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【ハワイのコーヒー会社・オーナーKEN STORY】私が Q Grader になったワケ!

ALOHA!
ちょいLOCOチャンネルのKENです☕

【ハワイのコーヒー会社・オーナーKEN STORY】Paradise Coffee Roasters で飲んだ1杯のコーヒーに、心を動かされて。

第一回目は私KENがどうしてコーヒー業界に携わることになったのか?
そのはじめの一歩を、コーヒーの事やハワイで経験した事の中から、私の言葉でありのままをお伝えしていきます。

コーヒーについては自分なりの尺度を持って接してきていましたが、誰しもが一度は思う「旨いコーヒーの探求」という壁にぶち当たります。
自分の味覚を信じつつ、喜びや苦悩を note に書き綴りたいと思います。

1.コナ・コーヒーは旨いのか?

ーーハワイ・コナで旨いコーヒーに出会えなかった経験

2017年3月に私はハワイに移住しました。
ハワイと言っても幾つかの島があり、私が住むのは観光地として栄えるオアフ島です。ダイヤモンドヘッドやワイキキ・ビーチ等はテレビでも良く目にする観光スポットです。
そしてハワイと言ったら「コナ・コーヒー」です。世界3大コーヒーの1つとして、コーヒー業界を始め、COFFEE LOVER、一般の方まで知られていると思います。

しかし私がコナのコーヒー農園を訪ね歩いた時、「ん~旨い!」と唸ってしまうようなコーヒーには出会えませんでした。
どちらかというと「あれ?コナ・コーヒーってこんな感じなんだ。。。」というあっけない感じが終始続きます。

コナ・コーヒーにはグレードがあり、上から最上級グレードの
・エクストラ・ファンシー
・ファンシー
・ナンバー1
・セレクト
・プライム
と5段階に分類されています。

しかし、この5段階の分類は、コーヒー豆の外観的な要素(大きさ、虫食いなどの欠陥の有無)に主眼が置かれ、味覚についてのチェックは若干後回しになっています。「味の良し悪しよりも、見た目重視!」というのは、コーヒー業界の常識だと気づくのは、Q Grader を取得した後でした。これでは、高価なエクストラ・ファンシーを買っても、豆が大きいだけで「旨い!」と言えるコーヒーには出会えるわけがありません。
事実、旨くて絶句するようなコーヒーには出会えない3日間でした。

このように、その地域で定めるグレード(評価)は、世界的な評価ではなく、その地域での評価でしかありません。
コナ・コーヒーと言う地域名を冠にしたブランドであって、世界的な評価ランクとしては、スペシャルティコーヒーの下、プレミアムコーヒーの分類程度になります。これも Q Grader になった後から知った事でした。

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さて、Q Grader(キューグレイダー)って何の資格で、何をする人だか知ってますか?
あまり聞きなれないと思います。コーヒー業界に携わっている人でも知らない人もいます。「私、Q Grader なんですよ!」と街のカフェで言っても、「Q~なんですか???」という具合です。それ程にまだ認知度が低いし、専門職なので知られていない資格です。
日本では Q Grader のことを「国際スペシャルティコーヒー鑑定士」や「世界コーヒー鑑定士」などと、分かりやすく言っていることもあります。「コーヒーのソムリエ」なんて言っている方もいます。

Q Grader はアメリカの CQI(Coffee Quality Institute)というコーヒーの品質を研究する機関が認定する世界的な資格です。CQI は SCAA(Specialty Coffee Association of America)の下部組織で、SCAA はスペシャルティコーヒーという「スペシャルに旨いコーヒー」を見い出し認定している協会です。日本にも SCAJ(Specialty Coffee Association of Japan)がありますが、アメリカの SCAA の支部機関になります。

