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「オオカミと七匹の子ヤギ①」【ショートショート/140字小説のリライト】
前から狙いをつけていた、丘の上にある赤い屋根の家。中からはいつも楽しそうな声が聞こえてくる。
オオカミは木の影から見張りを続ける。あの家で暮らすヤギの一家を、全員食べてしまおうと企んでいた。
母ヤギが家を出た。彼女の姿が曲がりくねった一本道の先へ向かって小さくなっていくのを確認し、オオカミは子ヤギたちの住む家の戸を叩く。
「ママだよ。開けておくれ」
すぐに子ヤギは言った。
「嘘だ! ママは自らの身を人間に捧げてお金を稼ぐんだ! 次にここに来るのはお金の入った書留を持つ郵便局員さんなんだ!」
「お、お前ら……」オオカミの目に光るものが。「俺が育ててやる!」
※かつてのTwitterで投稿していた140字小説。140字以内はけっこう難しく、なくなくカットした箇所もかなり……。字数を気にせずにリライトした過去作をnoteにあげていってます。