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独ハノーファーは都心を人間中心の空間とするために自動車の締め出しを検討
case|事例
ドイツ北部の都市ハノーファーは、都心を散歩やパーティを楽しめる人間中心の空間とし、レジリエントな商業拠点へと再編するために、都心から自動車を締め出すことを検討している。より持続的で環境にやさしい都市になること、そしてオンラインショッピングの台頭によって空洞化してしまった都心の商業地を再生することを目的としている。
具体的には、都心に4,000台分ある路上駐車帯を撤去し、解放されたスペースにカフェやテラスを設置したり、緑化を進めたりする。また、都心の道路網は再編され、一部の通りは自転車レーンへ転用される。都心に訪れた自動車は、時速12マイル(時速20km)に走行速度を制限され、一方通行路を通って11か所の路外駐車場のいずれかに誘導される。バスやタクシー、自身の駐車場を保有する居住者は、これまでと変わらず都心へのアクセスが可能となる。
一方で、反対の声も強い。特に野党の保守党は、市民の都心へのアクセスが妨げられ、都心の活力を失わせるとして反対をしている。都心への自動車流入の抑制には、ドイツ国内の他都市でも逆風が吹いている。ベルリンとブレーメンでは、年初の選挙で、緑の党などが目抜き通りの歩行者専用かや駐車料金の値上げを公約に闘ったがいずれも惨敗する結果となっている。ベルリンでは、保守政党が自動車の推進キャンペーンを展開し、20年ぶりに政権に返り咲いた。
ただ、ドイツ国内の主要都市の多くが深刻な交通渋滞に悩まされているため、自動車の推進は世論の大勢を占めるには至っておらず、世論の半分以上は、まだ都心部への自動車乗り入れの抑制に賛成をしている。ハノーファーの今後に注目が集まっている。
insight|知見
自動車の利用の制限は、日々の生活への影響も大きいので、市民の関心も高くなり、政治的にも論点にしやすい問題だと思います。
また、環境問題が絡んでくると、科学的な根拠だけでなく、さまざまな思想や考えが議論に入り込んでくるので、議論を収束させ、ひとつの結論へ合意していくのはとても難しそうに思います。
これから気候変動によって、災害が激甚化したり、生態系や農漁業へ影響が出たりということが予測されますが、どんな合意形成のプロセスが望ましいのだろうかともやもや考えてしまいました。