赤血球の捨て身のワザ
赤血球ができるには栄養が必要なんだよ、
あなたが食べるもので赤血球はできるんだよ、
ということを、4つの記事に分けて書きました。
栄養を使って、
赤芽球の段階までに、
血球とヘモグロビンの数を増やしたら、
いよいよ、
網状赤血球を経て、ようやく成熟した赤血球へ。
さて、
赤血球のお仕事ってなんだったっけ??
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そう、酸素と二酸化炭素の運搬・受け渡し。
これをからだの隅々までやらなくてはならない。
行けないところがあると、
そこの細胞は酸素をもらえなくて死んでしまう。
からだの中をくまなく巡るために
赤血球がやることは2つあるの。
これを知ったときに、私は、
「ひゃあ〜、すごい〜!!」
って驚いたので、
あなたにも一緒に驚いてほしい♡
◆まず小さくなること
細〜い細〜い毛細血管を通っていけるように、
赤血球はほどよく小さくなくてはなりませぬ。
ふつう成熟とか成長とかいうと、
より大きくなるように思うけど、
赤血球はその逆。
この図では、
少しずつ血球が小さくなっているの、わかるかな。
これ、描き間違いではないのよ。
網状赤血球になるまでは、
分裂することで小さくなっていくの。
ほどよい小ささになるよう、
ちょうどよい回数だけ分裂するんだろうね。
◆もう一つは「脱核」
図の前赤芽球と赤芽球には、
内側に濃い赤い丸があるよね。
これは「核」。(のつもり)
生物の授業で、細胞には核があるって習ったよね。
この核が、網状赤血球や赤血球にはないでしょ。
これが捨て身の離れわざ!
赤芽球は最後の段階で、
自分が持っている核を切り離して網状赤血球になるの。
これが「脱核」。
核がないから、これを細胞と言えるのかっていう議論もあったりします。
◆脱核はなんのため?
赤血球のお仕事は?
そう、酸素と二酸化炭素の受け渡しだよね。
そのためには何が必要?
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そう、ヘモグロビン!
だからヘモグロビンをめいっぱい積みたい。
これまでに分裂することで血球の数は充分に増えたから、
もう核は不要。
酸素と二酸化炭素の受け渡しに関係のない
核を捨てれば、
もう少しヘモグロビンを積めるじゃん。
よし、捨てよう!!
このいさぎのよさに私は驚いたよ〜!
見習いたい。
核を捨ててから、最後にもう一踏ん張り!
ミトコンドリアなどの残してある部分を使って、
ヘモグロビンを作り足して、満杯にするの。
(栄養不足などでヘモグロビンが充分に作れてない
血球は小さめ。
これも血液検査でわかる)
◆脱核はどうやって?
でね、この脱核の方法がおもしろいの〜!
まず、
核は赤芽球の中でだんだんと端っこの方に移動。
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ここであんぱんを思い浮かべてみてね。
どんなあんぱんかと言うと、
あんこが少なくて、
しかも端っこに偏って入っている、
ちょっと残念なあんぱん。
このあんぱんを二人で分けようとしてちぎると、
あらら、
一つにはあんこが入っているのに、
もう一つにはあんこが入ってない、
っていう由々しき事態が発生!!
こんな感じのことが赤芽球の最後の段階で起こるの。
核が入っている細胞と、
入ってない細胞に分裂する感じ。
不完全な細胞分裂だという見方もあり。
ふつうなら、
核が入っている方が重要そうに思えるけど、
赤血球は発想が斜め上をいってる。
核が入っていない部分が重要で、
網状赤血球として生き残るのはこっち。
ちなみに、
あんこ、もとい、核が入っている部分は、
マクロファージさんが取り込んで、分解処理。
マクロファージさんは、実はそれまでずっと、
いくつかの赤芽球を自身にひっつけて、
鉄を補給したりして育ててくれてます。
最後に、
切り捨てられた核のお掃除までしてくれるの。
◆網状赤血球はさらに捨てる
ヘモグロビンをめいっぱい積んだ網状赤血球は、
満を辞して骨髄から血液へと出ていくの。
分子栄養学の血液検査で調べる網状赤血球は、これ。
血中の網状赤血球が少なすぎると、
血球が栄養不足などのために作れていない
ということが推察され、
多すぎると、
赤血球をどんどん作れという指令が出されている
=赤血球が出血などで失われているとか、
赤血球が弱くて壊れて数が少ないとかが
推察される。
だから、これもからだの状態を知る重要な情報!
骨髄から血液に出てから1〜2日くらいで、
この網状赤血球から、
残りの不要な部分(ミトコンドリアやリボソーム、
小胞体、ゴルジ体とか)が抜け出て、
ここで晴れて成熟した赤血球に。
この上なくいさぎよくて、
研ぎ澄まされた仕組みでしょ!!!
◆成熟した赤血球の形には意味があった
核もミトコンドリアなどの細胞内小器官とかも
持たないので、
成熟した赤血球は、
両面の中央が少し凹んでいるのね。
この凹みが、赤血球には重要な性質。
どうしてかというと、
凹んでいると折り曲がりやすいんだよね。
まん丸だと無理。
折り曲がることで、
細〜い細〜い毛細血管を通り抜けて、
からだの隅々で酸素と二酸化炭素の受け渡しが
できるようになっているわけ。
ということで、
あなたにも、
赤血球のしくみに感動してもらえたら
嬉しい♡
赤血球は、
折れ曲がったり、戻ったりを繰り返しながら、
からだをくまなく巡るのだけど、
その寿命は120日くらい。
そう、約4ヶ月。
これくらいで赤血球は入れ替わっているの。
分子栄養学では、
からだの状態に合わせた栄養の補給を
4ヶ月くらいやってから、
再検査をして、
血液の状態や体調の変化をみることを提案してて、
それはこのため。
そういえばイライラが減ってる、とか、
あ、傷の治りが早くなってる、とか、
以前の写真と比べてみたら顔色がいいじゃん、とか、
眠れるようになってきた、とか、
そんな変化があるかもしれないので、
観察してみてね。
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