好きを表現するためには?

【初めに】

どうも、らふと申します。
ラブライブ!と大乱闘スマッシュブラザーズが好きな人たちが集まってワイワイガヤガヤしすぎている集団、LL!鯖に所属させてもろてます。

今回はそんなLL!鯖の定期note企画を私奴が担当するわけですが、皆さんはこのnote企画の最初のnoteはもうご覧になられたでしょうか?

我らがLL!鯖の広告部長、兼スマメイトで「リトルマックの方が向いてますよ」とコメントされた悲しきベレトス使いのディアナさんが書いた『好きを表現していけ!』になります。

弱2下スマまでは入れ込んでいいって言ってました

noteの内容については是非上記記事を読んでいただきたいのですが、ざっくり要約すれば「好きを自分の言葉で伝えるのって超気持ちいいぜ!」って話です。
上記記事でもほんのり触れてますけど、彼は自分の妄想を文字でしたためる、所謂"二次創作"をやる側の人間です。
かく言う私もそっち側の人間で、同じく文字で二次創作をしています。
彼は虹ヶ咲、私は蓮ノ空とコンテンツこそ違えどやっていることは一緒なので、彼の言うことは頷けるんですよね。
別に言葉に限る必要は全くないのですが、その人だけの表現をしてほしい、それを見たい聞きたい、という話。

ただ、それってめーちゃ大変なんですよね。
"表現する"って普段は早々やる機会なんて無くて、かと言っていきなりやろうとしても中々難しい。
学生時代に国語/現代文を「こんなの将来なんの役に立つんだ」と適当にこなし、日々のTwitter(現X)をネットミームで乗り切る私含めたオタク様におかれましては、仮にやりたい気持ちがあってもどうしたらいいのか……となってしまうのではないでしょうか。

LL!鯖のネットミームの王

前置きが長くなりましたが、今回私がしていく話はその"表現する"ためにはどうしたらいいのか……厳密には、実際どういうふうに表現するにいたっているのか、という部分をお話していこうと思います。
手前味噌ですが、私が実際に書いた作品をサンプルに、普段どうしてるのかを説明していきます。
これが、表現したいけどできない……そんな誰かへの一助となるならば、それ以上はありません。
そうじゃないぜって人は、6つは年下の女子高生同士の生活を妄想する異常成人男性の脳内を覗き見て、笑いものにしていただければと思います。

尚、今回は"文字による二次創作的表現"に限って話をします。餅屋は餅しか売れないのでね。

俺も声帯が来栖りんだったら許されたのだろうか

【本題】

さて、そんじゃま本題に入っていきます。
今回サンプルとして使うのは、次の拙作です。

一週間前にpixivにて投稿した『雪夜を渡る宙船』になります。
文字数はだいたい6000字、蓮ノ空のお散歩日記くらいの長さですね。ツイート換算だと43ツイートくらい。
pixivに投稿される小説としては平均的な長さですが、初めての創作で目指すには少し心的ハードルのある数字かなと思います。
なので、あまり長さは気にしないでください。
読まなくてもギリ伝わる解説を心がけますが、読んでもらった方が話は早いです。
あと結構自信作なので、是非に。

それでは、流れについて話していきましょう。

①「えがきたい」を決める

ここに関しては皆さんもやったことあるんじゃないでしょうか。
要は妄想です、妄想。
こういうシーンを見たいなぁ、こういうことさせたいなぁ……そういうのです。
今回、私が見たかったシーンは「小気味よい煽り合いをする乙宗梢と藤島慈」です。

こういうの

また、より具体的に言って欲しいセリフがありました。
それが慈の

「せっかく全国への切符をプレゼントしてあげたんだもん。めいっぱい有効活用してもらわないとですからねぇ」

です。
厳密には最初の段階で上記のセリフと一言一句同じものを想定していた訳では無いのですが、「渡した全国への切符、ちゃんと使ってよね」みたいなことは言ってもらおうくらいに思ってました。
なので、そこからお話を広げていくことに決めました。

