ロンドンではワーカーの5人に1人がクリエイティブ産業に従事
case|事例
ロンドンでは、これまでの産業育成投資の成果もあって、クリエイティブ産業が成長しており、現在ではワーカーの5人に1人がクリエイティブ産業に従事していることが、最新のロンドン市役所のレポートで明らかとなった。クリエイティブ産業には、デザインや音楽、出版、建築、映画、ファッション、ゲーム、パフォーミングアーツなどが含まれる。
今回のレポートでは、クリエイティブ産業へ従事する従業者が、5年間で20万人以上増加しており、2021年には110万人以上となったことが示されている。全産業に占めるクリエイティブ産業への従業者の割合も増加しており、2016年に16.9%だった割合が2021年には21.1%となっている。ロンドン市における域内総生産においても、クリエイティブ産業から創出された生産額は550億ポンド(約10兆円)と推計されており、ロンドン経済全体の11.5%を占めている。これらの数字からも次第にロンドン経済においてクリエイティブ産業の存在感が増していることが伺える。
サディック・カーン市長は、「クリエイティブ産業の伸長は、これまでの数百億ポンドの投資の賜物だ。」と述べている。EU離脱などの影響など不安要素がないわけではないが、ロンドン市としては今後もクリエイティブ産業への投資を継続する。10月には、ロンドンを世界で最もクリエイティブな都市としてPRする「LONDON CREATES」キャンペーンが立ち上げられている。
英国政府も、6月にクリエイティブ産業のさらなる成長を目的として、新たに7,700万ポンド(約142億円)投資することを発表した。新たな投資によって、クリエイティブ産業の市場規模を500億ポンド(約9.2兆円)成長させること、100万人の雇用をさらに創出することを目指している。
insight|知見
福岡もスタートアップ支援をはじめ、エンジニアやアーティストの支援などに公共政策として取り組んでいます。創業や起業をしやすい環境を創り出したという点でとても意義のある取り組みだと思いますが、産業の育成につながっているのかと問われると、もっとやることがあるようにも思います。
クリエイティブ産業論は、創造都市論と併せて15年くらい前に一世を風靡しましたが、ロンドンなど世界のトップランナーの都市をベンチマークにして、どのような投資によって産業創造を行ってきたのかレビューし、日本の都市政策・産業政策に活かしたいですね。