マサチューセッツ湾交通局が地域公共交通の強化に向けたバス優先化ビジョンを公表
case|事例
ボストンなどの公共交通を担うマサチューセッツ湾交通局(MBTA)は、地域の公共交通を強化することを目的としたバス優先化ビジョンを公開した。ビジョンでは、利用の多い26路線を対象にバス専用道と公共交通優先信号の整備を行い、バスの運行の定時性を高める。整備の実施などは、地域コミュニティや沿線自治体との協働によって進められる。現在、MBTAがバスの運行を担うエリアでは、道路の混雑が悪化しているため、バスレーンや公共交通優先信号への投資によって、移動の信頼性が高まることが期待される。
MBTAは、このビジョンを皮切りに、5年から7年にわたって地域全体にバス優先化の投資を拡大する。また、このビジョンは、2022年後半に承認されたバスネットワークのリデザインの一環としても位置付けられる。MBTAは、ネットワーク全体のリデザインを通じて、地域の移動ニーズに対応すると共に、移動パタンの変化や悪化する道路混雑、人口動態の変化、住宅・雇用機会へのアクセスの改善などへ対処したいと考えている。
MBTAは、ビジョンの策定と併せて、各地域の特有の要件に併せて計画から施策立案、施策実施まで一貫した検討を可能とするツールキットも開発している。ビジョン策定およびツールキットの開発では、バー財団の支援を受けている。
insight|知見
気候変動への対策や移動の不平等さの是正などさまざまな背景がありそうですが、ボストンをはじめアメリカの大都市では着々と公共交通体系の再構築を進めている印象があります。
道路幅員の制約や運営形態の違いなど、日米を単純に比較することは難しいかもしれませんが、専用レーン導入など公共交通のサービスレベルを本質的に高めるための動きが日本でももっと出てきてほしいですね。
MaaSをはじめとする新しい技術なども未来の公共交通には重要と思いますが、遅れがなく信頼性の高い運行が何よりも利益の源泉となるサービスの本質だと思います。また運転士不足の解消や赤字体質の経営状況も質の高いサービス提供で改善できる余地があるように思います。しかし、そのようなサービスの本質部分の改善はなかなか進んでいない印象があります。