なぜクラブは怪しいイメージなのか?
今回はクラブ事業と風営法の関係を紹介した書籍が興味深かったので紹介したいと思います。
時代にそぐわなくなった規制を変えていくための方法についても勉強になりました。
1.2016年の風営法改正前までクラブの0時以降の営業は違法だった
そもそも2016年のクラブ事業者は違法状態で営業を余儀なくされていたそうです。
風営法では「客にダンスさせる営業」を風俗営業として営業のためには以下のような条件を満たすことを要求していました。
公安委員会の風俗営業の許可が必要
営業が出来る地域で営業をする
店内の内装や設備の規則を守る
許可を取得しても原則0時以降の営業は禁止
元々風営法が制定された1948年時点では夜の店でのダンス=売春の温床という実態があり、上記のような厳しい規制が作られたそうです。
しかし、今やダンスは学校教育でも行われるものとなり、ダンスから売春を想定する人はほとんどいないはずです。
にもかかわらずダンス=売春の時代に作られた規制が残り続けていたわけです。
このように規制が作られた当時の社会情勢と大きく変わっているにも関わらず、規制が温存されているケースは沢山あります。
2.深夜0時で閉めるクラブはあり得ずグレーな状態が続く
0時で閉店するというのはクラブ事業が経営的に成り立つはずがないので、多くの店舗が営業許可を取得せずに飲食店として営業したり、許可を得ていても0時以降も営業をすることが常態化していた。
規制当局である警視庁も、法的にはグレー状態なまま放置で何か問題があれば摘発するという関わり方をしていました。
クラブが怪しいイメージなのはそもそも違法操業を強いられる構造があったのが一因と考えられます。
関係者の規制緩和の働きかけの甲斐もあり、2016年の風営法改正で条件を満たせば0時以降も営業可能となりました。
小規模な事業者が基準を満たしにくい等のまだ課題は残りますが、現実に合った規制に変化した例と言えるでしょう。
3.公共政策学で重要な「フレーミング」という概念
この書籍で参考になったのが「フレーミング」という概念です。フレーミングは「どのように問題を捉え、イシューとしていくか」という議題設定を指します。
風営法改正では、「クラブの営業許可」ではなく「老若男女が楽しむダンス営業が違法なのはおかしい」という議題設定をしたことで多くの共感を呼んだそうです。
このような共感や賛同を広く得られるフレーミングは今後考えていきたいと思いました。
風営法が改正されたからはナイトタイムエコノミーという夜が持つ市場性について提起することで、活動を広げようとしているみたいです。