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フジテレビもどうしましょう!?~CMを解説~

 中居くんの女性問題からあれよあれよと、フジテレビの経営危機に陥った昨今。テレビっ子だったのでフジテレビ大好きだった。過去形なのは、テレビを観る機会が本当に少なくなってしまった。しかし、ある意味人格形成の大きな影響を受けたと言っても過言ではないテレビ。なんとか、立ち直って、かつてのフジテレビに戻ってもらいたい。女性問題はさておき、CMをACに差し替えられてフジテレビは大丈夫なの?そもそもCMの契約ってどうなの?フジ・メディア・ホールディングスって何?なんで、この件でホリエモンの話題がでるの?を解説する。


①番組と番組の間

 番組と番組の間には、ステーションブレイク(以降、SB)と言う隙間時間が存在する。30分番組の実際は29分番組となる。1分はSBとなる。
SBとは、昔はフィルム番組が多く、フィルムチェンジの時間が欲しかったり、次の番組への準備が必要だった。それが、SBだ。

番組と番組の間にはステーションブレイクがある

 今の時代。収録番組やCMも、いったん番組バンクやCMバンクと呼ばれるストレージサービスに保存されメモリから送出される。よって、SBは必要無い。しかし、テレビ全盛期。CMの放送時間を確保する目的にだんだん変化してきた。②につながる基礎知識として押さえてもらいたい。

②CM契約は大きく2種類

 朝はめざましテレビ派な私。この2週間で、番組提供表示は消えCMもほとんどACだ。そもそもCMってどういう契約で放送されるのか解説する。
大きく分けて2種類の契約が存在する。それが、タイム契約スポット契約だ。簡単に言うと、番組内で提供表示された企業のCMがタイム契約で、それ以外がスポット契約だ。

CM契約の大別

タイム契約

タイム契約はいわゆる、番組のスポンサード。提供コメント「この番組は、標どうの提供でお送りします」にある通り、標どうのお金で番組制作費が賄われる。だから、その対価として番組内でCMが流れる。番組提供なので契約額は高額となる。高額だが、番組の視聴者層が絞ることができる。よって、企業が狙う購買層の視聴者が多いタイミングでCM流せるのでメリットは大きい。

スポット契約

スポット契約は、番組と番組の間にあるSB枠で放送されるCMだ。番組提供ではないため、かなり安価にCMが流せる。しかし、原則いつ流すかは局都合となるため場合によっては、まったくターゲット層の視聴者が見ていない時間帯で流れてしまう。放送局にとっては、隙間時間でただ流すCMなので利益率が高い。
現時点で言えば、ACへの差し替えはCM出稿側企業の都合となる。だから、番組提供表示がなかろうが、CMをACに差し替えようが契約上はタイム料金が発生する。

③フジの支局でも子会社でもない系列局

 生まれてずっと関東民の方は知らない人が多いかも。全国ネットの放送局はNHKだけである。民放であるフジテレビはもちろん、日本テレビやTBS、テレビ朝日にテレビ東京は、関東をエリアとするローカル局(いわゆる、関東ローカルという言葉はそれ)だ。他の関西や中京など一部を除き、テレビ局の免許は県域免許。フジテレビの電波は、北海道や福島、静岡や熊本では発射できない。発射したら放送法違反でそれこそ免許はく奪になる。県域免許の理由は田中角栄まで遡るので割愛する。

系列局

 フジテレビなどが全国で番組を流すには、各県にあるローカル局と契約をして専用線で番組をローカル局に送り、番組をローカル局の放送設備にて電波で流してもらう。この契約を包括的に交わしたのが、いわゆる系列局だ。よく、FNS24時間テレビとかFNS歌謡祭など「FNS」と言う言葉を聞いたことがあるだろう。FujiNetwoerkSystemの頭文字で、フジ系列の意味である。

関東以外はAC以外のCMも

 実は、関東の方はACばかりかもしれないが、系列局ではそうでもない可能性もある。全国ネットの番組でも、CMが全国で流れるパターンとローカルでCMを差し替えるパターンが存在する。それが、ネットセールスとローカルセールスだ。

