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「警察いらない」【ショートショート/140字小説のリライト】
遠出がしたくなり、週末の休みを利用して友人とドライブにでかけた。助手席に友人を乗せ、山間の道を進む。道路脇には畑、前方には壮大な山岳景色が広がる。
「いい景色だ。心が洗われるようだな」と私が嘆息すると、友人が「心洗うよりお手洗いに行きたい」と情緒をぶち壊すようなことを言う。
私は軽く身を乗り出し、前方の道のりを見晴らした。
「この辺りにトイレなんてあるかな……」
見渡す限りの大自然。人工物すら見当たらない。
「もうそろやばい。最悪はここで漏らすか……」
「俺の車だぞ」
すると、大きなカーブを曲がった先に交番が見えた。
「お、交番でトイレって借りられるかな」私が名案とばかりに口にすると、友人は鼻で笑った。
「トイレが交番で済めば警察いらないだろ」
「はい?」
「あーやばい。漏れそう」
「いや、今のなに?」
「え? だから尿意だよ」
「いや、そこじゃなくて。トイレが交番で済めば……ってやつ」
「トイレが交番で済めば警察いらないだろ」
「警察なめんなよ」
※かつてのTwitterで投稿していた140字小説。140字以内はけっこう難しく、なくなくカットした箇所もかなり……。字数を気にせずにリライトした過去作をnoteにあげていってます。