保冷剤で鬼になる
栄養でのアプローチ以外でも、
私は息子といろんなことをやってみたよ。
良かれと思った友人知人が
いろいろなことを教えてくれて、
私はとりあえず、
ちょっと怪しげなことも含め、
いろいろやってみた。
前の記事で書いた酵素も、
やってみたからわかったことが
あったからね。
うまくいっても、
うまくいかなくても、
それはどちらも貴重な経験。
やってみないと得られない経験。
◆筋肉が硬く、痛くなる
筋ジストロフィー(デュシェンヌ型)の子は、
筋肉を使うとその筋肉が熱〜く熱を持ち、
硬くなってしまうことがあるのね。
カチカチになって、
伸び縮みしなくなって、
まったく動かなくなってしまうの。
筋肉ってそもそも、
柔軟に伸びたり縮んだりしてくれるから
動くんだよね。
何気なく使っていると
伸び縮みしているなんてことに
気づきもしないけど。
健常の人が
例えば山登りでものすごく筋肉を使って、
次の日にイテテテって
筋肉痛が出ることがあるけど、
筋ジスの場合は、
それが翌日ではなく、
そのときなってしまうのが特徴の一つ。
一般的には大した運動ではなくてもね。
そういう時は
ホットタオルで優しく温めて
ほぐしてあげるといい、
と聞いていたんだけど、
息子の場合、
それはあんまり効果がなかったの。
その頃お世話になっていた鍼の先生が、
「だったら冷やしてみたらどうだろう」。
氷とかで、
硬くなっている筋肉の奥を狙って
ピンポイントで冷やしてみるのだと。
暑い夏なら気持ちいいかもしれないけど、
筋肉がそういう状態になってしまうのは、
季節を問わず。
寒い冬でもそうなってしまう。
私は、しばらく、
その案を実行してみることが
できなかった。
どうなるかわからなくて、
怖くかったから。
寒〜い冬の朝にバケツに張ってた氷▼▼▼
◆鬼になる
ある日、
幼稚園から帰ってきた
息子のふくらはぎが硬く、
熱くなっていて、
本人は「痛い、動けない」
と言っていたの。
こういう時、
なんとかしてあげたいと
誰しも思うよね。
ふと、私は
氷で冷やすというその案を思い出して、
冷凍庫から氷を出して、
ビニール袋に入れて、
息子の硬くなったふくらはぎに
当ててみた・・・
本人はどう反応したかというと。
・
・
・
もちろん、
嫌がったよ。
冷たーい!
やめてーー!
でもね、
心を鬼にして
息子の足を押さえつけて
(ひどいよね💦)
一分くらい続けたら、
カチカチだったふくらはぎに
変化が出たの。
ふにゃっと柔らかくなったの。
それは私の手にしっかりと
感触として伝わってきた。
氷を外したら、
息子が
「動ける〜〜〜!!」
って、うちの中を走り始めた。
氷がうまく当たると、
あっという間に
筋肉がふにゃりと柔らかくなるし、
いまいちだと
冷たいだけでなかなか柔らかくならなくて、
ブーイング。
何度も繰り返すうちに、
氷よりも保冷剤の方が
ゴツゴツがなくて痛くないことや、
保冷剤をどういう角度で、
どのくらいの深さを狙って当てるといいか、
不織布で包まれたものよりも
ビニール袋で包まれて
冷たさがストレートに伝わる保冷剤の方が
いいことなどがわかってきたの。
一気に冷やされることで、
体が
「まずい、まずい。
なんだかいきなり冷えてきたぞ。
血液を送らなきゃ」
と思って、
血液を送ってくれることで
炎症物質が流されていくのかなと
思っているけど、
本当のところはよくわからない。
息子と出かける時は
保冷剤を持っていくこともあったし、
コンビニで氷を買って冷やすこともあった。
叩くと冷える、
カイロの逆バージョンみたいのを
持って行ったこともあるけど、
これはいまいち冷えが足りなかった。
じわじわ冷やすのはうまくいかないの。
寒くなるだけ。
冷やすと楽になることがわかってはいても、
夏であっても、
急激に冷たくすることは
本人にとって嬉しいことではなくてね。
冷たさが痛さとして感じられるから、
「痛い、痛い」「やめて」
と言われながら冷やすのは、
実は私も辛かった。
決して平気ではなかった。
心を鬼にしてやってたよ。
毎回。
▼▼この鬼はちょっと可愛すぎるが
だってね、
試しに自分にやってみたら、
本当に冷たくて嫌なんだもん。
でも、
いったん硬く痛くなった息子の足は、
自然に楽になるのを待っても、
なかなかよくならない。
それなら、
ちょっとの間、辛くても、
早く気持ちよく楽に動けるように
したほうがいい、
と思って、
私は毎回鬼になったの。
そのうち、
息子は自分でもマスターして、
自分で保冷剤を当てるようになって、
私を保冷剤の鬼から解放してくれた。
冷たい保冷剤を自分に当てるなんて
すごい勇気だと心から尊敬する。
◆鬼になったらできたこと
筋ジストロフィーは進行性の病気なので、
息子の状態も変化していき、
使った筋肉が硬く痛くなることは
だんだんとなくなっていったけど、
あなたのお子さんが、
こういう状態の時、
よかったら一度、
保冷剤を持って鬼になってみて。
皮膚の表面を冷やすことが目的ではなく、
その奥にある筋肉の深部を
一気に冷やすことが目的。
そのためには、
勇気を持って鬼になって、
奥を狙って一気に冷やす。
あくまで私の個人的な経験なので、
医学的根拠はないです。
自己責任で、
よかったらお試しくださいね。
医学的に正しいかはわからないけど、
このやり方で、
息子とは
石見銀山を巡ったり、
平泉の金色堂まで登ったり、
いろんなところに出かけて
いろんな体験を
一緒にすることができたの。
小学校の先生方にお願いして
校外学習などにも、
保冷剤を持ち歩いていただいていた。
この方法がなかったら、
「歩くの大変だからやめようか」
になっちゃってたと思う。
病気だからって縮こまらないで、
その時にできること、いろんなことを
いっぱい楽しんでね。
そのついでに、
筋肉の貯金を作ってみてね。
そのためには
栄養もすごく大切だと思うよ。
健常のお子さん以上に
必要かもしれないよ。