セットセールスとローカルセールス

ネットセールスが全国同一CM。ローカルセールスは、その時間帯は系列局自身でCMを見つけてくださいとなる。図の例で①は、フジテレビからCMすべてを流すのでACが多い。例えば、めざましテレビなどは②の例。時間帯でローカルセールス枠があるので、その時間は系列局で提供テロップやCMを流す。ちなみに、フジテレビでネプリーグをやっている時間帯は、完全ローカルセールス枠。系列局は、ネプリーグを流しても良い(ただし、スポンサーは自分で見つける)し、番組自体を差し替えても良い枠である。よって、関東以外のフジテレビ系列は、関東の人よりAC率は低いかもしれない。※フジテレビ系列と言うだけで、CM出稿をやめるケースもあるらしい。

フジテレビとホリエモン

 ちょっと話を変える。20年前?フジテレビとホリエモンの間でいざこざがあった。パンドラの箱を開けてしまったホリエモンはその後、ブタ箱送りになった。

フジテレビを作ったのは、ラジオのニッポン放送など

 テレビ創成期のテレビ局の設立経緯は、新聞社→ラジオ局→ラジオ局がテレビもやる(ラ・テ兼営局)というパターンが王道。フジテレビはと言うと、関東圏のラジオ局である、ニッポン放送や文化放送が主体となって別途フジテレビという会社を設立させた。フジテレビの親会社はラジオのニッポン放送だった。ところが、マスメディアの主戦場がラジオからテレビに移り売上もラジオの何倍~数十倍と子であるテレビの方が大きく成長としたのはいわずもがな。しかし、株支配としての親子関係は継続したままだった…

フジテレビを買収したかったホリエモンが取った裏技

 当時ライブドアと言う企業買収で財を成した会社の社長だったホリエモン。そんなホリエモンはフジテレビの買収を策略した。しかし、全国ネットのキー局であるフジテレビを買収できるほどの財力はない。そこで目を付けたのがニッポン放送だ。企業価値としては圧倒的にフジテレビより低い(安い)ニッポン放送。しかし、株の支配関係ではニッポン放送が親。ようは、ニッポン放送を買収すれば自ずとフジテレビも支配下におけるのだ。

フジテレビとホリエモン

 結果的には、政財界を巻き込んでなんとかホリエモンの買収は阻止された。この問題を機に、認定放送持株会社が誕生することになる。

④フジ・メディア・ホールディングスって何?

 これを説明したかったので③を先に説明した。放送局が上場して資金調達したくても、一般の企業と同様買収される可能性がある。それは決して悪いことではないが、こと放送局は民間とは言え、公共の電波を預かる公益性が高い事業だ。外国資本叱り、国内でも裕福な企業や個人が買収して好き勝手に電波を私物化されても困る。そんな建付けで登場したのが、認定放送持株制度だ。いろんな法規制をかけて上場しながら資金調達を実現できるも、前途のような電波の私物化されないように放送局を守る制度。その第一号が、フジ・メディア・ホールディングス(以降、FMHD)である。フジサンケイグループ全体で持株会社を設立。ニッポン放送やフジテレビは上場を廃止し、FMHD100%子会社化した。いま、記者会見で、フジテレビの港社長(執筆時点で辞意表明)のほかに、FMHDの社長や会長が出てくるのは、フジテレビはFMHDのいち子会社であり、株主から強く言われるのはFMHD側なのである。

ホリエモン騒動で生まれた認定放送持株会社

⑤まとめ

 フジテレビの問題をCM視点やFMHD視点でまとめてみた。テレビ局は、4月と10月が改変期と言われる。それは裏を返せば、タイム契約の切り替え期であることが言える。いま、まさに4月改変期の営業中。タイム契約が獲得できなければ番組制作はできない。スポット契約が獲得できなければ利益が生まれない。ただ、FMHDの連結純資産が1兆円を超えているので、1年2年この状況が続いて潰れる心配は無いと私は考えている。しかし、報道機関としての信頼が地に落ちマスメディアとして再生する日はいつになるだろうか?完全に別会社として変えるくらいしないとダメだろうと思う。

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