムの中で特定の部分だけを変更することができます。これが大きなポイントとなっています。
記事や書籍の執筆において力を発揮するカーソル
——カーソルをビジネスにどう活用できるか教えてください。
何万行ものプログラムに近しいもので例えると、記事や書籍の執筆において、カーソルは非常に使い勝手が良いです。
また、インターネットからの様々な情報、レポートの資料などをカーソルに記憶させると、情報やレポートを参照しながら記事やレポートを作成することが可能です。
カーソルはプレスリリースの生成にも活用できます。プレスリリースの構成をAIに学習させ、関連する情報を入力することで、AIが自動的に文章を生成します。
カーソルが大きなパラダイムシフトとなる理由は「部分的な修正が可能」「視覚情報を取り込める」の2点
——カーソルは、日本のビジネスコミュニティにどのような衝撃を与えるでしょうか。
カーソルは、一言でまとめると「使い勝手が良いプログラムや執筆のツール」と言えます。システム開発の現場も、ビジネスの現場も、カーソルの使用により大幅に変化すると考えています。
システム開発においては、従来何時間もかかった作業や習得に要する時間が、AIがプログラムを覚えてくれることにより、大幅に短縮されます。通常の3~4倍速く、最初の部分なら10倍速く開発できる点は非常に有意義です。部分修正が可能という点も、生産性に寄与します。
画像や動画出力においても、細かい部分の修正が可能です。また、手書きの絵を書いて入力したら、部分修正が可能な綺麗な画像が出力されます。
また、いわゆる「目」に相当する視覚情報を取得し、取り扱えるようになったところもポイントです。
例えば手書きのスケッチを入力すると、それがシステムのUIに変換されたり、いいUIのページのスクリーンショットを入力したら、それをプログラムとして出力してくれるなど、視覚情報を活用した機能が実装されています。
一般的に、人間の指示やコミュニケーションは、言葉か絵で行われます。例えば、プレゼンテーションは絵です。言葉だけではなく、絵の情報でコミュニケーションできるようになり、パワーポイントやスケッチなどの視覚情報を入力として使用できる点が、大きな変化となっています。
部分的な修正が可能であることや、視覚情報を取り込むことができる。カーサ―が大きなパラダイムシフトとなる理由はこの2点です。
エンジニアは本質的にはクリエイター、つまり「何かを作る人」
——カーソルコネクトの展望を教えてください。
マルチモーダルというキーワードを重視しています。マルチモーダルとは、言葉や絵、テキストだけでなく、絵画や動画など様々な形式を組み合わせた複合的な解釈とアウトプットを指します。この概念を取り入れ、さまざまなツールを使いこなしていけるプラットフォームを構築したいと考えています。
エンジニアも、現状維持のままでは将来的に仕事がなくなっていく可能性がある状況では、「マルチモーダル」のアプローチが重要です。
エンジニアは本質的にはクリエイター、つまり「何かを作る人」です。プログラマー、絵を描く人、動画制作者、も全て「クリエイター」という一つの枠組みで捉えています。この枠組みの中で、生成AIを活用するクリエイターを育成し、新しい時代に適応できるようなコミュニティを形成したいと考えています。
お話を聞いた方
(聞き手・撮影:ロコアシ事業部長 あさい)