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永平寺の3泊4日参禅合宿 忘日録

写真は、5年ぐらい前に永平寺を訪れた時のもの。まさか、また永平寺に来て、3泊4日の合宿をしようとはおもわなかった。

3年前、2週間くらい山口の知り合いの禅寺に泊まり込んで、本堂に新聞紙めっちゃしいて観音像の目の前で油絵を描きながら、鴨居のとこに私の絵をずらーっと並べて展覧会しました。至福の日々。

今東京に住んどるんやけど、ああまた寺に泊まりたい、と思って、禅寺がええなあ、あ永平寺って泊まれるんや!ということで、この3泊4日の参禅合宿の事を知って、参加を決め込んだわけです。

最初電話した時、今3人空いてますが、できたら急いで申し込んでください、といわれたので、そんなに人気!?と思って、じゃあ行きます、とその日のうちに決めちゃいまして、「座禅って大変かなあ」と悩む暇もなかった。

前に寺におったときも、ちっこいスーツケースに荷物詰めていって十分過ごせたので今回もリュック一つで行きました。
必要だったもの。洗面用具。入浴用具。タオル。保険証の写し。参加費。申し込んだ後で送られてくる受付票みたいなの。筆記用具。下着。作務ができる地味な服。白い靴下。ドライヤー。

福井県はまえは恐竜博物館みて、永平寺みて、おろしそばを食べた。今回は、永平寺直行。福井駅東口から、バスがでている。バスの切符入り場のおじさんの方言が、NHK朝ドラの名作「ちりとてちん」の登場人物と一緒やった。感激。そうか、あれ福井の鯖江の話やった。塗り箸。焼き鯖。

バスで走っている途中で、武家屋敷の復原(元じゃなくて、原なん。もともとそこにあったものを使って、再現しとるんやって。よそから瓦一つもってきてません、ってアナウンスしよった)風景があった。あそこ寄りたかったなあ。めちゃ雰囲気良かった。でも時間ないから、永平寺直行。
朝の6時に調布を出て、福井駅ついたんが11時で、バスが11時20分発の門前12時着で、永平寺の受付集合時間が13時。失敗も寄り道も許されん。

久々の永平寺は緑の葉っぱに包まれて、とにかく青く、青海苔のおはぎのよう。山深い。うっとりする間もなく、緊張しながら門をくぐって、受付。係りの人も慣れたもんです。役場みたいやな。


1日目
13時集合
13時40分くらいから応量器(精進料理食べるときの食器)の説明、座禅の説明、化粧道具とか携帯電話の回収、簡単な自己紹介。
17時から薬石(夕飯)。大根と厚揚げの煮つけ、ごはん、味噌汁。にんじんのカレー風味のきんぴら。すごく美味しい。
18時から18時40分までお風呂。ばたばた。
19時10分から夜坐(40分×2)
21時消灯


自由時間なく常にそそくさと忙しい。そして常にスリッパの音たてんと静かに動けといわれる。まさにこれは、学生時代の合宿とおなじ。そして、座禅は…そういえばわたしじっとしているのむっちゃ苦手だった。足はしびれません。ただ、足首がもげそうなだけ。
明日の朝は、3時50分起床ときいて、みんな速攻で寝る。


2日目
3時50分起床
4時20分から朝坐(40分×1)
5時20分から朝のお努め。本堂に僧侶と雲水が集合して、みんなでお経をあげます。楽しい。お経ついていけないけど必死で読む。
6時くらいに僧堂で朝の挨拶。3拝。
6時20分くらいかな。小食(朝食)。おかゆとお漬物。すごく美味しい。
7時10分から作務。僧堂と控室と東司(お手洗い)掃除。
そのあとストレッチと坐禅講話。
合間で、歯を磨いたり着替えたりお手洗いいったりお茶飲んだり、控室で倒れこんだり、もうずっと動いてる。
11時15分中食(昼食)。
じゃがいもとかぼちゃのコロッケ。とうもろこしとにんじんの澄まし汁。つけもの。にんじんの炊き込みごはん。すごく美味しい。コロッケ、食べるの遅くて、あせった。


食事は、しゃべらない。みんな同時に食べ終える。というルールがあるので、もうやばいやばい私最後や!と一気食い。シーンとした僧堂のなかで、音を立てずに、早く食べるってプレッシャー以外なにもない。隣のおばちゃんが、わたしに合わせて一人、最後のご飯を一口残してくれてて、ほんまにうれしかった。


