全国学校非正規職労働組合が12月にゼネラルストライキを決行することを発表
韓国の学校関係非正規労働者の組合である、全国学校非正規職労働組合(略称:学非労組)が今年12月、学校非正規職法制化と賃金体系改編などを求め、ゼネラルストライキを決行することを発表しました。
学非労組は、その名のとおり学校関係労働に従事する非正規労働者の組合で、韓国全国で約6万人の組合員が在籍しています(*1)。
学非労組は、学校非正規職連帯会議(公共運輸労組教育公務職本部·女性労組·学校非正規職労組で構成。略称:学非連帯会議)を通じて毎年夏頃から次年度の賃金団体交渉を始めていますが、今年の賃金団体交渉は6月頃から始まり、9月5日現在で1回の本交渉と4回の実務交渉が行われたとのことです。
ここ数年の学非労組の賃金交渉では、賃金体系の改変が核心争点となっているようです。
韓国では、学校関係非正規労働者の賃金の低さが、問題視されています。韓国では、学校関係非正規労働者の基本給は概ね2つの類型(*2)に分けられていますが、このうち、教員代替職種ではないⅡ類型に属する労働者のうち、非正規公務員である労働者らの最低賃金は、2022年度から最低賃金を下回ってしまっています。
また、学校関係非正規労働者らは、各自治体の教育監(日本でいう教育長)が使用者となっていますが(*3)、給食·教務行政·施設管理など、学校非正規職は職種と職務などが法制化されておらず、労働条件がバラバラであるため、各自治体の教育庁(日本でいう教育委員会)ごとに賃金体系が異なり、地域間の賃金格差が問題となっています。
学校非正規職労働者の賃金水準は正規職労働者対比60~70%水準に留まっており、勤続が長いほど正規職対比賃金格差はより一層広がります。基本給のみならず、賞与や秋夕(チュソク:旧暦に由来する秋季休暇)休暇手当などについても、正規労働者は勤続年数が金額に反映されるのに対し、非正規労働者は勤続年数が反映されず、毎年定額しかもらえないということも少なくないようです。
昨年の団体交渉は2023年9月から翌2024年4月末日まで、半年以上の長期間に及び、韓国史上初の新学期ストライキが決行されるなど、激しいものとなりました。学費連帯会議はこのような賃金体系を単一で合理的な賃金体系に変えるために本格協議を要求、「賃金体系改編労使協議体」を構成して統一的な賃金体系を作るための準備を始めることを提案したのに対し、使用者側が、「継続協議」以外の返事をしなかったためです。
結局、昨年の団体交渉では賃金体系の統一に向けた第一歩が踏み出されることはなく、議論は今年の団体交渉に持ち越しとなりました。
そして、まさに現在係属中の今年の団体交渉においても、賃金体系の統一が核心議題となっているのです。
学非労組は、2024年9月7日に臨時大会を招集し、今年こそは賃金体系の統一のための第一歩を勝ち取るため、12月にストライキを決行することを決議しました(*4)。
*1 統計上、韓国の学校関係非正規労働者は約90万人の学校教職員のうち41%を占め、その総数は約36万人とされている。また、36万人中約17万人は公立学校で働く非正規公務員である(出典:https://www.hakbi.org/about/labors)。
*2 「Ⅰ類型」には教員代替職種(保育専担士、司書、専門相談士など)が属し、「Ⅱ類型」には給食室労働者、教務実務士、科学実務士などが属する。なお、英会話専門講師、初等学校スポーツ講師などの講師職群と、美化、当直などの特殊運営職群に従事する労働者は「類型外」に分類される。
*3 2014年以前は、学校関係非正規労働者の使用者は各学校長とされていたが、同年2月13日に出された大法院判決(2013ドゥ22666等)で、学校関係非正規労働者の使用者は教育監であるとされた(https://www.hakbi.org/board/legal_library/read/2965)。
*4 https://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=223600