貧血は隠れてていいわけではない
貧血のバロメーターといえばヘモグロビン、
と思うよね。
もちろん、
ヘモグロビンも大事だけど、
もう一つ重要な項目があってね。
それが【フェリチン】。
これ、ヘモグロビンと同じか、それ以上に重要!
ヘモグロビンの値が一般的な正常範囲であっても、
フェリチンが少なければ、
「隠れ貧血(潜在性鉄欠乏症)」の状態。
◆隠れ貧血も貧血
隠れ貧血でも貧血の症状は出るの。
□疲れやすい
□風邪をひきやすい
□便秘・下痢
□吐き気がする
□胸が苦しい
□手足が冷える
□神経過敏
□髪が抜けやすい
□アザが良くできる
□顔色が悪い
□肩こり、腰や背中の痛み
□むくむ
□食欲不振
□動悸、息切れ
□頭痛、頭重
□月経の異常
□注意力低下
□イライラ
□爪が薄い・弱い
□歯茎の出血
□湿疹ができやすい
□のどの不快感
□立ちくらみ、めまい、耳鳴り
ヘモグロビンの値が正常だからということで
こうした症状を別の病気によるものと
されることもある。
でも、
こうした症状の原因が貧血だったら、
貧血を改善しないと、
症状はなくならないじゃない?
自分に知識があると、
フェリチンを検査する病院を探すなど、
自分で対処できるから、
「隠れ貧血」というものを知っておいてね。
◆ヘモグロビンってなんだったっけ?
ヘモグロビンは、
【鉄を抱えたヘム】
+
【グロビンというタンパク質】
どこにあるかというと赤血球の中。
赤血球の中にヘモグロビンが詰まってるの。
血流に乗って体をぐるぐると回り、
ヘムの鉄に肺で酸素をひっつけては、
必要な組織に酸素を渡していく。
ヘモグロビンについては、
こちらでもう少し詳しく書いてます。
◆フェリチンって何?
フェリチンは、
球の形をしたタンパク質に鉄が包まれているもの。
(お、またタンパク質が登場!)
いきなりだけど、ここで、
日本が世界に誇る花火を思い浮かべてみてほしいの。
この花火の元の玉を尺玉っていうでしょ。
その尺玉を真っ二つに割ると、
外側を覆う外装(玉皮というそう)の中に
丸い火薬の玉が詰まっているよね。
玉皮の部分がタンパク質で、
中の火薬の玉一つ一つが鉄分子、
というのがフェリチンのイメージ。
ヘモグロビンとの違いはその目的で、
ヘモグロビンが酸素を運ぶのに対し、
フェリチンは鉄を貯蔵しておくためのもの。
フェリチンは全身にあるけれども、
特に、肝臓や脾臓、骨髄に多くあって、
そこから血液中に少し流れ出ているの。
これを血清フェリチンといって、
血液検査で測るのはこれ。
この値から、
からだ全体のフェリチンの量がわかる。
◆どうして貯蔵する必要があるの?
からだの中の大半の鉄は
酸素を運ぶために使われている。
実はそれ以外にも、
鉄には重要な役割があって、
それが、酵素に関わるオシゴト。
活性酸素を消す酵素や、
肝臓で薬物を代謝する酵素や、
エネルギーを作る時に関わる酵素の
材料になるし、
DNAを合成する時の酵素の活性化にも
一役買っている。
具体的にわたしたちに
どう役立ってくれているかというと、
活性酸素を消す酵素は、
例えば、
紫外線を受けたときの害を消す働きもある。
ということは、貧血があると
・
・
・
そう、
この酵素がじゅうぶんに作れなくて、
シミができやすくなる。
貧血は大敵でございますのよ。
肝臓で薬物を代謝する酵素は、
アルコールの代謝にも関わるの。
貧血のためにこの酵素が少ないと
・
・
・
そう、
薬の副作用が出やすくなったり、
アルコール中毒になりやすかったり。
女性のほうが短期間でアルコール依存症に
なりやすいのは、
貧血のために代謝がうまくいかないというのが
原因の一つかも。
(だからキッチンドリンカーは気をつけて)
そして、
中学校だか高校だかの生物の授業で、
ミトコンドリアっていうのが出てきたと思うの。
細胞の中にあって、
ATPというエネルギーを作ってくれるもの。
このATPを作る時に必要なのが、
鉄を含む酵素。
ということは、
この酵素がじゅうぶんにないと
・
・
・
そう、
エネルギーが不足して
疲れやすくなる!