13時から坐禅。(40分×2)足首もげまくりです。
15時食作法の講和。
16時45分薬石(夕食)。ごはん。味噌汁。漬物。ポテトサラダ。大根と糸昆布とにんじんの煮つけ。すごく美味しい。
18時から18時40分まで入浴。ちなみに入浴中も無言です。
19時10分から夜坐。(40分×2)
21時消灯。
ちなみに、ご飯食べてる間はずっと坐禅です。あああ足が足がああ。


3日目
3時50分起床
4時20分朝坐(40分×1)
5時10分朝のお努め。今日はながかった。ねむかった。
帰ってきてから、朝の挨拶、で。小食。おかゆと漬物。ああ美味しい。
7時半から作務。
8時50分から坐禅(40分×3)
3連続…


わたしはわかりました。坐禅の痛みとの付き合い方。「あきらめる」。これです。時間が流れるのだけが救いです。あとは、もがけばもがくほど、どんどん痛みがこじれたり、他のとこが痛くなってきたりして悪化するだけなので、もうあきらめて、時間が経つのを痛いとおもいながら待つだけ。

11時20分中食。大根と人参の煮つけ。味噌汁。漬物。雑穀ご飯。やっぱり美味しい。もう応量器の使い方も作法も慣れてきた。楽しい。

午後は、座りません。と雲水さんが優しく笑って言ってくれた。我々は、静かにどよめいて喜んだ。

13時から講内の見物。雲水さんたちが案内してくれる。シュールなネタも色々。面白かった。なにより自由時間を満喫。はー空気がおいしい。
15時より、茶話会。お菓子とお茶をいただきながら、僧侶のかたとお話しする機会をもらいました。みんなのここにくる動機とかも聞いてた。でも、僧侶の「坐禅によって何かを得られることはなく、坐禅するのは坐禅するためだけであって、何か理由や目的があるのではない」という思いが伝わってきた。時間の流れに集中しろってこと。私もそう思うよ。
自分の人生に積み重なっていく時間って、我を忘れた時間だけだと思う。不思議やねえ。
お菓子みんなで食べるの、うれしかった。

「今夜は、ほかに参篭のお客様がいて、懐石を食べるので、みなさんもそれを召し上がっていただけます、椅子に座って食べられます」
(しずかに)「いえーーーーい」
16時半から精進懐石料理をいただく。がんもどきの含め煮。なすの揚げ煮。味噌汁。つけもの。酢の物。にんじんの炊き込みご飯。美味しい。でもやっぱり応量器使う方が楽しい。
17時半からこのまえNHKで放送されたっていう、永平寺のドキュメンタリーを見せてくれた。塩昆布の揚げたおやつを食べながら。もぐもぐ。めっちゃ演出がおおげさに作ってあるな。でも、自分たちがこんな立派な寺で修行体験させてもらえるんはありがたいことなんだなあ、と思った。
18時半から19時10分まで入浴。無言。
19時半から夜坐(40分×2回)なんとかやりきった。
21時消灯。

この日は生理になって、おおあわて。みんなに助けてもらいながらなんとか乗り切った。みんなほんまにありがとう。


4日目
最後なんて信じられない。早い。昨日3日目?あれ?2日目はなにしたっけ?状態。
3時50分起床
4時20分朝坐(40分×1)真っ暗な障子の向こうが、気づいたら、濃紺になった雰囲気があって、夜が明けていくのが分かる。
5時10分朝のお努め
6時20分くらいから小食。おかゆと漬物。ああ。美味しい、もう食べられないなんて。
7時半から8時15分くらいまで作務。
9時から感想文書く。
終わり。

修行に身を投じて毎日毎日、他に目を向けずに永平寺の生活を淡々と続けている雲水さんたち。これ、いつまで続くんかな、、なんて思ってたら絶対嫌になる。やから、いつも今の時間に集中して自分の仕事をやっていけるんかな。みんな穏やかで楽しそうだった。

あきらめる、っていう考え方を思い知ったことが、自分の生活を見直す良いきっかけになりました。ううーーん参加してよかった。

たのしかったぞい


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ひさよし
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