と言うことで、Q Graderの役割は「スペシャルに旨いコーヒーを鑑定する人」という事になります。
コーヒー豆の品質、味や香りを鑑定・評価するので、コーヒー関連の資格の中では一番難易度が高く、特殊技能を持った人たちです。バリスタやコーヒーマイスターのようなお客さんの目の前に立つイメージではなく、どちらかと言うと裏方のイメージが強いと思います。そのため、一般的にも、業界的にもあまり知られていないのかもしれません。
現在、世界で6,500人(2020年10月現在)程います。資格を取得するための必修講座や検定試験は世界中で行われていますが、専門性が高く、難易度も高いのでなかなか増えていない状況です。

2.自分の舌への不信感。。。

ーーコーヒー歴30年の私の舌は本物なのか?

コナのコーヒー農園を訪ね歩いた結果、私はすっかり自信を無くしました。なぜなら、「旨いコーヒー」に出会えなかったからです。

「コーヒー歴30年の私のコーヒー舌は本物なのか?」
「今まで通ぶっていたけど、実はバカ舌だったのではないか・・・」

と、自分の舌(味覚)への不信感になってしまいました。そう思った時に、
「コーヒーの味や香りが、きちんと分かるようになりたい」と目覚めるのです。直ぐにインターネットのYahoo!で検索したら、幾つかの資格があることが分かります。
「バリスタ」「コーヒーマイスター」「コーヒーソムリエ」「コーヒースペシャリスト」「カーサバリスタ」「コーヒーコーディネイター」「ドリップマスター」、そして「Q Grader」です。
趣味レベルから職業プロレベルまで、資格大国日本!流石です。この中から私はカフェなどでコーヒーを作ったり、お客さんにコーヒーをお勧めするような接客向けの資格ではなく、「コーヒーの品質、味、香りを見極める」と言う資格である「Q Grader」を選びました。実はこの時、全ての資格を並べてみたのですが、コーヒー業界素人の私にはどれが本当に良いか、はっきり言って分かっていませんでした。
「国際的な資格だし~ Q Grader って言うのが良さそうだな~」と言う安易な感じでした。

Q Graderの資格取得には、3日間の講習+3日間の実技試験と筆記試験の、連続6日間の拘束が待っています。その期間中はコーヒーの味や香りを評価するので、風邪などは絶対に引けません。緊張の連続の日々が待っています。
そして講習+試験の費用が約30万円です!正直驚きました。でもこれで自分の舌(味覚)が本物かどうかが証明されるので、一念発起!申し込みをしました。場所は日本の神戸です。

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いざ講習が始まりましたが、その時の受講生18人の殆どがコーヒー関連の仕事をされていて、しかも何年もキャリアを積んでいる人たちでした。
私のように趣味で受けに来た人はいませんでした。初日の講習の後に催された食事会で、自己紹介の時間がありました。
「自分がバカ舌じゃないことを証明しにハワイからやって来ました!」と声高々言ったのですが、当然のこと、ちょっと浮いた存在になりました。。。

そんな浮いた存在でスタートした6日間。結果としては、
18個の実技試験(コーヒーの味・香りの評価レベル、焙煎度合、欠陥、味覚試験など)と、筆記試験1個の合計19個の試験、ほぼストレートで合格することができました。
ほぼ、、、?というのは一科目だけがどうしても難しかった~。
生豆の欠陥を判定する「グリーン・グレーディング」という試験でした。コーヒー業界に1,2年いれば至極簡単な試験のようですが、未経験の私はグリーンビーン(生豆)を触る事すらほぼ初めてでした。その時の先生方のご指導のお蔭もあり、その試験も合格できました。逆に先生方にみっちり教えて頂いたので、最後には「グリーン・グレーディング」は得意になっていました。これにて Q Graderになることができました。

これである意味、私の舌は「バカ舌ではない」と証明されました。自信を無くしていた私に、自信を取り戻してくれた6日間でした。あとはコーヒーを鑑定・評価する経験値を積んでいくという作業に移っていきます。

