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柑橘系精油の光毒性
①光毒性とは?
柑橘系精油を皮膚に塗布し、紫外線を浴びると、赤く腫れたり、色素沈着を起こす場合がある。このような性質を光毒性という。
特に、フロクマリンの一種であるベルガプテンは、柑橘系精油の光毒性の主な原因とされる。
ソラレン、キサントトキシン、イソピムピネリン等のフロクマリンも、光毒性のある物質として知られる。
疑問点?
リモネン酸化物が光毒性物質という話をネットで散見するが、これは本当だろうか? Pubmedで調べてみたが、そのような論文は一見見当たらなかった。誰か、詳しい人がいればコメントお願いします。
参考文献
精油中のフロクマリン類分析
②ベルガプテンを多く含む柑橘類
![](https://assets.st-note.com/img/1695244423589-EqEWfwSngC.png?width=1200)
精油中のフロクマリン類分析を引用し作成
国際香粧品香料協会(IFRA)の基準では、ベルガプテン濃度は、15 mg/kg以下であれば安全とされる。
③光毒性の症例報告
Pubmedで "Phototoxicity Citrus" のFree full textを検索すると20件の論文がヒットした。
![](https://assets.st-note.com/img/1695245773613-6xtWSGsCF4.jpg)
Phytophotodermatitisより引用
![](https://assets.st-note.com/img/1695245883172-1Hl04OMT9s.jpg)
Phytophotodermatitisより引用
上の2枚の写真は、レモンやライムの汁をかけたタコスを食べるときに、こぼした汁を体に塗りたくった方の症例報告。
![](https://assets.st-note.com/img/1695246491587-jjBxgK5Hwr.jpg?width=1200)
Challenging cause of bullous eruption of the hands in the Arcticより引用
上の写真は、別の症例報告。原因は、ライム果汁への曝露と、北極圏の白夜による長時間の日光曝露の組み合わせ。
参考
Phytophotodermatitis
Challenging cause of bullous eruption of the hands in the Arctic
④考察
IFRAによると、精油中のベルガプテン濃度が15 mg/kg以下であれば安全とされる。それに該当しないレモンやライムへの暴露でも光毒性が見られる。
上の症例の原因がベルガプテンでないとすると、ベルガプテン以外の光毒性物質によるものか、光毒性を受けやすい遺伝的、環境的な要因があるのではないかと思う。もちろん、ベルガプテンが原因の可能性もある。
トップ画はベルガモットの写真です。
![](https://assets.st-note.com/img/1695252097494-TuWOCNh6VL.jpg?width=1200)
⑤ヤードム使用上の注意
黄色 レモン × レモングラス
橙色 オレンジ × メイチャン
は光毒性を持つ潜在的な危険性があります。気になる方は、ヤードムを皮膚に付けないように使用してください。また、皮膚に付着した場合は洗ってください。
これら黄色と橙色のヤードムのベルガプテン濃度は、理論上15 mg/kg以下であり、安全と考えられます。
ヤードムを使った感想としては、鼻やその周辺の皮膚に、炎症・色素沈着が起こる様子はありません。しかし、全ての人に光毒性が起こらないとは約束できません。そのため、注意喚起となるような記事を書きました。