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ボストンは気候変動への強靭さを高めるためバス停の屋上緑化を実証

case|事例

世界中の都市が記録的な熱波や暴風に直面しており、その対応策を模索している。屋上緑化は気候変動に対応するための潜在的な解決策の一部に過ぎないが、米国環境保護庁( U.S. Environmental Protection Agency)によると屋上に植えられた植物層は従来の建物の屋上よりも表面温度を30℃から40℃下げる効果が期待され、また屋上緑化が施されたビルはエネルギー効率も高まることを指摘している。その効果の一方で、設置コストが高い点や植栽のメンテナンスが必要となる点などが普及を妨げる足かせとなっている。そのため、いくつかの都市では、屋上緑化を義務付けているが、ほとんどの都市は奨励レベルにとどまっている。

ボストン市は、10月初旬にバス停の屋上緑化を試験的に行うことを発表した。バス停の屋上緑化の実証は2014年に3カ所を対象に開始されたが、今回は30カ所に拡大される。今回のボストンの実証は全米で最大規模となる。

ボストン市は、今回の実証を通じて雨水の補足力を高めることで老朽化した排水インフラへの負担が軽減できると、インフラ面での効果を強調している。それ以外にも、従来のバス停は透明の屋根であるため緑化によって日陰が創出できることや花粉媒介者の生息地を生み出すことで生物多様性を高められること、緑化によって大気質が改善されることなどの効果が期待される。今後、ボストン市では収集したデータを分析し、屋上緑化の効果を定量化することで、その普及につなげたいと考えている。

insight|知見

  • 緑化されたバス停はちょっとジブリ感があってワクワクしますね。

  • 実感をもって地球の温暖化が感じられるようになってしまったので、都市の緑化は、今の都市デザインのひとつの主流になっているような気がします。

  • 春や秋がどんどん短くなる中で、街なかの日中の居心地をたかめるというのは重要な課題だと思います。生物多様性はもとより、ウォーカビリティを高めるために日陰や緑陰をどうつくるか、都市をどう冷やすかは、福岡のまちづくりでも進めていきたいテーマですね。