塗膜調査あるある10 塗膜採取方法について・・・乾式
乾式による塗膜採取方法
乾式採取は、物理的に塗膜を剥離する方法です。
ケレン棒を用いて剥離できればいいのですが、劣化が激しい塗装ではケレン棒では採取に時間がかかります。
そこで、よく用いられるのが電動工具です。
チーゼルワイス
チーゼルワイスの利点は、剥離時に素地を傷めることが少ないことにあります。
剥離した塗膜以外の物質が入れば、その分測定値の精度が下がります。
ただし、劣化の激しい塗装の場合は、チーゼルワイスで下塗りまで剥離するのは非常に困難となります。
グラインダー(集塵機能付)
チーゼルワイスで剥離できなかった塗装は、グラインダーを使用します。
集塵アダプターを取り付け、ホースで集塵機に接続することで塗膜の飛散なしで採取が可能となります。
剥離機材の使い分け
分析試料としての塗膜採取で最も適した方法は、上述したように剥離時に素地を傷めないチーゼルワイスです。塗装の膜厚がそこそこあれば、チーゼルワイスで下塗り塗装まで一気に剥離することが可能です。
集塵機も必要ないことから、現場への持ち込み機材が少なくなります。
ただし、塗装の経年劣化が激しい構造物を対象とすることが多いため、チーゼルワイスのみで採取できるケースは、私の経験上3~4割程度です。
その他チーゼルワイスとグラインダーの二刀流が4~5割、グラインダーのみが1~2割といったところでしょうか。
グラインダーの扱いに長けた作業員であれば、上手く素地を傷めないで採取できるでしょうから、グラインダー1本で塗膜採取ができるでしょう。
とにかく、塗膜以外の物質を極力排除して採取することが大切です。
つまり、ゴミ・ホコリ・錆びを入れてはいけないということです。
これらが多く入っている試料の場合、分析会社は「塗膜」として扱わない場合もありますので、採取の際は十分に気を付けましょう!