「せっかくだからメイクしようよ」ーLapizMOGAのきっかけ
盛れない証明写真機
これ、見たことあるでしょうか?ご家族にいないとなかなか普段目にしないと思います。
療育手帳というもので、知的障がいの方が「障害」の認定を受けると発行されます。これを提示することで、様々な行政サービスを受けることができます。電車運賃が安くなったり、美ら海水族館チケットが安くなったり、上野動物園が入館料無料になったりするんですよ。パンダ見放題です。
自治体ごとに名称は様々で、東京都では愛の手帳と言います。
さて、この愛の手帳、小さい頃に一回もらったからOKではなくて、18歳の時に再申請して更新をしなければいけません。その更新後は65歳まで使います。
18歳になった自閉症の妹にも愛の手帳更新の時期が来ました。
「明日この写真持って行こうと思うねん」
母が渡して来た写真に私は衝撃を受けます。これ、アカン...!運転免許の写真で完全に犯人顔になった時のやつだ...!!!
想像してください。65歳まで運転免許証の写真が映りのせいで二重アゴに見える半目の写真だったら。完全につらいです。姉の私は自宅での撮り直しを提案しました。
妹の写真はノーメイクでした。
「せっかくだから、メイクしない?」
こうしてナチュラルメイクをほどこし、白い壁の前で撮って、彩度と明るさ調整等々をした写真がこれです。
プリ程ではないですが、眉毛がちゃんとありますし、リップの感じもアイラインもわかります。姉の許容範囲に無事落ち着きました。
メイクできない"環境"?
皆さんがメイクを始めたきっかけって覚えているでしょうか?雑誌とか、Youtubeで勉強とか、色々あったと思うのですが、多くは周りの友達がやり始める時期に始めたと思います。
知的障がいの方が通う学校を特別支援学校、普通校の中のクラスであれば特別支援学級というのですが、彼らのクラスはまず1クラス5人前後。しかも男女比は男性の方が圧倒的に多く、クラスに女子1人なんてこともしばしばです。
さらに、学校以外の習い事先も、そういった障がいのある子たちが通う場所を中心に通います。
学校も周りは全員ノーメイク(余談ですが先生たちも薄化粧の方が普通の学校より多い気がします)、学校以外にメイクをするお友達と出会う場所もない...
これでおうちに女兄弟がいなかったら、メイクしないですよね?
お母さんも、障がいのある子はなんだかずっと幼い感じがしてしまっていて、メイクを教えるという発想自体がなかったり、おしゃれに興味がないと思い込んでいたりします。
私たちも、お母さんに教えてもらってないですよね。というか私が教えてあげて一緒にQoo10使ってますし... 。
プロの方にメイクアップをお願いしても、大人に囲まれて緊張した場で、長時間はじっと座っていられない方も少なくありません。
メイクをしない≠メイクを知らない
ノーメイクは悪くないんですよ。大学3年にもなると1限のためだけにファンデーションを塗ってられない日もあります。ノーメイク表参道です。
でも、ノーメイクを選ぶことと、メイクを知らないことって違うと思います。メイクをしたい日はメイクが出来て、そうでない日はしない。選ぶ自由があると思います。
そしてこの分野で一番お手伝いできるのが、私たち大学生ではないでしょうか?私たちには時間と、かわいいメイクスキルと、若干いい具合に写真を盛る技術があります。
手帳更新のお写真ももちろんですが、メイクをしたい日にちょっと来れるような、周りに普段いない「何だかすてきなお兄さん・お姉さん」と出会って今日からちょっとリップ塗ろうかな〜と思えるような、そんな場所にLapizMOGAがなればいいなと思っております。
ご興味持っていただけた方は、お気軽にご連絡ください(保護者さま:lapiz.moga10@gmail.com ボランティアさん:lapiz.moga20@gmail.com その他団体様:lapiz.moga30@gmail.com)。メイクスキルがなくとも、カメラが得意であったり、男性も大歓迎です。
"メイクは外見以上に、こころを豊かにする体験である"、そういうポリシーの当団体でぜひ皆さんが心に残る時間を過ごして頂ければなによりです。
LapizMOGA ことこ
※追記5.27
...療育手帳のお写真は、撮り直して持っていけば交換できるそうです。療育手帳の他にも、マイナンバーカードや就活用お写真など、いろいろな証明写真の際にはぜひうちに来て下さいね!