甘いものが欲しくなる!
疲れやすいのは、
あなたのやる気がないからではなく、
鉄がないからっていう可能性はとっても高い!
あと、
女性に関係の深いところでは、
甲状腺ホルモンを作るのにも
鉄を持つ酵素が関わっているの。
ということは、鉄が足りないと
・
・
・
甲状腺ホルモンの合成や作用に
支障が出ることに。
私がケアさせていただいている40代の女性は
甲状腺の病気と貧血をお持ちだったの。
当初、
その方の血清フェリチンの値は一桁!
ちなみに、
血清フェリチンの目標値は100。
理想としては125以上。
数年かけて貧血改善のための栄養療法をやって、
お食事も気をつけられたところ、
甲状腺の薬を飲まなくても大丈夫になり、
そして、
なんと、
担当医師からこの言葉が。
「自然寛解と言ってもいいくらいです!
これは報告ものです!」
この女性は、
心臓がバクバクしたり、
歩く地面がふわふわしているように
感じたりすることがなくなったそう。
この他にも、
コラーゲンの材料になったりなど、
鉄はからだにとって不可欠。
だから、
必要な時に使えるように、
鉄をタンパクで包んで安全な状態で
貯蔵してあるのがフェリチン
(侵入してきた細菌に鉄を奪われないように、
という意味もあるらしい)。
◆どうしてフェリチンから減るのか
フェリチンは、
銀行に入れてある預金みたいなもの。
日常生活では、
日々の食べるものや
毎月のローンとかの支払いのために、
預金から払い出していくよね。
日常生活(=ヘモグロビン)を維持するために、
預金(=フェリチン)を使う。
追加の入金がなければ、
預金(=フェリチン)はどんどん減っていく。
こんな感じでフェリチンから減っていくの。
これが隠れ貧血の状態。
でね、
残高が減ってきて入金の予定がないと、
内心どきどきしてくる(苦笑)。
ヘモグロビンの値がある程度あっても、
フェリチンが減ってきている状態で
貧血と同じ症状がでるのは、
この【内心どきどき】と似ているのではないかと
私は思うの(笑)。
からだは
貯金の鉄が減ってることがわかっていて、
「このままだと鉄欠乏が進んじゃうよ、
酸欠になっちゃうよ、
補給して!」
と教えてくれているんじゃないかな。
でも、
ヘモグロビンの値が
そこそこ(12とか13とか)あれば、
一般的には貧血とは診断されないので、
その原因を、
『根性がないから』とか、
『頑張りが足りないから』とか、
『軽いうつだ』とか、
されることがあるの。
ここで、
この状態に必要なものは薬や根性ではなく、
もしかしたら
鉄、つまり酸素かもしれない
って思ってほしいの。
放っておくと、
預金残高は減り続け、
隠れ貧血は進行し、
ヘモグロビンも減り始める。
赤血球の寿命は120日で、
どんどん壊れていくというのに、
鉄がないと新たに作れないからね。
ここで危ないのは、
からだは辛い状態が続くと
無感覚になりがちだということ。
麻痺してしまうの。
でも、
鉄不足はどんどん深刻になり、
体の中は酸欠になり、
鉄を必要とする代謝が行えなくて、
鉄が必要なコラーゲンは作られず、
骨が弱くなり、
シワが増え、
シミが増え、
イライラや不安が増し、
すぐに風邪を引く、
からだが動かない、
その他諸々、
の状態に。
だから、
隠れ貧血を隠れさせておいてはいけない!
鉄欠乏貧血は、
原因を見極めて適切な対処をすれば
ちゃんと改善するの。
フェリチンが一桁だった方でも、
「すごい、こんなに良くなるんですね」
「いろんなことの原因が貧血だったんだって実感しました」
女性は、
更年期の症状だろうと思って
放っておいてしまうこともあるけど、
貧血があるとその症状が強くなることもあるの。
あなたのフェリチンをチェックして!!
自分のからだの状態を自分で知っておこう!
ひとのからだはいつでも変われるよ。
ただ一つ、
フェリチンはからだの中に炎症があっても
高い値になることがあるから、
高いからといって安心はできないの。
つねに、
他の検査項目と
総合的に考え合わせることが大事!
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