②前後の展開を決める

書きたいシーンが決まったら次はそこから時間軸を広げていきます。
ワンツイートで出力するくらいなら過程なんて長ったらしいものは必要ないですが、作品にするとなるとそうはいきません。
タメがあるから見たいシーンが盛り上がるんです。
過程をすっ飛ばしても受け入れられるのは、スマブラの撃墜集だけです。
必要なのはシーンの前と後、特に前ですね。

撃墜集すらタメを作る時代

今回は上記の通り、梢と慈の掛け合いを書きたかったので、二人に会ってもらう必要がありました。
残念ながら、キッカケも意味も無く一緒にいるような二人では無いので、どちらかを与えて会ってもらう流れをイメージ。
会話して欲しい内容は他の子がいるところでする内容では無いので、二人きりが前提。
そうなると、学校や部活中は厳しいので、部活以降……時間軸は夜に定まります。
繰り返しますが、キッカケなく一緒にいるような二人ではないので、流れとしては一人→二人しかありません。

ここらへんまで考えて、また①と同じことをします。
つまり、その決まった流れの中でまた見たいシーンを考える、ということです。
私は「一人の時間に寂しさを覚える乙宗梢」にしました。
蓮ノ空の一月はやたらめったら忙しかったので、その合間を縫うような今回のお話なら、騒がしさの中の静寂に寂しさを覚えてしまう……そういうのも"味"がするなと思ったので、サブシーン?はそれに決めました。

乙宗梢は"味濃い"


これで、もともと決めていた一人→二人の流れというのが乙宗梢一人→藤島慈合流まで具体性を持ちました。
更にそこに寂しさという要素も加わったことで、合流の流れも凡そ限定されます。
なんてったって乙宗梢ですよ?
どんなに寂しくても藤島慈に「寂しいから一緒にいよう」なんて言うわけないじゃないですか。
となると、合流の流れは偶発的なものである可能性が高いです。

ℋ𝒶𝓅𝓅𝓎 ℰ𝓃𝒹 至上主義

これで、全体の流れがざっくりと決まりました。
私が書く前に考えているのはせいぜいこんなもんです。
書きたい長さによって事前に決めておく範囲も変わるかと思いますが、私は1000-90000文字でほぼこのくらいしか決めてません。
もっと緻密なプロットをきれればいいんですけど、生憎何回やってもこのクオリティの域を出ないので諦めました。
これでも二次創作をやっていけているので、何が言いたいかっていうととりあえず書き始めるって大事だよということです。
数学の証明でもよく言うじゃないですか、分かるところまで一旦書いてみるって。
最初から道のりの全体像が見えるわけなくて、どのくらい見えるかは人それぞれです。
でも、一歩目を踏み出さない限りは二歩目に辿り着かないのは全員同じです。
とりあえず書き始める、なによりもこれが大事だと思います。

③人称視点を決める

さて、じゃあ流れも決まったことだし書き始めちゃうぞ〜……となればいいんですけど、その前にもう一つだけ確定させないといけないことがあります。
所謂、○人称○視点ってやつです。
簡単に言えば、誰視点で話を進めていくか、ということです。
大きくわけて一人称か三人称かという選択肢があります(細かく分けたらもっとありますが、それは割愛)。
今回のサンプルは一人称で書いていますね。
実際に引用して違いを見てみましょう。

 慈はそれだけ背中越しに言い残すと、私が返事をする前に小走りで視界の外へと消えてしまった。三年間続いたいつも通りの無頼さに、私もため息をついてしまう。

これが一人称。
言えば分かると思いますが、梢の視点でお話が展開しています。
これをもし三人称で書くとしたら(私自身が書き慣れていないので下手なもんですが……)次のようになります。

