アーバン・モビリティ・レディネス指数(都市ランキング)
case | 事例
大手コンサルティング会社のオリバー・ワイマン・フォーラムとカリフォルニア大学バークレー校が開発した「アーバン・モビリティ・レディネス指数」の第5版(PDF 6.5MB)が発行され、都市のモビリティの備えについて、世界の主要65都市をランク付けしている。猛暑やインフレといった課題を克服するために、自転車道整備や軌道交通といった安価で効率的なソリューションなどモビリティの基本に重点を置くことが都市にとって重要だと示唆している。ヘルシンキ、アムステルダムなどのランキング上位都市は、開発途上の革新的なソリューションよりも、インフラやシステムの効率化に投資をしている。
モビリティ・システムへの継続的な投資が重要であることはランキングに現れている。ジッダ(サウジ)、バンコク、ムンバイ、カサブランカといった都市は、一貫した努力と投資によってモビリティ・ネットワークの近代化を進めてきた好例である一方、シンガポール、チューリッヒ、ボストン、ロサンゼルスといった都市は、モビリティ・ネットワークの近代化への取り組みという点で他都市に遅れをとっている。公共交通に関しては香港が極めて優れており、効率的かつ手頃な料金で、利用しやすい公共交通システムが、香港の市内の全移動距離のかなりの部分を占めている。
モビリティの選択に影響する最も重要な要素は、手頃な価格とアクセスの良さであるが、近年のインフレやサプライチェーンの混乱を考慮すると、手頃な価格の公共交通機関を提供することは、都市にとって極めて重要になる。ただ、ほとんどの都市で公共交通機関の利用者数はパンデミック前の水準に戻っていないことから、手頃な公共交通という都市に不可欠な機能を提供する上で困難を抱えているケースも多い。その他、アムステルダム、ベルリン、ミュンヘンなどの都市が、よりクリーンなエネルギー源への移行に力を入れているなど、持続可能なモビリティも重要な視点として挙げられる。
insight | 知見
上記レポートでは、都市のモビリティへの備えについて、社会的影響、インフラ、市場の魅力度、システムの効率性、イノベーションの5つの側面からそれぞれの都市を評価し、改善への提案も示されていて、丁寧に作っているレポートだと感じました。
2020年に4位にランクされていた東京は、今回16位にまで下がっています。曰く「東京には強力な公共交通システムがあるが、都市が広いことから駅まで長い道のりを歩かなければならない。駅の密度を高め、バス路線や停留所を増やし、公共交通システムに人々をつなげることが必要」とのこと。東京の公共交通は至極便が良いと思っていましたが、都市間比較すると駅や停留所の密度が高くないことが浮かび上がるんですね。