【差押禁止法案】いちいち新法制定は無駄。あと天下りはもうたくさん。
令和六年能登半島地震災害に係る住宅再建支援等給付金に係る差押禁止等に関する法律案
■はじめに
みなさんは「差押え」されたことがありますか?あまりないと思います(しらんけど)。弁護士さんのホームページなどをみると「国が(裁判所の命令など)」「債権者」のために「債務者」が財産の処分(お金を使うこと)を禁止することなどと説明されています。「破産」すると差押えされるらしいですね。アレ?最近政党で?こんな話あったような。。。
でも差押されないものもあるらしいです (´∀`)ヨカッタ。差押に関する法律の基本は「民事執行法」「国税徴収法」などです。ここでは国税徴収法を見てみましょう。財産の差押の第六款に差押禁止財産という項目があります。
また、国税徴収法以外で差押の禁止規定がある法律があります。それらは主に国税との関連で規定されているようです。当通達(徴通4-2)が更新されているか定かではないのですが、主に「救済給付を受ける権利」「恩給を受ける権利」「保険金、還付金を受け取るべき権利」など、67に及ぶ法律で定められています。
〇国税庁 法令解釈通達(徴通4-2)「他の法令により差押えが禁止されている財産」(昭58.7.13)
東日本大震災を受けて開かれた検討会においても差押に関する法律の制定について資料が提出されています。(『参考資料7 差押禁止法について』第2回被災者に対する国の支援のあり方に関する検討会(平成23年12月22日))これらのほかにも先日当note「【子どもに増税虐待する気?】令和六年度出産・子育て応援給付金差押禁止法案」でご紹介した災害時の給付金なども随時新法が追加されています。
本noteではこの度国会で審議されることになった「令和六年能登半島地震災害に係る住宅再建支援等給付金に係る差押禁止等に関する法律案」(「本法案」)について考えてみたいと思います。対象とするものは2024年第213通常国会で法案が審議されている法律案(衆法・議員立法)です。
今回の被災者支援については、被災者生活再建支援法(平成十年法律第六十六号)が適用され支援金が給付されます。その「第⼆⼗条の⼆」において差押等について次のように規定されています。
被災者生活支援における支援金の給付に係る差押禁止については東日本大震災の頃より新法を作って対応する愚策が繰り返されているようです。しかしそのもととなる被害者生活再建支援法についてはもともと上記のように差押について規定されています。新法を作って対応する必要はありません。むしろ、被災者生活再建支援法を改正して法定として差押を禁止すれば良いだけです。
なので本法案には大反対です。
■住宅再建支援等給付金に係る差押禁止等に関する法律案
まず、本法案のご紹介をいたします。
本法案は支援金の差押え禁止に関する内容ですので、他の話題には基本的に触れませんが、通常の被災者生活再建支援法の倍額の支給を行うことになりましたので、これらの支給金額が全て差押え禁止となります。
上記記事において「根拠の説明欠く倍増」などと言われています。しかし上記でも触れた東日本大震災後に行われた「被災者に対する国の支援のあり方に関する検討会」でも給付金の増額については検討されています。常に検討課題であることをマスコミは伝えるべきでしょう。検討会自体の検証記事を新聞各社に求めます。
さて、本法案の制定自体にも問題がありますが、被災者支援事業についても「あること」が分かりましたので、それについても付言します。
自然災害により被災者が住宅や家財を購入する際の支援金を都道府県センターというところが行っています。ただし、都道府県センターによる支援は「自然災害による被災者のための被災者生活再建支援制度」によるものであり、これは都道府県が住宅に多数の被害が生じた自然災害と認め「被災者生活再建支援法の適用ができる」旨の公示が行われてから可能になります。
被災者生活再建支援法は全国知事会が国に対して制定を訴えかけた法律です。そして支援業務について「全国に一を限って」指定される「被災者生活再建支援法人」と認められています。
1998年「被災者生活再建支援法が成立」した翌年に当ビルに建て替えられています。立派な建物ですね。都道府県出捐金346億円(地方債)を元手にして建て替えられたそうです。しかも、令和元年より再度の建設が計画されているそうです。この建物はあの悪名高い「全国知事会」の巣窟です。ここは政府(特に総務省、厚生労働省)に対する圧力団体であることは間違いありません。
〇(報告)『都道府県会館の保全管理上の課題に関する検討結果報告書(概要)』資料32 6ページ
わが国は法治国家ですので、確かに行政が行うことについては法律の定めが必要です。しかし、この被災者支援について都道府県センターがすべてを握っているというのはいかがなものでしょうか? まさに天下り、既得権の温床ではないでしょうか。都道府県センターの理事の顔ぶれを見ても地方自治体からの天下りが勢揃い。公金チューチューは民間事業者だけではなく、都道府県と国関係にまで及んでいるのです。
■住宅再建支援等給付金について
被災者支援再建支援金は1/2を国費で補助することとなっています。都道府県センターの『令和4年度決算報告書』を確認すると「被災者生活再建支援事業積立資産」として474億7400万円程が確保されています(貸借対照表/固定資産/被災者生活再建支援事業積立資産)。全体でいくら拠出することになるのかはわかりませんがこの分から被災者に給付されるものと思われます。ところで、ここでも「基金」として「見えない税金からの積立金」が貯め込まれています。
今国会で衆議院の厚生労働委員会において次のように質疑が行われました。
さて、石川県は平成19(2007)年3月にも能登半島地震が発生し、激甚災害に指定されています。その際も総額17億4700万円ほどが841世帯に対し支給されています(内閣府/防災情報のページ『支援金の支給状況(R5.12.31時点) 』)。この際は石川県全域に対し適用されています。前回も穴水地域の被害が大きかったのです。
あえてここではこれ以上触れませんが、一度対策をされたはずの地域で同様の災害が起き支援が必要になった場合の対応などは何も議論されていないのでしょうか?やはりお役所仕事は「コトが起こってから」の対応でバアタリアンなのです。「クニガキチント」には期待できません。無能な人に大金を渡して勝手に使われるのはもうこりごりです!
