赤血球ができるには栄養が必要・その4
赤血球の種から前赤芽球→赤芽球→網状赤血球→赤血球へと成長していく過程で、数を増やすために葉酸とビタミンB12が必要だという話から先に進もう!
数を増やすことのほかに、もう一つ、
ヘモグロビンをたくさん持つことも重要だと書きました。
今回のテーマは、そのヘモグロビンをたくさん持つためにはどんな栄養が必要か、です。
この過程ね🔽
それには、まず、ヘモグロビンって何かを知っておかなくちゃね。
◆ヘモグロビンってなに?
ヘモグロビンは、【ヘム】と【グロビン】が合わさったもの。
まず、聞きなれない【グロビン】というのは、タンパク質でできた螺旋状の物質で、これがさらにくしゃくしゃっと丸まっています。
そうだな〜、スチールウールのたわしみたいな感じ。
ただし、ただ無秩序に丸まっているのではなく、決まったところで折れ曲がっていて、とても礼儀正しい感じ( ̄^ ̄)ゞ
そして、
【ヘム】とは、【ポルフィリン】と【鉄】がくっついたもの。
ここで、さらに聞きなれない【ポルフィリン】というものが出てきたけど、ここではただ、浮き輪のような形をした物質だと思ってね。
【ポルフィリン】の真ん中に【鉄】がはまって、【ヘム】の出来上がり。
イメージとしては、浮き輪にビーチボールがスポッとはまって抜けない状態を思い浮かべてね。
ちなみに、鉄の代わりにマグネシウムがはまったものが、クロロフィルなんだそう。そう、植物が光合成で必要なあれです。
こういう構造は、ひとや植物だけでなく、たくさんの生物に共通しているのだそうで、なんだか感動・・・♡
ここでまとめておこう。
【ヘモグロビン】とは、スチールウールたわしのような【グロビン】の隙間に、浮き輪にビーチボールがはまったような【ヘム】が結合したもの。
【ヘモグロビン】=【グロビン】+(【鉄】+【ポルフィリン】)
あくまでもイメージ...
ひとのヘモグロビンは、これが4つ集まってひとかたまりになっている。
この4つというのが酸素の受け渡しに絶妙なんだって!
そうそう、ヘモグロビンは細菌の時代から持っているそう。赤血球が登場するのはずっと後の時代だそうな。
◆ヘモグロビンを作るための栄養
ここで本題。
このヘモグロビンを作るために必要な栄養って何だろう⁈
まず、
【グロビン】は《タンパク質》でできていると書きました。
口から食べたタンパク質がアミノ酸に分解され、それが適切に並べ替えられてグロビンが作られるの。(タンパク質は、アミノ酸がたくさん連なったもの)
だから、《タンパク質》を十分に食べることが本当に大事!
それから【ポルフィリン】はなにでできているかというと・・・
浮き輪のような形をした物質と書いたけど、この浮き輪は、グリシンというアミノ酸などを原材料に、いくつもの段階を経て合成されるもの。
まず、グリシンはアミノ酸なので、《タンパク質》が必要!(繰り返そう。タンパク質とは、アミノ酸がたくさん連なったものだよ。)
そして、合成の最初の段階で必要なのが《ビタミンB6》。
これが、浮き輪の製造工程のスイッチを押すの。
さらに、このあとの段階で必要なのが《亜鉛》。
製造工程で「触媒」の働きをする亜鉛が足りないと、浮き輪が作れず、たとえ《鉄》があっても【ヘム】が作れないという事態に。
これが亜鉛欠乏性貧血。
鉄欠乏性貧血の症状が重いひとほど、亜鉛欠乏の程度がひどいという報告も多い。
ちなみに、鉛は体に有害とされているけど、それは、鉛がこの段階で亜鉛の邪魔をすることで浮き輪製造がうまくいかず、貧血になるから。
そして《鉄》。
画竜点睛のごとく、《鉄》が浮き輪に入ってようやくひとのヘムが完成\(^o^)/
この鉄に酸素が結合して運ばれるのです!!
