位置情報ベンチャーの社長は方向音痴
皆様こんにちは。方向音痴の位置情報ベンチャー社長の桐谷直毅です!面白いテーマだなと思い、今日は方向音痴について何か書けないかなと記事にしてみました。
方向音痴
なぜ方向音痴がいるんだろう
タイトルがミスリーディングかも知れません。ほとんどの位置情報ベンチャーの社長殿はきっと方向に強いのではないかと思うので彼らの尊厳のためにそういう意図ではないとお断りしたうえで、私はとても方向感覚が弱いんです。オフィスへの帰りで、だいたいこっちだっけと聞くと社員から『逆だね』と言われることも度々です。向いていない。
私の父は京都育ちで、どこに居ても「常に北がわかる」異様な人間でした。前世が渡り鳥だったのかも知れません。そんな父から私みたいな子供が生まれるのですから、どうやら生まれながらの才能ではなく、その後の訓練なのではないかとは思います。確かに自分は方向感覚を養うことが無かったなと思います。転勤族だったので土地勘を養うことが無かったし、英語圏の国々は基本的に親が自動車でどこに連れていってくれないと友達の家にも行けないし。大学生になって運転免許を取りましたが何回しか運転したことないし(助手席に乗った数名を恐怖で引きつらせました)、新卒で免許更新期限が来たのに半休すらくれなかった会社のせいにして免許も失効させたのを折に日本の道路を覚えるのも諦めました。思えば、方向感覚の教育をサボり方を続けた人生でした!
方向音痴でも良い社会?
そんな人間が位置情報ベンチャーの社長をやってていいものか、ギクっ!とも思いますが、最近では『方向音痴でそんなに不便なものでしょうか?』と開き直っています。私はGoogle MapsやTaxi Goを使いこなすことで方向音痴で損をしない生活を送れています。ZoomやGoogle Meetを使うことで移動機会が減ったりもしました。むしろ、測位の不便さ、不合理な移動を重ねる社会の現状をどんどん見出して次世代を構想し推進することで位置情報の進化を常に促せるのですから、位置情報ベンチャーの社長に向いているとすら思います(・・・こんなロジック、さすがに無理があるか)。いやぁ、21世紀ではないと生きていけない人間ですね。
そんな私と似たような人たちのために!測位が進化しているという!ありがたい技術革新を2つ紹介をしようと思います。
測位の技術革新たち
高精度測位
Google Mapsって非常に便利ですよね。その指示に従えば電車だって徒歩だって行きたいところに大体時間通りに着けます。ただ、最後の2mくらいで迷いませんか?『確かこのあたりに居酒屋があると思うんだけど、看板が見つからない、階段はどこだ??』みたいな、桐谷のような困り方をする人も少なくはないのではないかと。その理由は今のGPSだと数メートルくらい誤差があるからなんです!方向音痴のせいではないですよね。
この問題を解決するのが高精度測位という技術革新です。日本の準天頂衛星「みちびき」によってcm(センチメートル)級の測位が可能になっています。これの普及には色んな課題もありながら、実際に進んだ事例において様々有用性が示されています。
センチメートル級の測位が出来るなら、真の意味、文字通りの意味で、「目と鼻の先の距離」まで人やモノを導くことができるわけですね。近すぎ注意です。方向音痴という言葉が世の中から消えるかも知れません。これで迷うならいよいよ私はヤバそう。
日本の準天頂衛星にはLocationMindの位置認証という位置のセキュリティもいよいよ放送開始されます。『高精度測位+位置認証』というサービスが皆様にもお届けできるかも知れません。
3D技術/Z軸方向への測位
次に方向音痴を困らせるのが3D方面の自己位置推定です。私はゼルダの伝説やFortniteなど3D表現を駆使するゲームは大好物ですが、なぜか自分の体に置き換えると迷います。それを助けてくれる技術は測位にないのか・・・あります!といいますか、正確にはいま世界が競って開発していて、アメリカなどでは具体的にいつまでにこの精度を上げようという指針を出しています。GPS(正確にはGNSSと言うべきですが読みやすさのために以下GPSとします)の弱点の1つは高さ方向の精度にあります。普通に測位していると私が1階にいても10階にいてもその違いが判らないのです。つまり、GPSはXY方面(縦横)には強くてセンチメートル級の補正技術などが進んでいますが、まだZ軸方向(高さ)には弱いのです。
