英国の慈善団体が子どもへの配慮に欠けた都市空間が子どもの健康状態を悪化させていると警告
case|事例
英国の慈善団体「Playing Out」は、子どもたちの屋外の遊び場所などが減少し、子どもに優しくない都市環境が作られてしまうことで子どもたちの健康状態やウェルビーイングに大きな損害を出していると警告している。前の世代と比較すると、屋外の都市環境の変化によって、いまの子どもたちは活動の制約を受けており、よりインドアになり、孤立し、アクティブではなくなりつつある。
実際、子どもや若年層の身体的・精神的な健康状態は長期的に悪化傾向にあり、特に貧困が問題を深刻化している。王立小児健康協会の昨年度のレポートでも経済状況などが恵まれない地域の子どもたちの健康状態は深刻な状態であることが言及されている。
Playing Outは、これまで、政府は子どもにより優しい都市環境の創出を政策的に位置付けてこなかった。そのため、自動車中心の都市環境や質の悪い住宅などを生み出し、公園や自然環境が不足し、球技の禁止など子どもたちの屋外活動に制約を与えることを許容してきた。これらは明らかに政策の失敗だと指摘する。
ドイツやノルウェイ、スウェーデンなどのいくつかの国では、都市を子どもたちにとって優しくするための政策やガイダンスを持っている。また自治体レベルでも、バルセロナやフライブルク、ゲント、パリ、ポンテベドラ、ロッテルダムなどは独自に子どもにやさしい都市環境を創出するためのプログラムを推進している。英国議会でも、子どもたちのウェルビーイングを強化するための方策の調査に着手しており、どのような政策介入が効果的か検討を始めている。
insight|知見
日本でも公園での球技が禁止されたりと子どもたちの遊びが制約され、外で元気に遊んでいる様子を見かけなくなったように思います。「都市計画で子どもの視点が抜けており明らかな政策の失敗だ」という指摘はなるほどと思いました。自動車を効率的に流すことに近代都市計画は重点を置いていたのだなと再確認させられます。
サザエさんのアニメでは、タラちゃんがひとりで三輪車で遊びに出かけるシーンがあります。原作が自動車の普及前ということもあるでしょうが、未就学児がひとりで遊びに行ける磯野家の周辺の住環境は素晴らしいんだなとしみじみ思いました。