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トロント市民は生涯の1年7ヶ月を公共交通利用に費やしている
case|事例
イスラエル発のMaaSソリューションを提供するMoovitが世界17ヶ国50都市の公共交通利用実態についてのレポートを公開した。レポートでは、アプリユーザーのデータを用いて分析が行われおり、通勤時間や待ち時間、乗換の実態や運賃支払の選好、サービス改善要望がトロントや北米都市との比較で示されている。Moovitは、現在、15億人のユーザーを抱えており、112ヶ国3,500都市でサービスを提供している。
レポートで示されている結論の概要は下記の通り。
通勤時間:バンクーバー市民の1日の通勤時間は平均60分で北米で最悪の水準。次いでトロントの平均通勤時間が55分と長い。バンクーバー市民は生涯で1年8ヶ月、トロント市民は生涯で1年7ヶ月を公共交通の利用に費やしている。なお、世界最長の通勤時間はメキシコシティの67分。
1トリップ当たりの待ち時間:トロント、NYC、シカゴ、ボストンは14分で同水準の平均待ち時間。北米で最長の待ち時間はマイアミの21分で、最短の待ち時間はシアトルの12分。
乗換:トロントは目的地まで直通で行ける割合はわずか22%。3回以上の乗り継ぎを強いられている利用者も22%を占める。
サービスの改善ポイント:カナダの利用者は、公共交通の改善ポイントとして29%が運行頻度、26%は運賃の値下げを要望している。
支払手段の選好:デジタル決済手段は選択肢が増えているものの、カナダの利用者の67%はICカードでの支払いを望んでいる。
insight|知見
首都圏の通勤時間も世界屈指の長さなので、乗換や通勤時間の日本の都市との比較も見てみたいなと思いました。
サービスの改善ポイントや支払い手段の選好は日本の公共交通にもそのまま当てはまりそうです。高頻度でアフォーダブルな運賃が社会インフラとしての公共交通には必須だと思いますし、デジタル決済も与信や手間などを考えると当面はICカードの利便性をなかなか越えられないように思います。運転士不足で便数を間引き、ICをやめクレジットカードのタッチ決済を普及させようとしている日本は少し逆行しているようにも思いますね。