さて、この資格の取得は全世界で行われていますが、私はハワイで受けることもできました。しかし、ハワイでの資格取得講座の開催が年に1度しかなく、私が一念発起したときは、ちょうど終わってしまったところでした。しかも、全て英語です。当たり前ですが、、、
未経験の資格を取得するのに、片言のおぼつかない英語しか話せない私に、オール英語は無理です。コーヒーの味や香りの微妙な表現や、理解度を深める知識も多くあり、日本で受けることにしました。それが日本の神戸にあるUCCアカデミー(SCAA認定の施設が整っている施設)になります。遠征しての資格取得なので、ハワイからの渡航費、現地での宿泊費、生活費等、そして講座費用を合わせると総額60万円くらい掛かりました。一発で取得しないといけない金額ですね!

掲載用 Q Grater Certificate_Kenji Tokikazu


3.旨いコーヒーって何なんだ~!

ーー毎日、旨いコーヒーが飲みたい

「毎日、旨いコーヒーが飲みたい」
普通に思いますよね?コーヒーをこよなく愛する COFFEE LOVER にとって、至極当たり前です。しかしこれが意外と難しかったりします。

次なる難関です。
「旨いコーヒーってそもそも誰が決めているか?」
私なりの答えは、Q Grader や評価員(カッパ―)だと思います。
・どこそこの有名人が美味しいって言ったから。
・あの有名店で買ったから。
・とにかく高いから。
そんなものが日本には溢れています。
コーヒーはどうなんでしょうか?コーヒーにもトレンドがあります。日本のコーヒーの歴史は100年ほどですが、「これまでの100年」と「ここ最近の1, 2年」では、コーヒーのトレンドは180度変わってきていると感じています。

これまでの100年は「苦み走った良い男コーヒー」です。コーヒーは深煎り、苦い飲物として100年間続いてきました。私はこれを「深煎りの呪縛」と呼んでいます。
「浅煎りの青臭いコーヒーなんて飲めるか!」とはっきり言う、コーヒー店主もいます。もし青臭いならば、それは焙煎士が下手なだけなんですが、そういう固定観念の強いところが「旨いコーヒーとの出会いを阻害」していると思っています。
確かにこれまでの経験に裏打ちされた味覚がおありでしょうが、でもその方が絶対味覚(絶対音感みたいな)をお持ちなのでしょうか?タバコ(刺激物)を吸って、もしくはタバコの煙が充満する店内にいて、本当に味覚が正常でしょうか?と疑問に思う事があります。
それは芸能人や、あの店も、この人も、あの人も同じ類いです。
そんな不確かなもので「旨いコーヒー」を毎日飲めるのカ~~~~ツ!!

もう一つ、コーヒーの特徴としては、コーヒーは日常品でありながら、嗜好品でもあるという、不思議な飲み物です。人それぞれコーヒーとの付き合い方は違います。
日常性が優位か?
嗜好性が優位か?
そのどちらもか?
それによっても、コーヒーとの付き合い方も変わると思います。何が旨くて、何がそうではないのかは、非常に判断しにくいのがコーヒーの面白さでもあり、難しさでもあります。

しかし、評価会、コンペティションではそのような主観に左右されることはありません。品評に出品されたそれぞれのコーヒー豆が、どのような特徴を持って、如何に表現できているかという視点でコーヒーを評価・審査していきます。そこには「苦み走った良い男コーヒー」は全く通じません。

コーヒーノキの樹種、精製方法、焙煎に至るまで、コーヒー会社やコーヒー農園が理想としたコーヒーを作り上げています。それをブラインド(どのコーヒーが誰のコーヒーか分からないようにした状態)で評価されていくので、誰かの主観や、高い安いだけでは評価されません。とてもフェアーに評価されています。
そして、コーヒーは常に進化しています。新しい樹種の開発や、精製方法も常に新しい方法が研究され生み出されています。そういった事も踏まえて、コーヒーのトレンドが生まれて来ます。