 慈はそれだけ背中越しに言い残すと、梢が返事をする前に小走りで梢の視界の外へと消えた。三年間続いたいつも通りの無頼さに、梢は呆れたようにため息をつく。

比べると違いがわかりやすいと思います。
三人称は所謂神視点です。
なので、一人称(梢視点)だった時に"私"となっていたところが"梢"に変わっていますし、「視界の外」というワードにも「梢の」という修飾語がつきました。

これに関してはどちらが優れているというものではありません。それぞれにメリットデメリットがあります。
ざっくり説明すると、一人称は心情描写がコミカルになり文章のメリハリをつけやすい代わりに、視点主以外の心情や思考を明言できません。
書くとしても、視点主の推測という形が限界です。

ほら、と、慈はそれ以上言葉を続けずに発言権をこちらにほうってくる。何度も同じこと言わせんな、なんて言われてる気がした。というか、言っているのだろう。

三人称はその点、書きようによって複数人の心情描写をすることも可能です。
ただ、人物では無い神視点という都合上、地の文に感情の起伏を乗せることが難しく、硬く説明くさい文章に陥りやすいです。
私が唯一書いたことのある三人称の作品から例を引用します。

 納得しきってはいないものの、沙知の唱えるスクールアイドル像は同意のできるものだったため、梢は出しかけていた矛を収める。
 沙知は他の二人にも目配せするが、元より追いかけっこを楽しんでいる綴理と、そこまで熱量のない慈から反対の声は出なかった。

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=23175775#2

人称も視点も好きなように、作品に合うように選べばいいと思いますが、混ざるのだけは読みづらく分かりにくい文章になってしまいやすいので避けるべきです。
なので、書き方を一つに定めてから書き始めるのがいいと思います。
サンプルの話に戻ると、今回は

・梢一人のシーンからスタート
・梢の寂しさを描写する必要がある
・書き慣れている

等の理由で、一人称梢視点を選びました。

人称視点は本当に無限に書き方があり、それによって作品の雰囲気もガラリと変わるので、今回ここで取り上げた話はほんの一部です。
慣れてきたら、そういったところでオリジナリティを出すのもいいかもしれません。

④カクゾ!

ここまできたらあとはもう書くだけです。
好きなように書いてください……ってのが本音なんですが、ここでいきなりほっぽり出されるのも大変だろうなとも思うので、普段書いてる時に気にしていることをつらつら上げていこうかなと思います。

・いつ/どこで/だれが/なぜ/なにをした を明確に
皆さん小中の国語の時間によく言われていたでしょう。英語で言うところの5W1Hです。
困ったことに、私たちは脳内に映像があるので書いてなくても違和感がないんですよね。
だからここは、意識して書かないと抜けがちです。
特に書き始めの場面は全ての情報を詰め込まないといけないので、意識するにも説明くさくなってなんかキモい……なんてこともしばしば。
私がよく使うのは"季節の挨拶法"です。命名私。
サンプルでも使っているので、見てみましょう。

部屋で一人、本を読む夜。針を刺すような鋭い寒気から断絶された温かい空間で、私の手でページが捲られる音だけが空気を揺らした。

これはサンプルの最初の段落です。
自分で解説するのも恥ずかしいんですが、ここは上記の情報を一気に詰め込んでます。

いつ:寒い夜(冬を想起できる)
どこで:部屋(夜ということから自室と読み取れる)
誰が:私(地の文の硬さで梢と読み取って欲しい)
なぜ:一人だから
なに:本を読んでいる

最初に、できるだけ短く必要な文章を詰め込む。
これが私の言う"季節の挨拶法"です。
意識して読んでみると、私の作品はだいたいこれです。
強くて使いやすい技を擦ってしまうのは腐ってもスマブラーだからですかね、持ちキャラに擦れる強い技ないんですけど。