これがヘモグロビンのお仕事!
鉄はひとの体の中では合成できない。
だから、体内でのリサイクルでは足りない場合、口から取り入れる必要あり!!
特に、女性の場合、鉄は毎月からだの外に出て行くのが宿命。
だから口から補う必要があることをしっかり認識してね。
ところで、この《鉄》にはトラックが必要。
《鉄》は錆びやすいよね。
酸素を運んでくれるとても大事なものであると同時に、錆びやすいために活性酸素ができて体にダメージを与えてしまう危険物でもあるので、トラックに乗せて錆びないよう安全な状態で運ぶのです。
このトラックの行き先が、赤芽球が作られる骨髄。
骨髄の中の赤芽球に《鉄》が取り込まれて、浮き輪にはまる。
このトラックがなにでできているかというと・・・
《タンパク質》!
ほら、また《タンパク質》が出てきた!
《タンパク質》ってホントにたくさん必要なんだなって思えてきたでしょ。
このトラックに乗るにはチケットが必要で、ここで《銅》が登場。
《銅》がそのチケットを《鉄》に渡すのです。
だから、《鉄》がいくらたくさんあっても、《銅》がないと、《鉄》は骨髄まで辿り着けない→ヘムができない→ヘモグロビンも作られない、ということになるわけ。
銅欠乏性貧血という言葉もあるくらい大切な栄養。
ここでまとめておこう。
ヘモグロビンを作るために必要な栄養は、
《タンパク質》《ビタミンB6》《亜鉛》《鉄》《銅》
◆栄養が足りないとどうなる?
食べたものがからだを作るということを、つい忘れがちだけど、これらの栄養のうち、どれが不足しても、ヘモグロビンがじゅうぶんに作れない。
ということは、貧血、つまり酸欠の状態になる可能性があるということ。
貧血というと鉄不足と考えがちだけど、上で書いたように、亜鉛が足りなくて起こる亜鉛欠乏性貧血もあるし、銅が足りなくて起こる銅欠乏性貧血もある。
そから、鉄はわりとあるのにタンパク質が不足することで貧血の状態になるケースがあるの。
そういうケースの場合、血液検査をすると、貯蔵鉄(フェリチン、つまり《鉄》)はたくさんあるけど、タンパク質が足りなくて【グロビン】や【ヘム】が十分に作れないために、《鉄》が貯蔵されたままになっていて、ヘモグロビン(Hb)の値が低くなっていたりする。
こういう場合は、ヘモグロビンの値が低いからって、やみくもに鉄を入れてもヘモグロビンの値は上がらないから、いろんな項目を考慮することは大事。
ヘモグロビンが少ししか作れないと、赤血球の中のヘモグロビンの数が少なくて、小さな赤血球になることも。
だから、赤血球の大きさも、からだの栄養状態を知る大切な情報。
◆不快な症状がある=改善の余地あり
どの栄養が足りなくなるか、それは人によって違うの。
食生活によっても変わるし、
ストレスの度合いや種類によっても変わるし、
性格でも栄養の使われ具合が変わるし、
消化吸収能力によっても変わるし。
同じ家族で、同じ食事をしていても、必要なものや、必要な量が違うことはざら。
まさに千差万別。
それから、栄養所要量と必要量は違うからね!
所要量を食べているからといって、足りてるとは限らない。
血液はからだの状態をそのまま映し出すので、分子栄養学の詳しい血液検査は自分のからだの状態を知るにはとっても役立ちます!
不足しているものがわかったら、それを補給することでからだの機能が整って、不快な症状が減って、自然治癒力も上がるよ。
網状赤血球から後の過程についても、とーーってもおもしろいので(笑)、また次の記事で〜ヽ(´▽`)/
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