エジンバラは社会包摂に主眼を置いたスマートシティ戦略を策定
case|事例
エジンバラは、2020年に第1期のスマートシティ戦略を策定し、デジタルツールを用いてインフラや公共サービスの改善を進めてきた。今回、2027年までの新たな戦略を策定し、市議会の政策・持続可能性委員会で承認された。新たな戦略では、エジンバラ市のDXを促進することを目的に、デジタルインクルージョンと持続可能性を高めることに焦点があてられる。
第2期の戦略では、住みやすく働きやすい場所をつくること、貧困と不平等を是正すること、2030年までにカーボンニュートラルを実質的に達成することを目的にしている。
エジンバラの第1期のスマートシティ戦略における主要な成果は以下の通り。
ウェブサイトへの高水準なアクセシビリティ標準と翻訳ツールですべての人がオンラインで公共サービスへアクセスしやすくした。
公共Wi-Fiや光ファイバーネットワークなどのデジタルインフラの改善を行い、包括的なインターネットアクセスを実現した。
リアルタイムで統合された公共交通の情報提供サービスを整備した。
混雑エリアを24時間365日モニタリングし、街の安全を維持した。
市民のデジタルリテラシーを底上げし、オンライン活動へ参加したり職を得るためのデジタルスキルを習得させた。
デジタル学習格差を是正するために生徒や教員にデジタル機器を提供した。
11,000個のゴミ箱センサーを設置し、ゴミ収集を効率化することで街の清潔さを維持した。
500戸の住宅に湿気センサーを設置しメンテナンスを効率化すると共に、健康やウェルビーイングの増進を図った。
市の職員にサイバートレーニングの受講を義務化しサイバーセキュリティ―を強化した。
英国内の成長著しいテックハブとしての地位を確立し15,000人以上のソフトウェア開発の雇用を生み出した。
insight|知見
単に公共サービスのデジタル化や自動運転車の導入にとどまらず、市民のリテラシーの向上という社会政策からテック企業誘致のような産業政策まで幅広くスマートシティをとらえているところが素晴らしいですね。
公立高校でデジタル端末の3分の1が使われていないというような報道があるように日本はデジタル化のスタートでつまずいている印象があります。その一方で、スウェーデンはデジタル化によって学力が低下し紙の教科書に回帰しているようで、すでにデジタル技術との付き合い方を試行錯誤し始めています。
福岡もこれまでのスマートシティの取り組みを点検することが必要かもしれませんね。