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グラスゴーのモビリティハブのポップアップ実証

case|事例

グラスゴーで、10月末からモビリティハブのポップアップを一時的に設置し、市民への受容性などを検証する実証実験が行われた。実証はシェアモビリティの普及活動を行うCollaborative Mobility UK(CoMoUK)が中心となって行われた。

今回の実証では、路上の駐車区画1.5台分を転用してモビリティハブを創出し、Nextbikeが運営するシェアバイクのステーションをはじめ、植栽のあるベンチや工具・空気入れを備えた自転車修理スタンド、地域活動用スペースなどの機能などが設置された。また実証開始以来、ガイド付きのウォークツアーや自転車ツアー、初心者向けの自転車メンテナンス講座、自転車の整備状態の診断サービス、子供向けの自転車教室などが無料で提供された。さらに、市民の利用を促進するために、近隣住民には10ポンド相当(約2,000円)のシェアバイクのクーポンも配布された。すでに実証を終え、もとの駐車場区画に戻されているが、7週間足らずの実証期間中に、シェアバイクは150回以上利用され、住民にも好評だった。

CoMoUKやグラスゴー市議らは、「視認しやすく安全でアクセスしやすい空間を創出することが、自動車依存を減らすために必要な介入策である。自転車をはじめとするアクティブトラベルと公共交通がシームレスで接続し、利便性が高い環境が自動車依存を減らす。」と総括している。

一般に、モビリティハブは、幅広い移動の選択肢とコミュニティサービスが1つの場所で提供される魅力的な拠点と定義される。モビリティハブの設置によって、自動車を使わずに移動をしやすくすることが狙い。また、ハブは戦略的に主要な移動経路に配置され、自転車や電動キックボードのシェアサービス、カーシェアサービスなどと公共交通をシームレスに接続させる。モビリティハブの概念は、すでにヨーロッパや北米の多くの都市で導入されているが、英国内でも次第に導入事例が増えてきている。

insight|知見

  • グラスゴーのように政策的にモビリティハブの設置を進めるためには自治体の介入が欠かせないように思います。完全に交通サービスが民間事業として経営されている日本では、短距離を中心に公共交通とシェアサービスが顧客を取り合ってしまうので、民間のみの協働ではなかなか実現が難しいのではないかと記事を読んで思いました。

  • 日本においては、地域公共交通会議などの協議の仕組みやハコは用意されていますが、サービスの接続や需給の調整などを実務レベルで行うための仕組みはまだ十分ではないように思います。総合交通体系の絵を描くだけでなく、その実現に向けた実務的な仕組みを余裕のあるうちに考えないといけませんね。