余談ですが、この前、Hunter×Hunterでも、全く同じトピックが出てましたね(2023年3月現在)。『発信機を付けた相手のXY座標がわかったが、何階にいるかはわからないので、どう攻めよう』みたいな話。富樫先生、測位技術を取り上げて下さりありがとうございます、元より大ファンです、という私にはタマラナイ回でした。さて、この測位技術がGPSであるとは明言されていないのですが、描画をみるとGPSをイメージしたものだろうなと感じました。ホエール号は分厚い鉄で覆われた船舶ですから、船舶のかなり内側にいるとGPS信号が入りづらい環境であり本当にあの精度で屋内測位できるものかなとも思う人もいらっしゃったかもしれません。私もその線を考えましたが、なんせ豪華客船ですからきっとGPSリピーターやローカル5G基地局とかそんな感じ設備が整っていても全くおかしくないと脳内補正をしながら読みました。少ない情報から妄想を膨らませるのもまた漫画の楽しみです。私が申し上げたかったことは、GPSに関しては皆様、超技術だと勘違いが多いなか、『課題感もある』という情報を発信して読者の関心を喚起してくださったことはとても素敵なことだな、ということです。実際、とても凄い技術には違いないのですが、行き過ぎた万能感をお持ちの方が少なくない。こういう技術は、何が出来るかをちゃんと知った上で活用方法を考えると、実に有用なのです。皆様ぜひ少年ジャンプご確認下さい。あれ、結論が違う?
閑話休題。
これを解決できると他にもこんな課題が前進しえます:
ドローンや空飛ぶクルマが飛ぶ空がどこにいるか?道路も信号もないけどどうやって運転すると空が安心安全に、効果的に活用できる?
いまのメタバース的な3D地図の高さ方向のデータ精度はあまり良く無くてリアルになり切ってないが、高さまでピシっと歪みすくなくデータが取りやすくなる。携帯基地局の電波の届きやすさだとか、看板広告の視認性だとか、色々精度の高いデータを欲しがる人はいるでしょう
最後に
Noteで面白そうな記事を探しているなかで、「おつきみ」さんという方が書かれていた記事を見て、この記事を書こうと思い至りました。とても、わかりみ!ということでちょっと技術的観点からも書いてみようかなと。
おつきみさんが書かれていたように、Google Mapsを見ているのに逆に歩き出してしまうこと、実は私もよくあるんです。これはちゃんと測位できないからGoogleMapsも自分が向いている方向で混乱している場面があるから、実はちゃんと地図を読めているのにスマホ側が不正確だったりします。なので、GoogleMapsより自分の方が正しい気がする、と思ったときはそれを信じるべきときもあるのですよね。方向音痴にとってはこの判断が大変なのですけれども。
これは「マルチパス」と呼ばれる課題で、特に空があまり見えないビル群とか山の谷あいとかそんなところは、GPS信号が高いたてものに反射するなかで品質が劣化したり届かなかったりすることで起きる問題です。本当は上を見上げれば空って見えるものだけれども、と思うかもしれませんが、『空が見える』というのは、『けっこう周囲が開けている』という意味で、東京のビル街だとか、森林の中などはそれと正反対の環境です。だから、大都会である東京のど真ん中だから、日本で一番測位が上手くいくはずなのになんでGoogle Mapsはおかしいの、みたいなことを思っていた方がいらっしゃるなら(私もこの会社を始めるまではそう思っていた!)、これもGNSSの課題なんですね。みちびきなども技術革新に取り組んでいます。わかりやすい図があったので拝借しつつ、ご関心ひかれた方がいらっしゃればその下に出典のリンクも貼っておきますので覗かれて下さい(ちょっと専門的な文章も多いですが正確で詳しくて面白いですよ)。
それでは、次の記事でお会いしましょう。
桐谷直毅