バーテンの虎 なんちゃって事件ファイル
背中から煙が…編
それは今の様な暑い日であった。当時ワタクシは朝はお弁当の配送業、昼は古着屋稼業、夜はころと寝てしまう転び屋(殺し屋)。
その恐ろしい出来事は朝の配送業の事だった。配送の車は軽四の冷凍車。その冷凍車は保冷庫を冷やすと運転席の冷房は何故かミステリーの如く冷房が効かなくなる。冷たく細い手がワタクシの背中を弄る様に汗ベッショリになってしまう。ふぅ〜と耳元に息が、じわ〜と首筋に唇が、あぁ〜んとワタクシ声を上げる。その話は置いといて…
背中の汗を何とかしなくてはと、シガーソケットに差し込んで座席にセットするファン付きの腰当てを購入。それからは快適な空間が朝の配送稼業も弾む弾む。でもある朝、明姫幹線国道250号線を東へと軽四車は走る。
「あれ?何や?焦げ臭いなぁ?」
窓の外を見ると畑の野焼きの煙が。安心したワタクシの軽四車は更に東へと。約時速80キロで走行中カーFMは軽快な音楽。するとワタクシの腰辺りからモクモクモクモクと煙が煙が。窓は閉めてるので忽ち軽四車の狭い車内は煙で充満。時速80キロ、サイドミラーには後続車が続くのを確認、まだ車内は煙と焦げた臭いがワタクシを襲う。これは罠なのか!違う違う!これは俺を消す為に来た殺し屋なのか!違う違う違う!
でもワタクシ虎の穴出身。知らずうちに冷静差が身を守ってくれた。スピードを緩めると後続車に迷惑かける。その為スピードを一定に保ち、お侍さんが刀を素早く抜く如くシガーソケットの電源を抜き、そして窓を全開。煙が車内から抜けるのを確認して停車場所を見つける。
「あった!」台詞と同時にハザードを出しキューと急ブレーキをかまして路肩へと。運転席を飛び出し急いで腰の辺りを手で払う。幸い腰•背中に火は無し。後は想像通り真っ黒になったファンが、
「燃えたよ、燃え尽きた。何もかもな」
ファン付きの腰当てのジョーは真っ白でなく真っ黒に散っていった。
出演 若き日の虎(東映新人)
軽四冷凍車ハイゼットカーゴ(ダイハツ)
腰当てファン(車専用)
畑の野焼きしていたおじさんもしくはおばさん
回想 お侍さん
友情出演 矢吹丈
文•原案•脚本•運転•スタント バーテンの虎
協力 明姫幹線 ドライバーの皆様
ー背中から煙が…製作委員会ー 完
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