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VNと物思い① 物語のテーマを覗く時、テーマもまたこちらを…
テーマは○○
批評空間でノベルゲームの感想を読んでいると、「テーマは○○」とずばっと書く人がいる。
ただ単に面白かったと書くよりも、この人分かってるんだなと見えるし、自分のような「分かっていない」人間からすると、こういうのが書ける人ってすごいと感心してしまう。
でも、テーマが何かをわざわざ説明している人ってあまりいないように思う。書いてる人にとっては当たり前すぎることなのかも知れない。
人によってこの言葉が意味するものは、まちまちに感じる。
目立って使われる考え方や概念だったり、
コンセプトやキーワードに思えたり。
テーマは主題のことだという主張もあったけど、そもそも主題が何かが分からない。
物語に登場する特定の思想や哲学に焦点を当てるケースもある。
どれも正しいのだと思うし間違ってないのだろうけど、それってノベルゲームの面白さとどこまで深く結びついているんだろうか…?
ゲームをつくる要素の一つであって言うほど大事じゃないような、とモヤモヤしていた。
一つの答え
このモヤモヤに一つの明快な答えを与えてくれたのが、次のサイト。
物語の才能
https://monosai.com/
なぜ物語は面白いのか、その観点から「テーマ」を説明していて目から鱗だった。
※ライターを目指す方向けの情報を発信していて、作り手側目線の話になります。純粋に楽しむ側にいたい人やバイアスを入れたくない人は閲覧を控えた方がいいかもしれません。
※主に映画を中心に作例が出てきます。説明はわかりやすいのですがネタバレがあるのでご注意ください。
題材やメッセージとの違いについても説明している。
この辺りは確かに人によって意味を混同していそうだから、これを読んで以降テーマという言葉を感想で使うことを避けるようになった。このサイトで言われている意味での「テーマ」について書きたいときは、表現を工夫している。
ちなみに物語はメッセージを伝えるのが苦手、作り手のメッセージを伝えたないならドキュメンタリーの方がずっと適しているという話も出てくる。
なので、メッセージ性という言葉も使いにくい。ただし、受け手として何か新しい考え方を作品からインストールしたような心地になることはあるので、感想に使う分にはそこまで気にすることはないのかもしれない。
このサイトの考え方は、感想を書く上で役に立ってる。
物語の内容にもよるがフレームワークのように使うことで、なぜ感動するのか、なぜ面白く感じるのかを、このサイトで言うテーマが効いているという見方で整理することができるから。おかげでこのサイトと出会う前に比べてずっと言語化しやすくなった。
さらに、自分にとって一番大きかったのは、オーソドックスな物語の面白さとして捉えることができる点。
このサイトの考え方が唯一絶対ではないと思うし、だからあえてずらしているであろう作品だったり、少し外れた面白さに目を向けるキッカケになった。
例えば、自分はサマポケのメイン√が大好きなのだけど、これはあるキャラの個別√がオーソドックスな面白さの話になっているのに対して、あえて違う話の作りにしているように感じられる部分が大きい。この少しずらした物語は分かりにくいという感想もあるけど、でもあえてそうした話にすることで、「表現したいもの」にあくまで忠実にしていると感じるし、自分が想像していたような分かりやすいテーマ(目に見えない人生そのものの中でもよく物語で見かけるイメージのあるもの)とは異なるモノを扱っているように感じた。
※念のため断っておくと、ほかの多くの作品同様、作中で何がテーマかが語られることはないので、あくまで個人がそう感じたという話です。
付け加えると、主人公の秘めた思いや、感情移入についての説明も説得力がある。
とくに、感情移入はキャラへの共感のことではない、という話は自分も勘違いしていたことであり新鮮だった。当然これらの考え方も感想を整理するうえで、とても助かっている。
今回の話は枝葉です
というわけで、単にここが面白かった、あそこが良かった、という感想から一歩踏み込んで何で面白いのかを言語化する際に役に立つかもしれない考え方がある、という話でした。
自分はノベルゲームの感想を書く人がどういう見方や考え方をしているのか、ということに興味があるのですが、この視点で書かれた記事をあまり見つけられなかったので自分で書いてみることにしました。
もし異なる視点や考え方を持ってる方がいたら、コメントで教えてもらえると、とてもとても嬉しいです。
最初はとっつきやすさからテーマの話から始めましたが、むしろ今回の話は枝葉です。それまでとは作品の見方が根本から変わってしまうような、もっとずっと影響を受けた書籍やサイトがあるので、別記事にして書きたいと思います。
続きはこちら。