簡略化される前の文化が地元で生きていた。
『名披露目』または『名披露』という文化がある。
私の地元では名披露と言ったので、ここでは名披露(なびろう)と呼ぶ。
私の地元では、花嫁の名で染め抜いた風呂敷で包まれた丸盆持って、近所を回っていた。
丸盆は「丸く収まる」という言葉の意味合いから選ばれていたらしい。
2018年頃に実家の裏のひとが結婚をしたそうで、名披露を受け取ったと帰省した時に聞いた。
その話を父から聞いた時、おもしろい話だなと思って友人に話したら「そんな文化は知らない」と言われた。
「嘘だろ」と思ってTwitterでアンケートを取ってみたら、やはり知らないひとの方が多数だった。
そこで初めて土着の文化だったことを知った。
時代とともに簡略化され、現在では引き出物とは別に用意する土産物に形態が変わっているようだが、私の地元ではまだ簡略化される前の風習が残されていた。
大都市では次第に時代に合うように変化していていった名披露の文化が、ひっそりと田舎ではまだ原型として生きている。
どうしてこの土地では簡略化が起きなかったのだろうか。
でも、この文化も何れ誰にも知られず朽ちていくのだろう。
忘れられないうちに、ここに書き記しておく。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?