そういった評価を得たコーヒーを「旨いコーヒー」のベースにするべきだと、一人の COFFEE LOVER として私は思うのです。

こう言った評価を受けたコーヒーは、一般的には手に入りにくいことも事実です。日常品であるコーヒーとしては、ここまでは必要ないかもしれません。しかし私が思うのは、こういった評価を受け続けるコーヒー会社の作るコーヒーは、やはり状態の良いコーヒーを扱っていると思っています。そうであって欲しいと願っています。

「どこでコーヒーを買ったら良いですか?」という質問を良く受けます。
当然、「私の会社で!」と言いたいですが、それではちょっと片手落ちな気がします。
「私の会社でお買い求め頂いても良いし、こういったコーヒー会社で良いコーヒーを出していますよ」と、同じコーヒー業界で切磋琢磨し合い、自己研鑽しているコーヒー会社も紹介しています。

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総括

ーー変わり続けることの尊さ

何百年も続く和菓子屋が日本には多くあります。そのような、老舗の和菓子屋の店主のインタビュー記事を読んだことがあります。
店主曰く、
「時代に合わせて、常に味の研究をしている」

「え!?和菓子って甘いだけ、、、?」と私。。。でもそりゃそうだ!

「時代の流れと共に変わる、生活様式、食生活(食材の変化や、食生活の欧米化)、趣味趣向に合わせ、何百年続く老舗和菓子店であっても、味や触感、見た目などの研究・開発を続け、そして、守り続ける伝統と共存させながら生き抜いている」と言うのです。
凄い事です。「変わり続けることの尊さ」を感じる深い内容でした。何百年続く老舗の顔の裏には、多くの努力があるのだと、分かっているようで分かっていなかったのだと気付かされました。

コーヒーは、農園からスタートして、カップ一杯に注がれるコーヒーになるまで、多くの生産工程があります。
栽培 → 収穫 → 精製 → 焙煎 → ドリップ→ 一杯のコーヒー
栽培と一言で言っても、最初に植樹してからコーヒーチェリーができるまで3年掛かります。
そして、新たな品種の開発や、精製方法も研究・開発、技術や知識の蓄積により、日進月歩、コーヒーの味や香りも変化を続けています。
更に言えば、コーヒー豆は農産物です。毎年同じ味や香りになるとは限りません。それも踏まえて、作り上げていくことになります。
新たな味や香りを求める探求心を忘れることなく、突き進むことができてこそ、コーヒー業界の発展になるのだと信じています。それは日本の老舗和菓子店のような、時代に合わせた変化、「変わり続けることの尊さ」のよう感じています。
そして、これまでにないような、私の知り得ないような「旨いコーヒー」に辿り着くのだと思っています。
「最先端なコーヒーと触れていたい」「毎日、旨いコーヒーが飲みたい」
それが実現するのであれば、一人の COFFEE LOVER としては、至高のひと時であると思います。「旨いコーヒー」に出会い、それをベースに「自分なりの旨いコーヒー」のゾーンを深く広くしていきたいと思う訳です。

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私が Q Grader になった時は、まだ Paradise Coffee Roasters には出会っていませんでした。その出会いはまた次回にお届けしますが、正に「旨いコーヒーとの出会い」であり、「旨いコーヒーの探求」に繋がります。「私が Q Graderになったワケ!」にもきちんと説明が付いていきます。後付ですけどね~。

そして今、「毎日、旨いコーヒーが飲みたい」と言う願いが叶いました
私が出会った衝撃的なコーヒーたち。
日本でも2020年10月から日本でも販売を開始しています。
皆さまにも、是非、私が出会った衝撃的なコーヒーたち、ハワイ最高峰のコーヒーを、私たちのストーリーとともに楽しんで頂けると幸いです。

『いや~コーヒーって本当に旨いですね~』
ちょいLOCOチャンネル & Paradise Coffee Roasters:KEN

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