ボストン市はバスの無料化を2年間延長
case|事例
ボストン市は、市内で最も乗降者の多い3路線で導入していたバスの無料化を2026年3月まで延長することを決定した。当初、この無料化プログラムは2024年3月で終了を予定していた。すでにアメリカ救済計画法(ARPA)によってさらに2年間で840万ドル(約12.6億円)の支援を受けることも決定している。
ボストン市は、市民はこのプログラムによって600万ドル(約9億円)の移動費を節約できていると試算する。バスの無料化は、日々の移動を公共交通に頼っている市民にとって、公共交通の信頼性を増し、アクセシビリティを向上させ、より値ごろな(アフォーダブルな)移動手段を提供したと言える。
2021年に就任したウー市長は、アフォーダブルな移動の確保に注力すると共に、気候変動対策や渋滞対策も協力に推し進めている。自転車レーンの整備と並行して2023年10月から市内の自転車シェアサービス「Bluebike」の年間パスの料金を半額割引した。また電動カーゴバイクでの配送実証「Boston Deliver」も立ち上げ、移動におけるCO2の削減を進めている。
insight|知見
値上げを繰り返す日本の公共交通とは正反対の取り組みですね。日本は独立採算での民間事業での公共交通経営が基本なので、赤字の補填は値上げか行政からの補助金により補填にならざるをえないのだと思いますが、社会政策の一環として公共交通を維持する方策の検討が進まないものかなと思います。
福祉部門や医療部門と連携し、医療費が減少した分を公共交通の経営原資に充てるとか、そもそも教育や医療へのアクセスを支えるインフラとして独立採算で維持できない路線は必要なサービスレベルを公的に運営するとか、いろいろな選択肢があるのではないかなぁと思います。