バーミンガム市の「食の正義」に向けた取り組み
case | 事例
バーミンガム市議会は昨年の都市食料政策ミラノ協定(MUFPP)の世界フォーラムで「世界食の正義誓約(GFJP)」を立ち上げた。GFJPはパンデミックにおける食料不安の教訓から、国内外の都市間の協力と協働を進めることを目的にしている。社会的・経済的資源に関係なく、世界中すべての市民のために、安価で栄養価が高く、持続可能な食料システムを構築し、支援するための横断的な政策の必要性を強調している。(MUFPPは、世界200以上の都市が署名している都市の食料政策に関する国際協定)
GFJPは英フード財団との協力の下、加盟各都市が食の正義を向上させるための3つのリソースを今年整備した:①介入データベース ― 食の不公正の問題に取り組むために世界中で実施された戦略、政策、介入の事例集。都市や地域での政策立案者のベストプラクティスとして利用可能。②自己評価ツール ― 政策立案者が、食料不安への取り組みにおける現状を理解し、次の行動領域を特定する支援を行うツールとして設計されている。③事例共有プラットフォーム ― 都市間でベスト・プラクティスを共有するための、加盟都市による改善策の事例の共有プラットフォーム。
これらのリソースは食の正義の5つの主要テーマ:ガバナンス、社会的・経済的公平性、食料生産、食料供給と流通、食料廃棄とリサイクルを切り口に作成されている。10月のバーミンガム・フードシステム戦略始動会議に向けこれらリソースが公開される。
GFJPのサイト:Global Food Justice Pledge | Birmingham City Council
insight | 知見
都市食料政策ミラノ協定(MUFPP)について全く知りませんでしたが、日本の都市は東京、京都、大阪、富山が署名しているようです。健康で手頃な食料をすべての人に提供し、廃棄物を最小限に抑え、生物多様性を保全し、気候変動への適応と緩和を行うことを目標としているものです。
福岡市は「食」を強みにMICEや流通業、サービス業などの基幹産業の成長を企図していますが、食の正義(フード・ジャスティス)に関する議論は多くないと感じます。子ども食堂やフードロスについては話題になりますが、市民全体の食と栄養の確保、生ゴミの回収と栄養循環、地産地消、漁獲種・農作物の変化など気候変動への対応、生物多様性の保全などは、都市の「食」政策として総合的に計画されるべきだと思います。