地の文でキャラを動かす

ストーリーである以上動きがある訳ですが、漫画じゃないのでそれは言葉で伝えないといけません。
セリフで伝えられる動きには限界があるので、そこも地の文の役目です。

 慈と二人で玄関を抜けると、さっきと同じ凍てつく冷気が肌を撫でる。それは慈の方も一緒で、出るやいなや「さっむ!」と声をあげて鼻の頭くらいまでマフラーの中に埋めた。慈は冷たい雪にはひとかけらも当たりたくないとでもいうふうに、私より先に傘を広げる。私のものと似た落ち着いた色合いの傘。慈にしては飾り気がないなと思いつつ、私も傘を広げる。傘の分だけ離れた距離で、二人揃って歩き始めた。積もる雪はさっきよりも深くて、足を上げた拍子に軽く舞う。そんな状態だから、随分とゆっくりした歩みが続いた。

私は多分地の文が長い方なのでいろいろ書きすぎですが、最低限後ろの描写と矛盾ないように情報は載せておく必要があります。
ここで言うなら、慈がマフラーに顔を埋めているというところですね。

 でも、そんな掠めた思いを霧散させるように、乱雑な足音を鳴らしながら慈は私の横に並び立つまで歩みを進めてきた。顔を向けると、わざわざマフラーから口元を出して、大きくため息をして見せてくる。白息が消える頃にはまたマフラーに潜って、フンと鼻を鳴らした。

まあ、わざと描写をせずに叙述トリックを仕込んだり読者の想像に任せたり、なんてのもあるので、必須では無いです。
ただ私は、私の見せたい映像をそのまま伝えたいなと思ってる派閥なので、ここらへんは意識しています。

誰が喋っているのか分かりやすく

これも地の文と一緒で、見せたい映像を伝えるためにって感じですね。
蓮ノ空さんはテキストがメインのコンテンツだからか一人称がちゃんと分かれていて、一人称だけで誰が喋ってるのか分かるようになってるんですよね。
密かな蓮ノ空大好きポイントです。
まあ、梢と慈は私(わたくし)と私(わたし)で唯一ややこしい感じなんですが……。

一人称で分かりにくい分口調でカバー?

同じ言葉、表現を繰り返しすぎないように

これはどちらかというと読んでる時のリズム感の話です。
例えばここ。

 言葉を零してみても、当然返事はどこからも無い。目を少し瞑ってみれば、静けささえも音として聞こえてくる気がする。それがなんだか、落ち着かない。自分は元々こういった静謐を好む人間だったはず。それがこんなことを思うようになるなんて。

「静謐」となっている部分は、書き直す前は「静けさ」となっていました。
ただ、「静けさ」は直前で使っていたので、意図的にズラしました。
ほんと細かい話ではあるんですが、結構気にしてる部分ではあります。

ざっとこんなもんでしょうか。
あくまで私が気にしていることで、ここに気をつけなくちゃいけないというものでは無いので、皆さんのよろしいように。

【終わりに】

というわけで、概要程度ですが私の文字創作のイロハはこんなもんです。
書いてて思いましたけど、やっぱ難しいですね創作って。
正直コツなんてものはありません。反転空後と一緒。

でも、創作はスマブラとは違う点があります。
それは「初心者の作ったもんでも喜んでくれる誰かがいる」ってことです。

これは私が初めて世に出した二次創作です。
ちょっと読めば今回あげたサンプルと全然違うのがわかると思います。
こんな原稿の使い方みたいなところすら分かっていないトーシロの作品でも、今と変わらないくらい反応があったのを覚えています。
しかも書いたのは当時pixivに三件しか作品が無かったドマイナーカプのこずめぐ。
ラブライバーの方々の懐の深さには驚かされます、マジで。

そんなわけで、私はこんな自分語りがどこかの誰かが一歩踏み出すキッカケになってくれればいいなぁなんて思います。
ただ、私はどうにも喧嘩っぱやいので、もし同じ土俵で会ったその時には、誠心誠意心を込めて殴りかからせていただきます。
それでは、冗長な文が続きましたが、これにて。

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