では、わたしたちは何をしたら良いのでしょうか? 今後東南海トラフ地震の危険性が声高に叫ばれています。内閣府「防災情報のページ」には国がしてくれることは書いてあります。ですから、自分で何が必要なのか、政府の情報なども見ながら考えてみませんか?
〇災害に係る住家の被害認定
https://www.bousai.go.jp/taisaku/unyou.html
〇住宅・生活再建にはこんなにお金がかかる
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/hokenkyousai/hiyou.html
〇公的支援制度について
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/hokenkyousai/sienseido.html
「住宅・生活再建にはこんなにお金がかかる」では住宅新築費用として約2,500万円を想定し、その内被災者生活再建支援金として300万円が支給されます。これは「公的支援制度について」で触れられている被災者支援としては基礎支援金が全壊等100万円、加算支給として建築・購入の場合に200万円支給される金額の合計です。
支給金額の算出にあたっては「災害に係る住家の被害認定について」のページに示されています。全壊とは「住家の主要な構成要素の経済的被害の住家全体に占める損害割合」が50%以上であることとされています(「災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)」)
国としてはこれが精いっぱいのところで、あとは自分たちでなんとかしないといけないわけですね。ということは、手取りを増やして貯蓄、あるいは財産を運用して増やしていくことが必要です。
しかし、それにしてもやはり不要な物は税金。そして勝手に集められ使われている「基金」。都道府県センターは県民税、国税から相当の資金を貯めこんでいます。取り崩して減税しましょう。せめて避難所の充実などに使うべきではないでしょうか。
安政の大地震の被災地の様子を絵にしたものがあります。江戸の町人が焼け出されて路地で避難生活を送っています。現代の被災者の様子とどこが違うのかわからないくらいの様子に驚きます。
「ぢしん(地震)にてやけたるあとは、浅草に、やどをかるべき一ツ家もなし」
最も重要なのは「減税」!
最後に今後の大規模災害に向けて国の方針がどのように検討されてきたか参考になる資料がありました。だいぶ前の資料ですが、ここがスタートとなると思われますので、こちらもご参考になさってください。
第1回 被災者に対する国の支援のあり方に関する検討会 平成23年2月3日
『参考資料2 被災者生活再建支援制度見直しの方向性について』
第4回 被災者に対する国の支援のあり方に関する検討会 平成24年3月16日
『資料5 東日本大震災_復興の現状と取組、課題』
浜田参議院議員に質問してほしい!
減税と規制緩和に賛成で、国会でも政府に鋭い質問をしてくださる参議院議員NHK党の浜田議員に、ぜひとも国会で質問して欲しいな〜と思うことを番外編として掲載しています。(^_^)
質問1
今回の被災者支援については、被災者生活再建支援法が適用され支援金が給付されます。その「第⼆⼗条の⼆」において差押等について次のように規定されています。
また、附則において「検討」として次のように記載されています。
特に第22条の規定によりすでに差押禁止の規定がありながら、これまでも数回の「差押禁止法」の議員立法により差押禁止の措置が図られています。このような立法の増加は行政の混乱をまねき事務作業の増加を来たし不合理な政策であると考えます。被災者生活再建支援自体に差押禁止の規定がありながら新法の制定を行うのはどのような理由からでしょうか。また、附則の事項と合わせて改正すべきではないかと考えますが、内閣府のお考えをお聞かせください。
質問2
能登地域につきましては2007年(平成19年)にもマグニチュード6.9の地震が発生し⽯川県七尾市、輪島市、⽳⽔町で震度6強を観測しております。この地震により、 死者、負傷者、住家全壊、半壊等ならびに天然然ダムにおける土砂災害、地すべり、がけ崩れが多数が発⽣しました。 能登有料道路の被害も甚⼤で、能登半島では、⾵評被害とも相俟っ て観光⾯に⼤きな打撃を⽣じたとされており、復興計画が立案され実行に移されたことは記憶に新しいことでございます。
しかしながら、本年令和6年に同様の災害が起こり、初動についても遅く、被災者支援も速やかに進んでいないということは誰の目で見ても明らかです。被災地域の方からすればとても苦しく痛みの伴う避難生活を再び送らねばならないお気持ちがあると思います。そこで内閣府、国土交通省の方にお聞きします。
17年前の災害の教訓はなぜ今回の地震に生かされなかったのでしょうか? かつての復興計画の成果があったのか、なかったのか? またこれからの復興計画について書類の上だけではない、被災者の痛みを大きく緩和できるような復興計画は作り上げることができるのか、そして実行できるのかお気持ちをお聞かせ願いたい。
最後までお読みくださり、どうもありがとうございます。 頂いたサポートは地方自立ラボの活動費としてありがたく使わせていただきます。