小噺に挑戦してみました

ローカル亭ヒ寂 お題『下』

毎度馬鹿馬鹿しいお話を一つ三つ。
ぇー少子化少子化と言っておりますが確かに子供は少ない。私らベビーブーム世代、まだまだ健在です。こうなると中にはケッタイと言うか変わり者と言うかそんな奴がおります。この間、前から犬を連れたおっさん、よう見たら同業者のもんですわ。これが、「スコップこっちおいで、はい、スコップお座り」スコップスコップ言うとります。ほんで私尋ねました。「あんた犬にスコップと名前付けとるんか?」
「そうや」
「またなんでもっとポチとかジョンとかあるやろ」
するとこう言いよります。
「あんたアホやな、ワシら咄家やろ、何でも面白くいかな。」
「それと犬と何が関係あるんや」
「ワシら喋るんが仕事や、しゃべる、しゃべる、シャベル、そんでもってスコップ」

ヒ寂、扇子を軽く2回叩く。

ぇー古今東西、ケッタイな奴は何処でもいます。この町にもケッタイや変わり者と呼ばれている者がいます。人が白や言うたら黒と言い、美味いと言うたら不味い、好きと言うたらキス…いやいやお客はんここ笑うとこでせぇ。(ヒ寂、客席いじる)
でぇ、この町に真佐左衛門と言う男がおります。この男、根はええんやけど変わり者。人が高台に店を出すと真佐左衛門は穴を掘りそこで商売を始めた。夏は涼しく冬はこれまた暖かい。そんでもって湧水が出てその水が美味く珈琲出すと美味い美味いと人が集まりこれまたその湧水で作った真佐左衛門ビールが売れに売れ真佐左衛門たちまち商売繁盛、真佐左衛門を下に見下してた者も一目置くようになった。
「下や下や、高台なんかあかんあかん下や下や。下が金を生む」
そこへ隣り町の大工のジョン吉が仕事が早く終わり噂になっている真佐左衛門の店にやってきた。このジョン吉、頭の回転が早く腕も立つ。
「よう、オヤジ邪魔するで」
「まだ開店前なんですけど、まぁお越しなはれ」
「オヤジ、こんな下で商売しとるんか?」
すると真佐左衛門興奮した感じで、
「し、下、あんさん、ええ言葉しておりますな、まあ座りなはれ。で、あんさん今日はわざわざここえ?」
「いやいや、そこ、そこで仕事あったんやけど早よ終わったんや」
すると真佐左衛門また興奮した感じで、
「そ、そ、底…あんさん、うちの美味いビールご馳走しましょう。さぁ呑んで呑んで」
で、頭の回転が早いジョン吉こう考えた。
『はぁはぁん。ここのオヤジ地面掘って下で商売して儲かってるから下絡みの言葉に弱いな。逆に『上』て言うたらあかんなぁ。よっしゃ!ひとつかましたろ!』
そう考えたジョン吉、真佐左衛門に話しかけた。
「オヤジ、ここには古くからおるんか?」
「へい、店は2年ほどなりますが生まれも育ちもここでございます。」
「ほなワシの同級の下川て知らんかいな?」
「し、し、しも、下川、存じ上げんけどあんさん、ええ人やな〜ビールもっと呑んで呑んで奢るさかい。」
ジョン吉の前に真佐左衛門ビールの瓶がどんどん並ぶ。会話は進み真佐左衛門が尋ねた。
「で、あんさん結婚してますんか?」
ジョン吉小指を立てて、
「ワシか、ワシは結婚してないけど女子(おなご)はおるで。これがええ女で名はチカ言うてデパートのエレベーターガールして、下へ参ります、て言うてますわ」
「ち、ち、チカ!し、下に参ります!あんさん、ええ人や、もっと呑み呑み。そんでこれチカちゃんにプレゼントや」
真佐左衛門、ジョン吉の前にぽ〜んと分厚い財布を投げ渡した。
ジョン吉目ん玉くりくりして財布の厚みにビックリする。
「さぁ、もっと呑みもっと呑み」
ジョン吉言われるままに呑むに呑む。
「まだまだ呑みなはれまだまだ」
ジョン吉の前には真佐左衛門ビールの空いた瓶がゴロゴロ転がっている。
「オヤジもう呑めん、もう呑めんワシも酒は強いけどギブアップやぁ」
真佐左衛門の顔色急に変わりさっき渡した財布を取り上げて、
「あんさん今何言いました、ギブ••アップ••」
真佐左衛門指笛を鳴らすと店の奥からシャベルを持ったガタイの良い男3人組がジョン吉の前に現れ1枚の紙切れがヒラヒラと。
ジョン吉、手に持った請求書を見てこれまた、
「高〜」

ローカル亭ヒ寂、客席に頭を深々と下げ舞台袖に消えていく。

解説

この話は以前聞いた落語を元にパックリと書かせて貰いました。誤字などがありますのでよろしくお願いします🙇‍♀️
この作品はフィクションであります。登場人物•場所などは空想妄想漏らしそうの世界で御座います。
長い文章お読みありがとうございます。尚、この文章は3秒後消滅しません。

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